(Q)父が亡くなり、相続人は長男と私の2人だけです。父には預金口座と貸金庫がありましたが、長男が生前に無断で預金を引き出していた疑いがあります。さらに、貸金庫の中には大事な財産が入っている可能性があります。

しかし長男は通帳も見せてくれず、貸金庫の解錠にも協力しません。
このような状況でも、私は単独で銀行に「取引履歴を見せてほしい」「貸金庫を開けてほしい」と求めることができるのでしょう

(A)結論

あなた単独では、銀行に「取引履歴の開示」や「貸金庫の開扉」を求めることは基本的にできません。
これらは相続人全員(今回なら長男とあなた)の同意が必要です。

ただし、長男が協力を拒む場合でも、法的手続を使って開示・解錠を進める方法があります。


理由(法的根拠に基づく)

1. 預金取引履歴の開示

銀行は相続人からの請求に応じて取引履歴を開示できますが、
原則として相続人全員の同意書が必要です。

例外

以下の場合は、単独請求が認められる可能性があります。

  • 遺産分割調停・審判の手続中で、裁判所が照会を認めた場合(調停委員会を通じた照会)
  • 弁護士を通じて弁護士会照会を行う場合(ただし、銀行が応じるかは個別判断)

相続人の一人が無断で払い戻した疑いがあるケースでは、
相続財産の保全の観点から裁判所が開示を認めることが多いです。


2. 貸金庫の解錠

貸金庫は、預金以上に厳格に扱われています。

相続人全員の立ち合い・署名が必要が原則で、
一人の相続人だけが勝手に解錠することはできません。

例外的に単独で開けられるケース

  • 家庭裁判所が「相続財産管理人」を選任した場合
     管理人は単独で貸金庫を開けられます。
  • 遺産分割調停の中で、家庭裁判所が開扉を指示した場合

これらの手続を踏めば、長男が拒否しても貸金庫を開けられます。


取るべき対応(実務的に最も現実的な方法)

長男が協力しない以上、あなたができる手続は次の4つです。


① 遺産分割調停を申し立てる(最も実効的)

調停を申し立てると、以下が可能になります。

  • ● 裁判所を通じて銀行に 取引履歴の照会
  • ● 裁判所の関与のもと 貸金庫の開扉
  • ● 長男の協力拒否に対し、裁判所から説明を求められる

※長男が出頭しない場合でも手続は進みます。


② 弁護士を依頼して「弁護士会照会」を行う

  • ● 銀行に取引履歴の開示を求められる
  • ● 無断払戻しがあったかの調査が進む

ただし、貸金庫の解扉は弁護士会照会では不可です。


③ 相続財産管理人選任の申立て

長男が極端に非協力で、遺産が散逸する恐れがあるときに有効。

選任された管理人は

  • 銀行に取引履歴を請求
  • 貸金庫を開扉
    が可能です。

④ 保全処分(遺産の仮処分)

無断引出しが続くおそれがある場合に、銀行口座を凍結するなどの処分も検討できます。


まとめ

しかし、
 ● 調停申立て
 ● 弁護士会照会
 ● 相続財産管理人選任
などの法的手続きにより、長男が拒否しても開示・解錠は可能です。

単独では銀行手続は不可(取引履歴・貸金庫とも)