(Q)母の相続について、1年間介護していた妹が「自分の寄与分を認めてほしい」と言っています。寄与分はどうやって計算するのか、もし話し合いで決着しない場合はどう対応すればいいのでしょうか?
(A)母の相続で妹が「寄与分を認めてほしい」と言う場合の考え方
1. 寄与分とは?
寄与分とは、
「相続人の中で、特別に財産の維持・増加に貢献した人に、法定相続分より多く分けてもよい」
という仕組みです。(民法904条の2)
典型的には以下のようなケースが該当します:
- 長期間にわたり無償で介護した
- 無償で母の事業を手伝って財産を維持・増加させた
- 多額の資金提供をして母の生活を支えた
「1年間介護した」という行為が、
専門職を雇えば費用が発生したはずの貢献と評価されれば寄与分が認められる可能性があります。
2. 寄与分の計算方法
寄与分は、法律に明確な計算式があるわけではなく、
個別事情を踏まえて金額を評価します。
一般的な算定方法は…
①介護に換算される金額を算出
次のような基準を参考にします:
- 訪問介護・家事援助などの市場価格
- 介護保険サービスを使う場合の相当額
- 必要だった介護時間・頻度
例:
「1日4時間の介護 × 週5日 × 月20日 × 時給1,500円 × 12ヶ月」
→ 年間約144万円の寄与として評価されるケースもあります。
②経済的負担の有無
介護中に本人が出費した、
- 交通費
- 物品購入費
- 生活費の補填
なども寄与として考慮されることがあります。
③相続財産全体とのバランス
寄与分をそのまま支払うのではなく、
相続財産に上乗せする形で計算します。
3. 話し合いでまとまらない場合の対応
① 家族間で協議
まずは数字に落として話し合うのが基本です。
行政書士や司法書士のサポートで資料をそろえることもできます。
② 家庭裁判所の「調停」を利用
話し合いが難しい場合、
家庭裁判所に「寄与分を定める審判」または「遺産分割調停」
を申立てます。
調停では、
- 介護の内容・期間
- 貢献の程度
- 他のきょうだいができなかった理由
- 相続財産全体の状況
を総合的に判断します。
③ 調停でも合意できない場合
家庭裁判所が「審判」で寄与分を決定します。
裁判所は、客観的な資料に基づき、合理的な金額を算出します。
4. どのような資料があると寄与分は認められやすい?
- 介護日誌
- 介護のシフト表
- 通院・入院の付き添い記録
- 費用を支払った領収書
- 介護の実態を示すメール・LINE
「どれだけ介護したか」を証明できるほど、認められやすくなります。
5. まとめ
介護の具体的な証拠が重要
1年間の介護でも、内容によっては寄与分として評価される
市場の介護サービスを基準に金額を計算する
まとまらない場合は家庭裁判所の調停・審判で決める