(Q3)算定時期の設定にあたり、注意すべき点や基準はありますか?(Q4)職員のベースアップに関する支援制度や補助金の申請手続きには、どのような書類や証明が必要ですか?
(A3)はい。これまでの流れから、令和6年2月~5月の「福祉・介護職員処遇改善臨時特例交付金」における基本給等の賃金改善時期について説明します。
算定時期を設定するときに特に重要なのは、「実際に給与を振り込んだ日」だけで判断するのではなく、「何月分の賃金改善なのか」を明確にすることです。
例えば、給与が「月末締め・翌月25日払い」の事業所であれば、4月勤務分の給与を5月25日に支払っていても、制度上は4月分の賃金改善として整理できます。
また、この交付金では、令和6年2月・3月は一時金等による対応も認められていましたが、4月・5月分については、交付額の3分の2以上を基本給または毎月決まって支払われる手当の引上げに充てる必要がありました。そのため、4月・5月分について基本給等の改善額が不足しないよう確認することが重要です。
注意点を整理すると、①給与の締日・支払日を確認する、②何月分の賃金改善かを明確にする、③基本給・毎月固定の手当・一時金を区別する、④4~5月分の基本給等による改善額が必要額を満たしているか確認する、⑤就業規則・給与規程・賃金台帳などの内容を一致させる、⑥実績報告で説明できる記録を残す、という点が重要です。
例えば、
4月1日から基本給を月5,000円引上げ
→ 4月勤務分として賃金計算
→ 5月25日に給与支給
という事業所であれば、「5月25日に支払ったから5月分」というのではなく、4月分給与に対する基本給引上げとして管理することになります。
また、当初の計画より利用者数等が増えて実際の交付額が増加した場合には、当初設定した基本給等の改善額だけでは必要額を満たさなくなることがあります。この場合は、実際の交付額を基準に再計算し、必要に応じて基本給や毎月の手当を追加で改善することが必要です。
要するに、算定時期については、「いつ振り込んだか」だけではなく、「何月分の賃金として改善したのか」を明確にし、4月・5月分について基本給等による改善要件を確実に満たすことが重要、と理解すると分かりやすいです。
(A4)福祉施設の職員のベースアップに関する支援制度を申請する場合、一般的には、「どの職員に、いくら賃金改善を行う予定なのか」を示す計画書と、実際に賃金改善を行ったことを確認できる資料が重要になります。
これまでのご質問の流れである福祉・介護職員の処遇改善関係の交付金・加算を想定すると、主に次のような書類を準備します。
- 処遇改善計画書・交付申請書
対象事業所、対象サービス、賃金改善の実施期間、見込まれる交付額・加算額、賃金改善予定額、改善方法などを記載します。 - 賃金改善の内容が分かる資料
「基本給を月5,000円引き上げる」「毎月の処遇改善手当を新設する」など、具体的な改善方法が確認できる資料です。 - 就業規則・給与規程・賃金規程
基本給や毎月支払う手当を変更する場合には、変更後の内容を規程に反映させます。常時10人以上の労働者を使用する事業場で就業規則を変更する場合には、労働基準監督署への届出も必要になります。 - 賃金台帳・給与明細等
実績報告や行政による確認の際に、「実際に職員へ賃金改善額を支払った」ことを確認する重要な証拠になります。 - 職員への周知を確認できる資料
処遇改善の内容を職員へ周知したことが確認できる文書、通知、説明資料などです。 - 実績報告書
交付金・加算を受けた後、「実際にいくら受け取り、いくら賃金改善に使用したか」を報告します。計画額と実績額に差がある場合には、その内容も整理します。
特に重要なのは、申請時に提出する書類と、事業所で保存しておく証拠書類は必ずしも同じではないという点です。例えば、申請時に給与明細や賃金台帳を全部提出する必要がなくても、後日の実績報告・運営指導・確認調査等に備えて保存しておく必要があります。
例えば、
計画書:4月から基本給を月5,000円引上げ
↓
給与規程:4月1日付で基本給を変更
↓
給与明細・賃金台帳:実際に5,000円増額
↓
職員への通知:4月から賃金改善することを周知
↓
実績報告:交付額と実際の賃金改善額を報告
というように、計画・規程・実際の給与支払い・実績報告が一致していることが重要です。
また、制度によっては、労働保険関係成立届、社会保険関係資料、法人情報、振込口座、事業所の指定情報などが必要になる場合があります。必要書類は、処遇改善加算なのか、臨時の補助金・交付金なのか、また年度や都道府県によっても異なります。
したがって簡単にまとめると、「①計画書、②就業規則・給与規程、③賃金台帳・給与明細、④職員への周知資料、⑤実績報告書」が基本セットで、制度ごとの申請要領に従って必要書類を追加すると考えると分かりやすいです。
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