(Q1)Aさんは無職・無収入で、現金や預貯金もほとんどありません。このような状況で、生活保護の申請を行う際に、どのような点に注意すべきでしょうか?(Q2)Aさんは預金通帳などの資料を持参していませんが、生活保護申請の手続きにおいて必要な書類や準備すべきものは何ですか?

(A1)Aさんのように、無職・無収入で、現金や預貯金もほとんどない場合は、生活保護の必要性が高い可能性があります。 ただし、申請時には「お金がない」という点だけでなく、世帯全体の状況を確認してもらう必要があります。

特に注意したいのは、次の点です。

  • 所持金・預貯金を正確に伝えること
    現金がいくらあるか、銀行口座にいくら残っているかを正確に申告します。残高が少なくても、隠さず説明することが重要です。
  • 無収入であることが分かる事情を説明すること
    退職したばかりなのか、長期間仕事をしていないのか、病気や障害で働けないのかなど、無収入になった経緯を説明します。
  • 他に受け取れる収入がないか確認すること
    失業給付、年金、傷病手当金、各種手当、仕送りなどが利用できるか確認されます。ただし、他制度の手続中だからといって、直ちに生活保護を申請できないわけではありません。
  • 住居や家賃の状況を伝えること
    賃貸住宅なら家賃額、滞納の有無、退去を求められているかなどを説明します。住居がない場合や、友人宅・ネットカフェなどに一時的に滞在している場合も、そのまま伝えます。
  • 借金があっても申請を諦めないこと
    消費者金融、カードローン、家賃滞納などがあっても、それだけを理由に生活保護を申請できなくなるわけではありません。ただし、保護費を借金返済に充てることについては別途注意が必要です。
  • 健康状態・就労可能性を伝えること
    病気や障害、通院状況、働くことが難しい事情があれば説明します。働ける場合でも、現在仕事がなく最低生活を維持できないのであれば、生活保護の対象となる可能性はあります。

特に重要なのが、「今日・明日の生活ができるか」という緊急性です。食べる物がない、所持金がほぼゼロ、電気・ガスが止まりそう、住む場所を失いそう、必要な医療を受けられない、といった事情があれば、申請時には必ず具体的に伝えてください。福祉事務所は、こうした急迫性も含めて判断します。

また、通帳や離職票などの書類が全部そろっていなくても、それだけを理由に生活保護の申請そのものを諦める必要はありません。 まず申請意思を明確に伝え、不足する資料は申請後に提出していくことができます。

例えばAさんが、

「所持金2,000円、預金500円、無職・無収入、家賃も今月払えない」

という状況なら、申請時に単に「お金がありません」と言うだけでなく、現在の所持金、最後に収入があった時期、家賃の支払期限、食料の残り、就労・健康状況まで具体的に説明すると、困窮状況が伝わりやすくなります。

要するに、Aさんの場合は、「無職・無収入・資産ほぼなし」という事実に加え、現在の所持金、住居、食事、健康、就労可能性、他制度の利用状況、緊急性を正確に伝えることが重要です。生活がすでに成り立っていない場合は、遠慮せずその深刻さを具体的に説明することが大切です。

(A2)Aさんが預金通帳などを持参していなくても、生活保護の申請自体はできます。 厚生労働省も「必要な書類が揃っていなくても申請はできる」と明確に案内しています。したがって、通帳がないことを理由に申請を受け付けない、という扱いは適切ではありません。

申請時には、原則として生活保護申請書に、氏名、住所または居所、生活保護を必要とする理由、収入・資産の状況、就労・求職状況、扶養や他制度の利用状況などを記載します。生活保護法24条にも、こうした事項を申請書に記載することが定められています。

そのうえで、申請後の調査に備えて、可能であれば次のような資料を準備しておくと手続がスムーズです。

  • 預金通帳、ネット銀行の残高・取引履歴など
  • 給与明細、源泉徴収票など収入が分かるもの
  • 年金、失業給付、各種手当の通知書
  • 賃貸借契約書、家賃額が分かる書類
  • 生命保険などの保険関係資料
  • 自動車や不動産など資産がある場合はその資料
  • 退職した場合は離職票、退職証明書など
  • 借金や家賃滞納がある場合は、その金額が分かる書類
  • 本人確認ができる資料があれば、それも持参

厚生労働省も、申請後の調査では通帳の写しや給与明細など、世帯の収入・資産の状況が分かる資料の提出を求めることがあるとしています。

例えばAさんが、

「無職・無収入で所持金が3,000円しかない。通帳は自宅に置いてきて今日は持っていない」

という状態なら、まずその事実を正確に伝えて生活保護を申請し、その後、

「明日通帳を持参します」
「通帳を紛失しているので銀行から取引履歴を取り寄せます」

などと対応すればよいわけです。

また、申請に必要な添付書類についても、生活保護法24条2項は、特別な事情によって添付できない場合の例外を設けています。

ですので、申請時に最も重要なのは、**「書類を全部揃えること」よりも、「生活保護を申請したいという意思を明確に示し、現在の所持金・収入・資産・住居・生活状況を正直に伝えること」**です。

要するに、Aさんは通帳がなくてもまず申請でき、通帳・給与資料・賃貸借契約書などは、その後の調査のために可能な範囲で準備して提出すればよいと考えると分かりやすいです。

記事のお問い合わせ先 生活保護専門 神戸市の義足行政書士事務所