(Q1)債務整理にかかる必要経費の認定について、どのような基準や考え方が適用されますか?(Q2)A社、B社、C社の3社に債務がある被保護者が債務整理を依頼した場合、それぞれの債務額はどのように認定されますか?例:A社には30万円、B社には25万円の債務がある場合

(A1)はい。この質問は、生活保護受給者が借金を抱えていて、自己破産や任意整理などの債務整理を行うために弁護士費用・裁判所費用等が必要になった場合、その費用を生活保護上の「必要経費」として認められるのか、という質問です。

簡単に言い換えると、

「生活保護受給者が借金を整理するために弁護士や裁判所へ費用を支払った場合、その費用を収入から差し引く『必要経費』として扱ってもらえるのでしょうか?」

という意味です。

原則として、借金返済そのものは必要経費ではありません

生活保護の収入認定では、必要経費として何でも控除できるわけではありません。厚生労働省の実施要領では、給与収入なら社会保険料・所得税・通勤費等、事業収入なら仕入代・交通費等のように、収入を得るために必要な経費を控除する仕組みになっています。

また、「その他の必要経費」についても、真に必要やむを得ないものに限り、必要最小限度の額を認定するという考え方です。

したがって、通常の借金の元金や利息の返済額を、そのまま必要経費として収入から控除することは原則としてできません。

「債務整理に必要な費用」は別に検討します

一方、借金そのものの返済と、借金問題を解決するための債務整理費用は分けて考える必要があります。

例えば、

  • 自己破産の申立てに必要な裁判所費用
  • 裁判所への予納金
  • 債務整理に必要な一定の手続費用

などです。

こうした費用については、生活保護の必要経費として当然に控除するというより、まず他法・他施策の活用を検討することが重要です。

厚生労働省も、生活福祉資金の「一時生活再建費」について、債務整理をするために必要な経費を貸付対象としており、裁判所への予納金等が対象になる場合があるとしています。

実際には、法テラスの民事法律扶助などが利用できるかも含めて確認することになります。

具体例

Aさんが生活保護を受給していて、50万円の借金があるとします。

毎月1万円を債権者へ返済しているからといって、

給与5万円 − 借金返済1万円 = 収入4万円

というように、借金返済額を当然に必要経費として控除することはできません。

一方、自己破産等によって債務問題を解決する必要があり、そのため裁判所への予納金等が必要になった場合には、債務整理の必要性を確認したうえで、法テラスや生活福祉資金など利用可能な制度を検討することになります。

したがって、ポイントは、「借金の返済」と「債務整理のために必要な手続費用」は別物ということです。

**まとめると、「借金の返済額は原則として生活保護上の必要経費にはならない。一方、債務整理そのものに必要な裁判所費用等については、自立更生の観点から必要性を確認し、法テラスや生活福祉資金など他法・他施策を含めて処理方法を検討する」**と理解すると分かりやすいです。

(A2)はい。この質問は、生活保護を受給している人が複数の貸金業者等に借金を抱えており、弁護士等に債務整理を依頼した場合、それぞれの借金を生活保護上どのように扱うのかという質問です。

簡単に言い換えると、

「A社・B社・C社の3社から借金している生活保護受給者が債務整理をする場合、3社の借金をまとめて1つの債務として考えるのでしょうか。それとも、会社ごとに債務額を確認するのでしょうか?」

という意味です。

基本的には債権者ごとに確認します

例えば、債務整理を開始した時点で、

  • A社……30万円
  • B社……25万円
  • C社……15万円

の債務があれば、まずそれぞれの債権者について、債務の内容・残額を確認します。この例では、合計債務額は70万円です。

ただし、ここでいう「債務額」は、債権者から請求されている金額をそのまま無条件に確定額として扱う、という意味ではありません。

債務整理では、取引履歴などを確認して、元金、利息、遅延損害金、過払金の有無などを整理したうえで、実際に負担すべき債務額が確定することがあります。

例えば、当初A社から30万円を請求されていても、債務整理の結果、実際の債務額が25万円と確定すれば、最終的にはその確定した額を基礎として考えることになります。

生活保護では「借金=必要経費」にはなりません

もう一つ重要なのは、A社30万円、B社25万円などの借金そのものを生活保護上の必要経費として収入から差し引くわけではないということです。

例えば、被保護者に10万円の収入があったとして、

「A社に3万円返済するから、10万円-3万円=7万円だけを収入認定する」

という処理を原則として行うものではありません。

生活保護費は最低生活を保障するためのものですから、通常の債務返済に充てることを前提として保護費を増額する仕組みではありません。

したがって、この質問のポイントは、**「複数社に債務がある場合には、A社30万円、B社25万円というように債権者ごとに債務の内容・残額を確認し、債務整理によって最終的に確定した債務額を把握する。ただし、それぞれの借金を生活保護の収入認定上の必要経費として当然に控除するものではない」**と理解すると分かりやすいです。

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