(Q3)生活保護申請後、福祉事務所とのやり取りで注意すべき点は何ですか?(Q4)申請書提出後、弁護士が依頼者のためにできる具体的なサポートにはどのようなものがありますか?
(A3)生活保護を申請した後は、福祉事務所が生活状況・収入・資産・就労状況などを調査して、保護を開始するかどうかを決定します。そのため、申請後のやり取りでは「正確に伝えること」と「記録を残すこと」が特に重要です。
注意すべきポイントは、主に次のとおりです。
- 福祉事務所からの連絡にはできるだけ早く対応する
家庭訪問の日程調整や、通帳・給与明細・保険関係書類などの提出を求められることがあります。提出できない資料がある場合は、放置せず「なぜ提出できないのか」を説明します。申請後に必要資料を求めること自体は認められています。 - 収入・資産について正確に申告する
預貯金、給与、年金、失業給付、各種手当、保険、不動産、自動車などについて、隠さず正確に説明することが大切です。福祉事務所は申請後に資産・収入などの調査を行います。 - 生活状況の変化を伝える
申請後に就職した、収入が入った、住居が変わった、家族と同居することになった、まとまったお金を受け取った、などの変化があれば速やかに伝えます。 - 口頭で重要な説明を受けた場合は記録する
「いつ・誰から・どのような説明を受けたか」をメモしておくとよいでしょう。提出した書類についても、可能であればコピーを保管しておくと後から確認しやすくなります。 - 分からない指示は、その場で確認する
例えば「この車を処分してください」「親族に援助を頼んでください」と言われた場合には、「これは保護開始の条件ですか」「どの規定に基づくものですか」など、内容を確認して構いません。
特に重要なのは、申請後に福祉事務所から取下げを勧められた場合です。厚生労働省の研修資料では、申請の取下げは本人の意思で行うものであり、ケースワーカーや福祉事務所が取下げを促すことはできないとされています。本人が保護を希望しているのであれば、安易に取下書へ署名しないことが重要です。
また、「必要書類が全部そろっていない」「親族にまだ相談していない」ことを理由として、生活保護の申請自体ができないわけではありません。厚生労働省も、必要書類がそろっていなくても申請できること、親族への相談が申請の条件ではないことを明示しています。
例えば、申請後に福祉事務所から「通帳の過去1年分を提出してください」と言われたものの、一部の通帳を紛失している場合は、連絡を無視するのではなく、**「紛失しているので銀行から取引履歴を取り寄せています」**などと説明するのが適切です。
要するに、生活保護申請後は、**「福祉事務所からの連絡に対応する」「収入・資産・生活状況を正確に伝える」「重要なやり取りは記録する」「分からない指示は確認する」「本人が希望しているのに安易に申請を取り下げない」**ことが大切です。
行政書士などが申請同行しているケースであれば、特に申請後のケースワーカー対応をどこまで行政書士がフォローできるかという観点でも整理できます。
(A4)申請書を提出した後、弁護士が依頼者のためにできるサポートは、**「生活保護の決定が適正に行われるまで手続きをフォローし、問題が起きた場合には法的に対応すること」**です。
具体的には、まず福祉事務所との連絡や調査への対応を支援できます。申請後は、預貯金・収入・保険・不動産・就労状況などについて調査が行われるため、必要資料を整理したり、本人だけでは説明しにくい事情を弁護士が整理して伝えたりすることができます。生活保護法24条でも、資産・収入、就労・求職状況、扶養、他制度の利用状況などが審査対象とされています。
また、福祉事務所との面談や家庭訪問に関する助言も可能です。たとえば「どこまで説明すればよいか」「提出できない資料がある場合はどうするか」「親族との関係をどう説明するか」などについて、本人の事情を整理して対応できます。
次に重要なのが、保護決定が遅れていないか確認することです。生活保護法24条では、原則14日以内、調査に時間を要する特別な理由がある場合でも30日以内に決定する仕組みです。30日を過ぎても通知がない場合には、申請が却下されたものとみなして審査請求を検討できる場合があります。
保護開始決定が出た場合には、決定内容が正しいか確認することも弁護士の役割になります。たとえば、開始日、世帯認定、住宅扶助、障害者加算、母子加算、医療扶助などについて、申請者の実情に合った内容になっているかを確認します。
一方、申請が却下された場合や、保護費が不当に低く決定された場合には、審査請求などの不服申立てを代理することができます。 生活保護の決定・却下に対する審査請求は代理人によって行うことが可能で、法テラスにも生活保護給付に関する行政不服申立ての代理援助があります。
さらに、申請後の福祉事務所の対応に、申請取下げの強要、扶養照会を理由とした不当な圧力、一律の資産処分要求など法的な問題が疑われる場合には、本人に代わって法令・通知に基づく対応を求めることも弁護士ならではの支援です。日弁連の生活保護同行申請制度も、弁護士が関与することで申請拒否・申請回避を防ぐ目的があるとされています。
要するに、申請後の弁護士の具体的な支援は、**「①調査・資料提出の支援、②福祉事務所とのやり取りの整理、③決定期限の確認、④決定内容のチェック、⑤不当な対応への法的対応、⑥却下等の場合の審査請求」**と考えると分かりやすいです。
特に行政書士との違いを簡単にいうと、書類作成や手続支援だけでなく、福祉事務所との間で法的な争いが生じた場合に、代理人として交渉や審査請求まで対応できることが弁護士の大きな特徴です。
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