(Q3)入院・入所後に退院・退所した場合、家具什器費や家財の取り扱いはどうなりますか?(Q4)医療機関や社会福祉施設に入院・入所した際、家財の保管や処分に関する規定はありますか?
(A3)結論
入院・入所後に退院・退所した場合は、まず保管していた家財を引き取り、再利用することが基本です。
そのうえで、長期入院・入所のため家財を処分していた、または使用できる家具を持っていない場合には、一定の条件のもとで家具什器費や被服費などを支給できることがあります。
1.保管していた家財がある場合
退院・退所後も使用できる家具・家電を保管していた場合は、新たに買い直すのではなく、その家財を新居へ運んで使用します。
保管場所から新居まで家財を引き取るための、
- 荷造費
- 運搬費
- 必要な本人の交通費
については、真にやむを得ず、福祉事務所が事前に承認した場合、移送費として必要最小限度の額を認定できます。
つまり、
使える家財がある場合は、買い替えよりも引取り・再利用を優先する
という考え方です。
2.家財を処分していて、何も持っていない場合
単身の生活保護受給者が、長期入院・入所後に退院・退所し、新たに一人暮らしを始める場合で、最低生活に直接必要な家具什器を持っていないときは、家具什器費を支給できます。
対象となり得るものは、例えば、
- 炊事用具
- 鍋・フライパン
- 食器
- 炊飯器
- 冷蔵庫など、食生活に必要な家電
- その他、最低生活に直接必要な家具・生活用品
です。
ただし、テレビや高額な家電など、単なる便利品・ぜいたく品まで自由に購入できる制度ではありません。
3.家具什器費の支給額
炊事用具や食器等の家具什器費は、現在の実施要領では原則として、
- 36,700円以内
です。
真にやむを得ない事情があり、この金額では最低限の家具をそろえられない場合は、
- 58,400円以内
まで認定できることがあります。
支給されるのは上限額の全額ではなく、現に不足している物品の購入に必要な額だけです。
4.布団や衣類がない場合
長期入院・入所後に退院・退所した際、
- 使用できる布団が全くない
- 衣服が全くない、または全く使用できない
場合は、家具什器費とは別に、被服費として支給できることがあります。
現在の基準では、例えば、
- 布団を再生して使用できる場合:1組15,300円以内
- 新しく購入する必要がある場合:1組22,500円以内
- 平常着:1人15,800円以内
です。
5.暖房器具・冷房器具
家具什器費の対象となる状態で、暖房器具を持っていない場合は、初めて到来する冬季加算の時期に、必要な暖房器具費を別に認定できる場合があります。
また、熱中症予防が特に必要な人がおり、冷房器具がなく、真にやむを得ない場合は、冷房器具費を認定できることがあります。
ただし、冷房器具は、単にエアコンを持っていないというだけではなく、健康状態や住居環境などから特に必要と判断されることが必要です。
6.自動的に一式支給されるわけではない
福祉事務所は、退院・退所時に次の点を確認します。
- 保管している家財があるか
- 処分した家財の内容
- 使用できる家具・家電が残っているか
- 新居に備え付けの設備があるか
- 親族等から譲り受けられる物があるか
- リユース品で対応できるか
- 本人の病気・障害・生活能力から必要な物は何か
- 世帯人数や住居の広さに見合った数量か
したがって、退院したから冷蔵庫や電子レンジなどが一律にすべて支給されるわけではありません。
具体例
長期入院中にアパートを解約し、家具をすべて処分した単身者が、退院後に新しいアパートで生活を始める場合です。
福祉事務所が確認した結果、
- 冷蔵庫が備え付けられていない
- 炊飯器、鍋、食器がない
- 布団や着用可能な衣服もない
- 他から援助を受けられない
という状態であれば、
- 家具什器費
- 布団類の被服費
- 平常着の被服費
- 必要に応じて運搬・設置費
をそれぞれの基準により検討できます。
まとめ
退院・退所後の取扱いは、次のようになります。
| 状況 | 取扱い |
|---|---|
| 保管していた家財が使える | 新居へ運び、再利用する |
| 保管場所からの運搬が必要 | 事前承認により移送費を検討 |
| 長期入院・入所後、新たに単身生活を始め、家具がない | 家具什器費を検討 |
| 布団・衣服が全くない | 被服費を別に検討 |
| 家財の一部だけ残っている | 不足する物だけ支給を検討 |
| 使用できる家財がある | 同じ物の重複支給はしない |
要するに、残っている家財は再利用し、それでも退院後の最低生活に必要な物が不足する場合に限って、必要最小限の家具什器費等を支給するという取扱いです。
(A4)結論
はい、規定があります。
医療機関や社会福祉施設などへの入院・入所により、自宅を維持できず家財を別の場所へ預けたり、処分したりする必要が生じた場合、一定の条件を満たせば、生活保護の一時的な費用として次の支給が認められます。
- 退院・退所後に使うため保管する場合:家財保管料
- 長期入院・入所により処分する場合:家財処分料
いずれも、主に単身の被保護者を対象とする規定です。
家財保管料の規定
対象となる人
医療機関、介護老人保健施設、社会福祉施設、職業能力開発校、無料低額宿泊所、日常生活支援住居施設などに入院・入所している単身の被保護者が対象です。
次の条件を満たす必要があります。
- やむを得ず、自宅以外の場所に家財を預ける必要がある
- 退院・退所後に家財を再び使う見込みがある
- 親族への無料保管など、他の方法で対応できない
- 他からの援助で保管費用を賄えない
支給期間と金額
原則として、入院・入所後1年間以内、月額14,000円以内で認定できます。
ただし、入院・入所の時点で、明らかに1年以上の入院治療や施設での指導訓練が必要な場合は、家財保管料の対象になりません。
住宅扶助との関係
入院・入所後も元の住居の家賃が住宅扶助として支給されていた場合は、
12か月-住宅扶助を認定した月数
が、家財保管料を認定できる残りの期間となります。
例えば、入院後3か月間、元の住宅の家賃を認定した場合は、家財保管料は原則として残り9か月以内です。
家財処分料の規定
対象となる場合
借家などに住んでいた単身の被保護者が、入院・入所などにより住居を解約し、家財を処分する必要がある場合です。
主な条件は次のとおりです。
- 入院・入所・入居の見込期間が6か月を超える
- 元の住居へ戻る見込みがなく、家財処分が本当に必要
- 敷金の返還金や家財の売却代金で処分費を賄えない
- 親族などから援助を受けられない
対象施設には、医療機関や社会福祉施設等のほか、有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅への入居も含まれます。
支給額
家財処分料には一律の定額上限は示されておらず、処分に必要な最小限度の実費を認定します。
例えば、家具・家電の搬出、廃棄、処分業者への支払いなどについて、見積書を確認して必要最小限の額を決定します。
保管と処分の判断
| 状況 | 取扱い |
|---|---|
| 比較的短期で、退院後に家財を使う予定 | 家財保管料 |
| 6か月を超える入院等が見込まれ、住居へ戻らない | 家財処分料 |
| 元の住居をそのまま維持できる | 原則として保管料は不要 |
| 親族宅に無料で預けられる | 原則として保管料は認定しない |
| 敷金返還金等で処分費を賄える | その資金を優先する |
手続き上の注意
保管業者や処分業者へ依頼する前に、福祉事務所へ相談する必要があります。
一般に、次の資料を確認します。
- 入院・入所の予定期間
- 退院・退所後の居住予定
- 家財の一覧
- 保管または処分の見積書
- 敷金返還金や売却代金の有無
- 親族等からの援助の可否
先に契約や処分をしてしまうと、費用が認められない可能性があります。
要するに、退院後に使う見込みがある家財は一定期間保管し、長期入院・入所で不要になる家財は必要最小限の費用で処分する、という規定です。
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