(Q1)福祉施設の職員の基本給引き上げ(ベースアップ)は、どのような目的で実施されていますか?(Q2)基本給引き上げの算定時期は、いつの時点で行う必要がありますか?

(A1)福祉施設の職員に対する**基本給の引上げ(ベースアップ)**は、簡単にいうと、福祉・介護分野で働く職員の賃金水準を継続的に引き上げ、人材の確保・定着につなげることが大きな目的です。

特に処遇改善制度では、一時的に賞与や一時金を支給するだけではなく、毎月の給与そのものを安定して引き上げることが重視されています。

主な目的は次のとおりです。

  • 職員の収入を継続的に引き上げる
    一時金は1回支給すれば終わりますが、基本給を引き上げれば、その後の毎月の給与に反映されます。そのため、職員が賃金改善を継続的に実感しやすくなります。
  • 福祉・介護分野の人材を確保する
    福祉分野では人材確保が重要な課題となっているため、他産業との賃金差なども踏まえ、処遇を改善して人材を確保する狙いがあります。
  • 職員の離職を防ぎ、定着を促す
    経験を積んだ職員が長く働ける環境をつくることは、事業所にとっても利用者にとっても重要です。継続的な賃上げによって、職員の生活の安定や定着につなげます。
  • 専門性や職務・責任に見合った処遇を実現する
    福祉職員には、利用者への直接支援だけでなく、家族対応、記録、支援計画、事故防止、虐待防止、医療・関係機関との連携など幅広い責任があります。こうした仕事を適切に評価するという意味もあります。

例えば、職員に3万円の一時金を1回だけ支給する方法と、基本給を毎月5,000円引き上げる方法では、後者の方が毎月の給与に継続して反映されます。このような「一時的な処遇改善ではなく、継続的な賃金改善につなげる」という考え方がベースアップの重要なポイントです。

なお、処遇改善制度では、基本給そのものだけでなく、制度上の要件を満たす**「毎月決まって支払われる手当」**による改善が認められる場合もあります。

したがって、この質問への回答を簡潔にまとめると、

「福祉施設職員のベースアップは、一時金だけではなく毎月の給与を継続的に引き上げることで、職員の処遇を改善し、人材の確保・定着、離職防止、専門性や責任に見合った待遇の実現につなげることを目的としている」

と理解すると分かりやすいです。

(A2)はい。これまでのご質問の流れから、令和6年2月~5月の「福祉・介護職員処遇改善臨時特例交付金」における基本給等の引上げ時期として説明します。

結論として、基本給等による賃金改善は、令和6年4月・5月分について要件を満たす必要がありました。

この交付金は令和6年2月から5月までの賃金改善を対象としていましたが、2月・3月については制度開始直後だったことから、基本給をすぐ変更できない事業所に配慮して、一時金や臨時手当による賃金改善も認められていました。

一方、4月・5月については、継続的な賃上げにつなげるため、4月・5月分の交付額の3分の2以上を「基本給」または「毎月決まって支払われる手当」の引上げに充てる必要がありました。

したがって、時期を整理すると、

令和6年2月・3月
→ 一時金等による賃金改善でも可

令和6年4月・5月
→ 基本給または毎月決まって支払われる手当による賃金改善の要件を満たす必要あり

令和6年6月以降
→ 報酬改定後の処遇改善加算による賃金改善へ移行

という流れです。

例えば、2月・3月は「処遇改善一時金」として支給し、4月分の給与から基本給を月5,000円引き上げる、あるいは毎月固定の「処遇改善手当」を新設・増額するといった方法が考えられます。

なお、ここでいう「4月から」というのは、単純に4月中に実際に現金を振り込まなければならないという意味とは限りません。給与の締日・支払日の関係で、例えば「4月勤務分を5月に支給する」事業所もあります。重要なのは、どの月の賃金改善として位置付けられているかです。

要するに、**「2・3月は一時金でもよいが、4・5月については基本給等による継続的な賃金改善に切り替える」**というのが、この交付金における基本的な考え方です。

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