(Q5)他県へ転出する場合の敷金および家賃の限度額の認定について、どのような基準がありますか?
(A5)はい。生活保護受給者が他県へ転居する場合、家賃と敷金の限度額は、原則として「転居先の地域」の住宅扶助基準を基準に判断します。 現在住んでいる県の限度額をそのまま使うわけではありません。
令和8年4月1日施行の生活保護実施要領でも、家賃については、転居先の地域に対応する住宅扶助(家賃・間代等)の限度額の範囲内で認定するのが基本です。世帯人数によっても限度額が異なります。
たとえば、兵庫県から大阪府へ転居する場合には、原則として大阪府の転居先市町村に適用される住宅扶助限度額を確認します。さらに、単身世帯、2人世帯、3~5人世帯など、世帯人数に応じた限度額を適用します。
敷金については、転居が実施要領上認められるケースで、かつ転居先の家賃が所定の特別基準額以内であれば、原則として、
転居先の住宅扶助の特別基準額 × 3
の範囲内で、実際に必要な額を認定できます。
たとえば、仮に転居先で適用される住宅扶助の特別基準額が月額50,000円だった場合、
50,000円 × 3 = 150,000円
となり、敷金等については最大15万円の範囲内で、実際に必要となる額を認定する、という考え方になります。ただし、「3か月分を必ず支給する」という意味ではなく、実際に必要な金額までです。
また、他県への転居だから自動的に敷金が認められるわけではありません。転居そのものが実施要領上必要と認められることが前提です。たとえば、現在の居住地から勤務先が遠く通勤が著しく困難で、勤務先付近へ転居することが収入増加や健康維持など世帯の自立助長に特に効果的と認められる場合は、敷金等を認定できる転居理由の一つとして明示されています。
一方で注意したいのが、「現在の福祉事務所の限度額」と「転居先の限度額」のどちらを使うのかという点です。基本的には新しく契約する住宅についての費用なので、転居先地域の住宅事情・住宅扶助基準を基礎として判断します。そのため、現在地では家賃6万円まで認められていても、転居先の基準が5万円なら、原則として5万円側を基準に物件を探す必要があります。
さらに、転居先地域で通常の限度額以内では実際に住宅を確保することが困難な場合には、特別基準の適用を検討できる場合があります。 実施要領では、世帯員に車椅子利用者など通常より広い居室が必要な人がいる場合や、その地域で通常の世帯人員別限度額では賃貸住宅を確保する実態がない場合などが例示されています。
また、月の途中で他県へ転居する場合には、必要やむを得ない事情があれば、転居前と転居後それぞれについて1か月分の家賃を基準額の範囲内で認定できる場合があります。単純にどちらか一方しか住宅扶助が出ない、という仕組みではありません。
したがって、分かりやすくまとめると、
「他県へ転居するときは、転居先の地域・世帯人数に対応する住宅扶助限度額を基準として家賃を認定し、敷金等については原則として転居先の特別基準額の3倍以内で必要額を認定する。ただし、転居の必要性や物件の家賃額について、契約前に福祉事務所の承認を受けることが重要」
という扱いになります。
特に実務では、現在の福祉事務所と転居先の福祉事務所で、家賃限度額・敷金限度額・転居日・保護の実施責任の引継ぎについて事前に協議してもらうことが重要です。先に賃貸借契約を締結してしまうと、限度額を超えていた場合に全額認定されない可能性があります。
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