(Q)父が亡くなり、相続人は母・長男の私・次男の3人です。父の家に同居していた次男が、父の死後に骨とう品を勝手に売ったり、父名義の預金を引き出している状況です。
このような場合、遺産分割はどのように進めればよいのでしょうか。また、父が亡くなる前に次男が財産を勝手に処分していた場合は、どう扱われるのでしょうか?
(A)① 遺産分割の進め方について
今回のケースでは、
次男が父の死亡後に勝手に遺産を売却・引き出している行為が問題になっています。
●基本的な遺産分割の流れ
- 相続人の確定
→ 母・長男・次男の3名で間違いありません。 - 遺産の範囲の確定(遺産調査)
→ 不動産、預金、家財など、死亡時点で父が持っていた財産を確定します。 - 遺産分割協議
→ 相続人全員で話し合い、分け方を決めます。
※今回のようにトラブルがある場合、話し合いが難しければ家庭裁判所の「遺産分割調停」を利用します。
●次男が勝手に売却した物・預金について
重要なのは以下の点です。
📌 死亡後の処分は原則として無効(違法行為)
相続開始(=父の死亡)後の財産は「相続人全員の共有財産」です。
次男が勝手に売却したり預金を引き出すことは、本来認められません。
📌 遺産分割協議では『持ち戻し』として扱う
売却した骨とう品の代金や引き出した預金は、
**「次男が既に受け取った相続財産」**として計算し、
遺産分割で調整します。
▶ たとえば、300万円相当を勝手に受け取っていたら、
遺産分割では
次男の取り分から300万円減らす扱いになります。
📌 次男が応じない場合
調停・審判では、
「勝手に処分した金額も相続財産として計算する」
という判断が一般的です。
② 父が亡くなる前に次男が財産を処分していた場合
これは「生前処分」となり、扱いが変わります。
●前提
父が生前に自分の意思で次男に贈与・許可したのであれば問題ありません。
しかし今回のように、
父が認知症・病気などで判断能力が低下していた、または無断で行った
という場合、以下の処理を検討できます。
●1. 不当利得・損害賠償として扱う場合
父の財産を勝手に使った場合、
相続人全員に対して
「その分を返してほしい」
と請求できる可能性があります。
●2. 特別受益として扱う場合
次男が父から実質的に多くの利益を受けていたと判断されれば、
遺産分割では
**「次男が先に多く受け取った利益」**として持ち戻しの対象になります。
(例)
死亡前に次男が200万円を勝手に引き出していた場合、
→ 遺産分割では次男の相続分から200万円差し引く。
■まとめ
生前に勝手な処分があった場合でも、
・不当利得
・特別受益
として遺産分割に組み込むことが可能。
死亡後に勝手に財産を処分した行為は無効であり、
遺産分割では「すでに受け取った財産」として取り扱い、次男の取り分から調整できる。
話し合いが難しければ 家庭裁判所で調停を申し立てるのが現実的。