(Q1)助産師による分娩介助を受けていた妊婦が、途中で産婦人科医に託され、そこで正常に出産した場合、この状況はどのように評価されますか?(Q2)助産師と産婦人科医の両者が分娩の介助を行った場合、それぞれの役割や責任はどのように区別されますか?
(A1)この場合は、産婦人科医に支払う分娩費用だけでなく、一定の要件を満たせば、それまで分娩介助をしていた助産師に支払う費用も出産扶助として認定して差し支えないとされています。
生活保護の問答集では、まさに「助産師が分娩介助をしていた妊婦に身体の異常が現れ、途中で産婦人科医に託され、その後正常に出産した場合」が示されています。そこで、助産師分の費用を認めるためのポイントとして、次の3点が挙げられています。
- 当初から、その助産師の介助で出産する予定だったこと
- その助産師が実際に、陣痛開始後の分娩介助に当たっていたこと
- 妊婦の身体の異常が、産婦人科医に引き継ぐ必要がある程度のものであったこと
- さらに、その地域の慣行などからみて、助産師にも費用を支払う必要があること
このような条件を満たす場合には、産婦人科医に対する出産扶助の基準額を認定したうえで、助産師に対する費用も別途認定することができます。 ただし、助産師は分娩後まで介助していないため、分娩後の処置に相当する費用は除いて考える必要があります。問答集では、助産師分について、出産扶助の基準額の8割相当額の範囲内で必要な額を認定して差し支えないとされています。
例えば、最初は助産所で出産する予定で、陣痛が始まってから助産師が実際に介助していたものの、途中で母体に異常が現れ、医師による対応が必要になったため産婦人科へ搬送され、そこで正常分娩となった場合です。このようなケースでは、
「最終的に病院で出産したから、助産師の費用は一切認めない」
という扱いにはせず、助産師が実際に行った分娩介助の内容を評価して、必要な費用を認定できます。
要するに、**「途中まで助産師が実際に分娩介助を行い、医学的に必要な事情から医師へ引き継いだ場合には、医師分の出産扶助に加えて、助産師分についても原則として基準額の8割相当額の範囲内で必要額を認定できる」**という取扱いです。
(A2)助産師と産婦人科医の両方が分娩に関わった場合は、**「正常な分娩を支える助産師」と「医学的な診断・治療を担う医師」**という形で、役割と責任が区別されます。
厚生労働省は、医師については母子の健康と安全に責任を負い、必要な診断・治療を行う役割、助産師については正常分娩の助産と、妊産婦・新生児の健康を総合的に守る役割を担うと整理しています。両者が適切に連携することが重要です。
具体的には、助産師は、正常な経過であれば、分娩の進行を観察し、産婦への声かけや体位調整、呼吸法の援助、分娩介助、新生児への対応などを行います。保健師助産師看護師法でも、助産師は「助産」を業とする専門職として位置付けられています。
一方、産婦人科医は、母体や胎児の状態を医学的に評価し、異常が発生した場合の診断・治療を担当します。たとえば、胎児心拍の異常、大量出血、分娩停止、妊婦の血圧異常などが生じた場合には、薬剤投与や手術、帝王切開など、医師でなければ行えない医療行為を行います。
特に重要なのが、正常分娩から異常分娩へ移行した場合の役割分担です。助産師は、妊婦・産婦・胎児・新生児などに異常があると認めた場合には、医師の診療を求めさせる必要があり、原則として自ら異常に対する医療的処置を続けることはできません。ただし、緊急時の応急処置は例外です。
例えば、最初は助産師が正常分娩として介助していたものの、途中で胎児の状態に異常が疑われ、産婦人科医へ引き継いだ場合は、引継ぎまでの正常分娩の助産については助産師が担当し、異常の診断・医学的処置やその後の医療については医師が担当するという整理になります。
ただし、「医師が途中から関わったら、それ以前の助産師の責任が全部なくなる」という意味ではありません。それぞれが自分の専門業務として実際に行った行為について責任を負うことになります。助産師には異常を適切に見極めて医師につなぐ責任があり、医師には医学的判断・治療についての責任があります。厚労省の助産業務ガイドラインでも、助産師は法令上の業務範囲で職務を行い、その範囲について責任を持つと整理されています。
生活保護の出産扶助との関係でも、この役割分担は重要です。助産師が途中まで実際に分娩介助を行い、医学的に必要な事情から産婦人科医へ引き継いだ場合には、最終的に医師が出産を取り扱ったからといって、助産師が行った介助がなかったことになるわけではありません。実際に行われた助産行為と医師による分娩・医療行為をそれぞれ評価して、費用認定を検討することになります。
要するに、**「正常な分娩の経過を支援・介助するのが助産師、異常の診断や治療を含め医学的管理を行うのが産婦人科医。両者が関わった場合は、それぞれが実際に担当した専門業務について責任を負い、異常が生じれば助産師から医師へ適切に引き継ぐ」**と理解すると分かりやすいです。
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