(Q3)福祉事務所が被保護者の就労が確実であると確認できる場合(内定書等で確認)、どのような条件が満たされていれば長期間保護を再開する必要がないと認められますか?(Q4)被保護者や世帯員に今後の就労継続に不安要素となる課題が認められる場合、敷金の認定はどのように取り扱われますか?
(A3)はい。福祉事務所が、内定通知書・雇用契約書などによって就労開始と継続的な収入が具体的に見込めることを確認でき、その収入で最低生活を維持できると判断できる場合には、「特別な事情がない限り、今後保護を再開する必要がない」として、保護を廃止することができます。生活保護法26条でも、被保護者が保護を必要としなくなったときは、実施機関が停止または廃止を決定するとされています。
ポイントは、単に「就職が決まった」というだけではなく、その就労によって生活保護が不要な状態が安定して続くと判断できるかです。厚生労働省の実施要領では、定期収入が恒常的に増加し、**「以後特別な事由が生じない限り、保護を再開する必要がないと認められるとき」**は保護を廃止する扱いとされています。
例えば、次のような事情がそろっているほど「廃止」が妥当と判断されやすくなります。
- 内定通知書・雇用契約書などで、勤務先、勤務開始日、労働時間、賃金等が確認できる
- 一時的・単発的な仕事ではなく、継続して勤務することが予定されている
- 給与から必要な控除等を考慮しても、世帯の最低生活費を上回る収入が継続して見込まれる
- 就労後の家賃や生活費を含めても、保護に頼らず生活できる見込みがある
- 近い時期に失職することが具体的に予想されるなど、保護再開の可能性が高い事情がない
逆に、まだ収入の安定性を確認できない場合は、すぐに「廃止」ではなく「停止」とする場合があります。 たとえば試用期間中で雇用継続が不透明、勤務日数・収入が大きく変動する、就職直後で実際の給与額がまだ確認できない、といった場合です。実施要領では、いったん保護を必要としなくなっても、その状態が今後継続するか確実性を欠き、しばらく生活状況を見る必要がある場合は「停止」とすることが示されています。
また、「6か月」が一つの目安になっています。ただし、これは「必ず6か月働かなければ廃止できない」という意味ではありません。一時的な収入増加の場合は、今後おおむね6か月を超えて保護を必要としない状態が続くと見込まれる場合に廃止とされます。一方、給与などの恒常的な定期収入によって自立できることが十分確認できる場合は、6か月を待たずに廃止することも制度上可能です。
したがって、分かりやすく整理すると、
「内定がある」だけで廃止するのではなく、①実際に就労することが確実、②給与額が最低生活費を上回る、③その収入が継続する見込みが高い、④近い将来に再び生活保護が必要になる具体的な事情がない、という点を福祉事務所が総合的に確認できれば、『長期間保護を再開する必要がない』として保護廃止が可能になる」
という考え方です。
なお、前のご質問の**「就職のための転居に伴う敷金」**との関係では、この「保護廃止が確実なケース」であっても、就職を実現するために保護受給中の転居が必要なのか、それとも保護廃止後に転居すれば足りるのかが非常に重要になります。必要であれば、この点を「敷金を認定できるケース/できないケース」に分けて具体例で整理します。
(A4)はい。被保護者本人や世帯員に、今後の就労継続に不安要素となる課題がある場合は、「近い将来に確実に保護廃止できる」とは言い切れないため、敷金を認定できる余地があります。
生活保護の実施要領では、転居に敷金等が必要な場合、一定の範囲内で住宅扶助として認定できます。ただし、「近い将来保護の廃止が予想され、その後に転居することで足りる者」については対象外とされています。つまり逆にいえば、就労が決まっていても、就労継続や世帯の自立に不確実性がある場合は、この但書に当然に当てはまるわけではありません。
たとえば、本人に「試用期間中で雇用継続がまだ確実でない」「勤務日数や収入が安定していない」といった事情がある場合や、世帯員の状況によって就労継続に影響する可能性がある場合には、福祉事務所は保護廃止ではなく、一定期間生活状況を観察する必要があるかを検討します。実施要領でも、定期収入が増えて一応保護を要しなくなっても、その状態が今後継続することについて確実性を欠く場合は、保護を「停止」して経過を見る扱いが示されています。
したがって、敷金についても、単純に「就職した=もうすぐ保護廃止=敷金は出ない」と判断するのではなく、就労継続の可能性、収入の安定性、世帯員の状況、転居の必要性などを総合的に判断することになります。
例えば、
就職は決まったものの、試用期間中で継続雇用がまだ確定しておらず、現在の住居からの通勤も困難で、転居することが就労継続に必要である
というケースであれば、転居そのものが自立を安定させるために必要と考えられるため、実施機関が必要性を認めれば、敷金等を住宅扶助として認定できる可能性があります。
逆に、
正社員として安定した就職が確定し、給与も最低生活費を十分上回り、本人・世帯員にも就労継続を妨げる事情がなく、数週間後に確実に保護廃止となり、廃止後に転居しても就労に支障がない
という場合には、「保護廃止後に転居すれば足りる」と判断され、敷金を認定しない可能性が高くなります。
特に重要なのは、就労継続への不安要素があること自体で自動的に敷金が認められるわけではないという点です。福祉事務所は、転居の必要性や今後の収入見込み、世帯状況などをケースごとに確認して判断します。
要するに、
「就職は決まっているが、本人や世帯員の事情から就労が安定して続くかまだ不確実である場合には、近い将来の保護廃止が確実とはいえない。そのため、転居が就労継続・自立に必要であれば、敷金を認定できる余地がある」
と理解すると分かりやすいです。
なお、令和8年4月1日施行の生活保護実施要領資料でも、敷金等については契約内容が確認できる書面やケース記録等を基に必要性を確認する運用が示されています。
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