(Q3)仮に生活保護の開始決定が下りた場合でも、実際に保護費を受給できるまでの期間、Aさんはどのように生活費を捻出すればよいのでしょうか?(Q4)弁護士として、生活保護受給開始までの期間にAさんのためにできる具体的な支援やアドバイスにはどのようなものがありますか?
(A3)Aさんのように、生活保護の開始決定が出ても実際の保護費が手元に入るまで当座の生活費がない場合は、その事情を福祉事務所に具体的に伝え、つなぎの支援を利用できないか相談することが重要です。
厚生労働省は、生活保護の申請から決定までは原則14日以内、特別な理由がある場合は最長30日以内としています。その間の生活費がない場合には、社会福祉協議会の「臨時特例つなぎ資金貸付」などを利用できる場合があると案内しています。
また、Aさんが「今日食べる物がない」「所持金がほぼゼロ」「交通費もない」といった切迫した状況であれば、単に初回支給日まで待つのではなく、その日の生活が維持できないことをケースワーカーに明確に伝える必要があります。自治体や地域の社会福祉協議会によっては、食料支援、緊急的な貸付、その他の生活支援につなげてもらえる場合があります。厚労省も、生活費が枯渇し食料にも困るような場合には、必要な支援を行うよう示しています。
例えばAさんが、保護開始決定は出たものの初回支給まで数日あり、所持金が500円しかない場合には、
「保護開始決定は受けましたが、初回支給まで生活できるお金がありません。食費もありません」
と福祉事務所へ具体的に伝え、利用可能な緊急支援について相談するのが適切です。
なお、家族や知人から一時的に援助を受ける場合には、その金銭が生活保護上の収入としてどのように扱われるかという問題も生じるため、自己判断で多額の借入れや援助を受けるのではなく、事前にケースワーカーへ相談する方が安全です。
要するに、**「保護開始決定が出たのだから支給日まで自力で何とかしなければならない」というわけではありません。手持ち金がなく生活できない場合は、その窮迫状況を福祉事務所に伝え、社会福祉協議会のつなぎ資金や食料支援など、利用可能な緊急支援につないでもらう」**という対応が基本です。
(A4)弁護士として、Aさんが生活保護を申請してから実際に受給を開始するまでの期間に行える支援は、「申請手続を適正に進める支援」と「その間の生活を維持する支援」の両方です。
まず、申請が正式に受理されているか確認し、申請日を明確に記録しておくことが重要です。生活保護法24条では、福祉事務所は原則として申請から14日以内、特別な理由がある場合でも30日以内に開始・却下の決定を行うことになっています。30日以内に通知がない場合には、却下されたものとみなして争える仕組みもあります。
次に、福祉事務所から求められる資料の準備を支援します。預金通帳、給与・年金関係書類、賃貸借契約書、保険資料などについて、Aさんが自分で準備するのが難しければ、何が不足しているかを整理し、提出方法を確認します。ただし、必要書類が全部そろっていないから申請できないわけではありません。 厚労省も、特別な事情があれば申請書がなくても申請でき、申請後に通帳等の資料提出を求める場合があるとしています。
さらに重要なのが、Aさんの現在の生活状況を福祉事務所へ具体的に伝えることです。たとえば「所持金500円」「食料は今日まで」「家賃を支払えない」「必要な薬を購入できない」など、抽象的に「お金がない」と言うのではなく、いつまで生活できるのかを明確にします。生活が切迫している場合には、福祉事務所や社会福祉協議会等と連携し、当座の食料や生活費を確保できる支援につなぐことも考えられます。
弁護士であれば、福祉事務所との間で法的な問題が生じた場合にも対応できます。たとえば、申請を取り下げるよう求められた、親族への扶養照会を理由に決定が進まない、資産について一律に処分を要求された、管轄を理由にたらい回しにされた、といった場合には、法令・通知に基づいて福祉事務所へ適切な処理を求めることができます。
また、Aさんに借金、家賃滞納、退去問題、離婚、DV、債務整理など、生活保護以外の法的問題がある場合には、それらを同時に整理することも弁護士の重要な役割です。法テラスでは、一定の資力要件等を満たす人について無料法律相談や弁護士費用等の立替制度があり、生活保護への同行支援も対象となり得ます。
そして、保護開始決定が出たら、開始日や支給内容が正しいか確認することも大切です。生活扶助、住宅扶助、医療扶助、各種加算などに漏れがないかを確認し、却下された場合や内容に問題がある場合には、審査請求などの法的対応を検討します。
要するに、弁護士としては、
「申請日・決定期限を管理する → 必要資料を整理する → 当座の生活を確保する → 福祉事務所との問題を調整する → 借金や住居問題なども整理する → 保護決定の内容を確認し、必要なら不服申立てをする」
という形でAさんを支えることになります。
特にAさんが無収入・所持金ほぼゼロであれば、保護決定だけを待つのではなく、「今日から初回支給日まで、どうやって食事・住居・医療を確保するか」まで具体的に支援することが重要です。
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