(Q1)精神障害や行動障害により外出や集団生活が著しく困難な障害児とは、どのような子どもを指しますか?(Q2)居宅訪問型児童発達支援とは、どのような支援内容ですか?
(A1)「精神障害や行動障害により、外出や集団生活が著しく困難な障害児」とは、単に「外出が苦手」「集団行動が不得意」という程度ではなく、障害特性による精神症状や著しい行動上の問題によって、通常の方法では外出したり集団の中で活動したりすることが非常に難しい状態にある児童を指します。
例えば、次のような状態が考えられます。
- 強い不安やパニックがあり、自宅から出ること自体が非常に難しい
- 人が多い場所や集団に入ると、強い混乱・興奮・パニックが起こる
- 自傷行為や他害行為があり、安全に外出・通所することが難しい
- 激しいこだわりや環境変化への強い抵抗があり、通常の通所方法では支援につながらない
- 興奮すると物を壊す、飛び出すなどの行動があり、集団場面で本人や周囲の安全確保が難しい
- 対人関係や社会的場面への著しい困難があり、通常の集団療育への参加が難しい
- 精神症状等によって長期間自宅に閉じこもっている、不登校・ひきこもりに近い状態になっている
重要なのは、診断名だけで判断するものではないという点です。
たとえば、自閉スペクトラム症(ASD)や精神障害の診断があるからといって、自動的に「外出や集団生活が著しく困難」に該当するわけではありません。反対に、障害特性によって実際の生活上、外出・通所・集団参加に重大な支障が生じているのであれば、具体的な状態を踏まえて判断することになります。
また、ここでいう「著しく困難」は、本人が単に「行きたくない」と言っていることだけを意味するものではありません。 障害特性、行動の状況、家庭での生活状況、これまでの通所状況、本人・家族への聞き取りなどから、通常の通所による支援が現実的に困難なのかを個別に確認することが重要です。
具体例
たとえば、ASDのある児童が放課後等デイサービスへ行こうとすると、玄関で激しいパニックになり、自傷や他害が生じるため、何か月も通所できていないとします。
このような場合には、
「通所する意思がない子」
と単純に考えるのではなく、
「障害特性によって外出・集団参加そのものが著しく困難になっている可能性がある子」
として、訪問による支援などを検討することになります。
特にこの表現は、居宅訪問型児童発達支援の対象児童を考える際に重要です。居宅訪問型児童発達支援は、重度の障害等の状態にあり、児童発達支援等を利用するために外出することが著しく困難な障害児に対して、居宅を訪問して発達支援を行う仕組みです。
したがって、実務上は、
「障害があるか」だけではなく、「その障害・行動上の問題によって、通常の児童発達支援や放課後等デイサービスへ通所することがどの程度困難になっているか」
を見るのがポイントです。
なお、「不登校だから」「ひきこもっているから」という理由だけで直ちに対象になるわけではありません。 不登校等の背景に精神障害や行動障害などがあり、それによって外出・集団生活が著しく困難になっているのかを個別に判断する必要があります。
(A2)「居宅訪問型児童発達支援」とは、障害の状態などによって児童発達支援センター等へ通うことが著しく困難な障害児に対して、支援員がその子どもの自宅を訪問して発達支援を行う障害児通所支援です。
通常の児童発達支援が「子どもが事業所へ通う」のに対して、居宅訪問型児童発達支援は、**「支援する側が子どもの自宅へ出向く」**のが大きな特徴です。
どんな子どもが対象?
主に、重度の障害などによって外出することが著しく困難な子どもが対象です。
例えば、重度の身体障害・知的障害が重複している子ども、医療的ケアが必要で外出が難しい子ども、重い精神障害や行動障害などにより外出や集団での支援を受けることが著しく困難な子どもなどが想定されています。
重要なのは、単に「外出が苦手」「集団が苦手」というだけではなく、障害の状態等から、児童発達支援・放課後等デイサービスなどへ通所して支援を受けることが著しく困難であることです。
自宅で何をするの?
訪問支援員が自宅を訪問し、その子どもの発達段階や障害特性に合わせて支援します。
具体的には、遊びなどを通した感覚・認知への働きかけ、姿勢や運動機能への支援、コミュニケーション・意思表示の練習、日常生活動作の練習、行動面への支援などです。
つまり、単なる「見守り」や「家事援助」ではなく、子どもの発達を促すための専門的な支援を自宅で行うサービスです。
保護者への支援も重要
子ども本人への直接支援だけでなく、実際の家庭生活を見ながら、保護者に対して子どもとの関わり方、コミュニケーション方法、環境調整などについて助言することも重要な役割になります。
例えば、強いこだわりや行動上の課題がある子どもなら、自宅の環境を確認しながら、「どのような刺激を減らすか」「どのような方法で予定を伝えるか」などを保護者と一緒に考えることができます。
一番簡単にいうと
通常の児童発達支援
→ 子どもが事業所へ通って発達支援を受ける
居宅訪問型児童発達支援
→ 通所することが著しく困難な子どもの自宅へ支援員が訪問して発達支援を行う
という違いです。
したがって、居宅訪問型児童発達支援は、「障害が重いなどの理由で通所できないから、療育そのものを諦める」のではなく、自宅まで専門職等が出向いて必要な発達支援を届けるための制度と考えると分かりやすいです。
⇓