(Q1)就労条件に恵まれない地域に住んでいる人が、実施機関の指導により新しい地域で就労する場合、その転居に伴う敷金は認定されますか?(Q2)保護から脱却することが確実に見込まれる場合でも、敷金の認定は可能ですか?その際に注意すべき点は何ですか?

(A1)はい、一定の要件を満たせば、生活保護の住宅扶助として転居先の敷金等を認定することができます。

厚生労働省の生活保護実施要領では、被保護者が転居する際、一定の要件に該当し、敷金等が必要な場合には住宅扶助として認定できる仕組みがあります。現在の局長通知では、原則として所定の家賃基準を満たす住宅について、家賃の特別基準額の3倍の範囲内で必要な敷金等を認定できるとされています。

そして、ご質問とほぼ同じ事例が「生活保護手帳別冊問答集」の**問7-105〔新規就労地への転居と敷金〕**に示されています。

就労条件に恵まれない地域に住んでいる人が、実施機関の指導によってその地域を離れ、新しい地域で就労することになった場合、敷金を認定してよいか。

これに対する回答は、「お見込みのとおり取り扱って差し支えない」、つまり認定して差し支えないとされています。

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具体例

たとえば、生活保護受給者Aさんが現在住んでいる地域では求人が非常に少なく、福祉事務所が就労支援を行った結果、

「別の地域で仕事が決まったので、就労を実現するためには勤務先の近くへ転居する必要がある」

と福祉事務所が判断・指導したケースです。

この場合には、単なる「もっと便利な場所へ引っ越したい」という本人都合の転居とは異なり、就労・自立を目的として実施機関の指導のもとで行う必要性のある転居として、転居先住宅の敷金等を住宅扶助で認定できる場合があります。

さらに、敷金等には、必要やむを得ない場合には、礼金、不動産仲介手数料、火災保険料、保証料についても認定できる取扱いがあります。令和8年度の生活保護実施要領でもこの取扱いが確認できます。

したがって、ご質問への答えを一言でまとめると、

「はい。就労条件に恵まれない地域から、福祉事務所の指導によって新しい地域へ移り、新規就労するために転居が必要となった場合には、一定の要件のもとで敷金等を住宅扶助として認定して差し支えありません。」

となります。

重要なのは、**就職が決まったから自動的に敷金が出るわけではなく、「その就労のために転居する必要性があること」「福祉事務所が必要な転居として認めていること」「転居先の家賃等が基準を満たしていること」**などを、契約前にケースワーカーと確認しておくことです。

(A2)はい、保護からの脱却が確実に見込まれる場合であっても、転居時点でまだ生活保護を受給しており、その転居が自立のために必要で、実施機関が必要性を認める場合には、敷金等を住宅扶助として認定できる場合があります。

生活保護の実施要領では、被保護者が転居する際、一定の要件を満たして敷金等が必要な場合には、住宅扶助の特別基準として必要額を認定できるとされています。現在の基準では、原則として住宅扶助の特別基準額の3倍の範囲内で必要な敷金等を認定できます。

特に、就職に伴って転居する必要があるケースでは、就労によって近く生活保護が廃止になる予定だからという理由だけで、直ちに敷金が認められなくなるわけではありません。 転居が就労・自立のために必要であり、保護継続中にその転居を行う必要があるかどうかが重要になります。

ただし、重要な注意点があります。実施要領には、「近い将来保護の廃止が予想され、その後に転居することで足りる者」については、敷金等を認定しないという但書があります。

つまり、次の違いがポイントです。

認定される可能性が高い例
「9月1日から新しい勤務先で働く。現在の住居からでは通勤が著しく困難なので、8月中に勤務先近くへ転居する必要がある。現在はまだ生活保護受給中である。」

この場合、転居そのものが就労開始のために必要ですから、実施機関が必要性を認めれば、保護廃止が近い場合でも敷金等の認定対象となり得ます。

一方で、

原則として認定されにくい例
「現在の住居からでも問題なく勤務できる。就職により翌月には保護廃止になるので、保護廃止後にもっと便利な場所へ引っ越したい。」

この場合は、保護受給中に急いで転居する必要がなく、保護廃止後の転居でも差し支えないため、住宅扶助から敷金を出す必要性がないと判断される可能性があります。

また、敷金だけでなく、転居に必要な礼金・不動産仲介手数料・火災保険料・保証料についても、必要やむを得ない場合には認定して差し支えないとされています。

したがって、今回の質問を一言でまとめると、

「就職によって保護脱却が確実でも、その就職を実現するために保護受給中の転居が必要なら、敷金等を認定できる。逆に、保護廃止後に転居しても支障がないなら、原則として認定されない。」

という考え方になります。

実務では、①就職先・就労開始日が具体的に決まっていること、②現在地からの通勤が困難であること、③就労開始前に転居する合理的な必要性があること、④家賃が住宅扶助の基準の範囲内であること、⑤契約前にケースワーカー・福祉事務所へ相談し承認を得ることが特に重要です。契約や敷金の支払いを先にしてしまうと、後から必ず認定されるとは限りません。

なお、厚労省の実施要領では、就労等に伴い**「直ちに転居の必要が見込まれる場合の転居費用」**を、自立更生の観点から扱う規定もあります。

必要であれば次に、「就労条件に恵まれない地域から、実施機関の指導で他地域に就職・転居する場合」について、敷金・引越代・礼金・仲介手数料のどこまで生活保護から出るのかを具体例付きで整理できます。

記事のお問い合わせ先 生活保護専門 神戸市の義足行政書士事務所