(Q)法第19条第3項の規定は、施設入所者の保護の実施責任についてのみ特例を設けたものですが、保護に要する費用については法第73条第1号(現在地保護の場合の都道府県の負担)の適用にあたって一般の原則によるとされています。この場合、施設入所者の保護費等に対して法第73条第1号による都道府県の負担は発生しないと解釈してよいのでしょうか?

(A)「施設入所者については、法第73条第1号による都道府県負担が一切発生しない」という解釈は適当ではありません。

施設に入所する前、その人に居住地があったかどうかによって、費用負担が異なります。

施設入所前の状況費用負担の取扱い
入所前に居住地があったその居住地が引き続きあるものとして扱い、原則として当該市町村が地方負担分を負担
入所前に居住地がない・明らかでなかったその状態が施設入所中も続くものとして扱い、法第73条第1号により都道府県が地方負担分を負担

なぜこのような取扱いになるのか

生活保護法第19条第3項は、施設に入所したことによって、施設所在地の自治体へ実施責任が移ってしまうことを防ぐための特例です。

例えば、A市に住んでいた人がB市の保護施設に入所しても、施設所在地であるB市ではなく、入所前の居住地であるA市が引き続き保護を実施するという仕組みです。

この場合、法律上は、施設を新しい居住地として扱わず、入所前の居住地または現在地が、そのまま続いているものとみなします。

入所前に居住地があった場合

例えば、A市に居住していた人が、B市にある救護施設へ入所した場合です。

この場合は、

  • 施設所在地のB市を新しい居住地とは扱わない
  • 入所前の居住地であるA市が続いているものと扱う
  • A市が保護の実施責任を負う
  • 地方負担分も、原則としてA市が負担する

という取扱いになります。

したがって、このケースでは、通常、法第73条第1号による都道府県負担は生じません。

入所前に居住地がなかった場合

一方、ホームレス状態など、入所前から居住地がない、または居住地が明らかでない人が施設へ入所した場合です。

この場合も、施設を新しい居住地とは扱いません。そのため、施設に入所した後も、法律上は、

居住地がない、または明らかでない状態が続いている

ものとして扱われます。

したがって、施設入所中の保護費等の地方負担分については、生活保護法第73条第1号により都道府県が負担します。

生活保護問答集でも、居住地がない、または明らかでない人が施設へ入所した場合は、その状態が施設入所中も継続するものとして扱い、保護費等の地方負担分を都道府県が負担すると示されています。

具体例

例1:入所前に居住地がある

神戸市に自宅があった人が、姫路市の救護施設へ入所した場合

  • 実施責任:神戸市
  • 地方負担分:原則として神戸市
  • 兵庫県の法第73条第1号による負担:原則として発生しない

例2:入所前に居住地がない

神戸市内で路上生活をしていた人が、姫路市の救護施設へ入所した場合

  • 実施責任:入所前の現在地を基準に決定
  • 施設入所後も「居住地がない状態」が続くものとして扱う
  • 地方負担分:法第73条第1号により兵庫県が負担

まとめ

法第19条第3項は、施設入所者について、施設所在地を新たな居住地とせず、入所前の居住地または現在地が続いているものと扱う規定です。

そのため、費用負担は次のようになります。

  • 入所前に居住地があった人
    → 入所前の居住地の市町村が負担
  • 入所前に居住地がなかった、または明らかでなかった人
    → 法第73条第1号により都道府県が負担

したがって、施設入所者であるという理由だけで都道府県負担がなくなるわけではなく、施設入所前の居住地の有無によって判断することになります。

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