(Q1)出身世帯に確実な収入がない場合や、施設入所者の収入が福祉年金程度で生活費・医療費を賄うのがやっとの場合、世帯分離は可能ですか?(Q2)適正な仕送りが行われている場合、世帯分離を選択することがより適切と判断されるのはどのような状況ですか?
(A1)はい、世帯分離が認められる可能性があります。
わかりやすく言うと、生活保護では原則として「同じ世帯の人はお互いに助け合う(世帯単位の原則)」とされています。しかし、次のような場合は実際に助け合うことが難しいため、世帯を別として扱う(世帯分離)ことがあります。
① 出身世帯に十分な収入がない場合
例えば、
- 親の年金が少ない
- 家族自身も生活が苦しい
- 仕送りや援助ができない
このような場合は、家族に扶養能力がないため、生活保護上も別世帯として扱われることがあります。
② 施設入所者の場合
例えば、
- 特別養護老人ホーム
- 障害者支援施設
- グループホーム(一部例外あり)
- 介護施設
などに入所している人で、
- 収入が老齢福祉年金や障害年金のみ
- その収入で施設利用料や日常生活費を支払うとほとんど残らない
という場合には、施設入所者本人を独立した世帯として取り扱い、世帯分離が認められることがあります。
判断のポイント
福祉事務所は次の点を確認します。
- 実際に生計を一緒にしているか
- 家族から経済的援助があるか
- 施設入所により生活が独立しているか
- 家族に扶養能力があるか
具体例
例えば、
- 85歳の母が特養に入所
- 年金は月5万円
- 息子も低所得で援助できない
この場合は、母を独立した世帯として扱い、生活保護の対象となる可能性があります。
行政書士として相談を受けた場合
「家族と戸籍が同じ」「住民票が同じ」というだけで世帯分離できないわけではありません。
重要なのは、
「実際に生計が別であり、相互扶養が期待できない状態であること」
を福祉事務所に説明することです。
そのため、施設入所者や高齢者・障害者の生活保護申請では、
- 収入状況
- 年金額
- 施設利用料
- 家族の収入状況
- 援助の有無
を整理した「世帯分離の理由書」を添付すると有効な場合があります。
(A2)この質問は生活保護の「世帯分離」に関するものです。
わかりやすく言うと、
「家族と一緒に住んでいても、その家族が十分な仕送りや生活費の援助を受けていて、生活保護を受ける必要がない場合」には、世帯分離をした方が適切と判断されることがあります。
具体例
例① 高齢の母と働いている息子が同居している場合
- 母:年金が少なく生活保護が必要
- 息子:会社員で十分な収入がある
- 息子は毎月母へ生活費を渡している
この場合、息子の収入で母の生活が維持できるなら、母だけを保護の対象にするのではなく、まず扶養関係を検討します。
一方で、
- 息子は自分の生活で精一杯
- 母へ渡している金額は限定的
- 母の生活費が不足する
という状況なら、母だけを生活保護の対象とするために世帯分離が検討されることがあります。
例② 障害者施設や病院に入所・入院している場合
- 親は生活保護受給中
- 子どもは障害者施設に入所
- 子どもには障害年金や家族からの仕送りがある
この場合、子どもの収入で施設生活が成り立っているなら、子どもを別世帯として扱う(世帯分離する)方が適切な場合があります。
「適正な仕送り」があるとは?
一般的には、
- 毎月継続して行われている
- 金額が安定している
- 実際に生活費として利用されている
- 通帳や振込記録で確認できる
という状態を指します。
まとめ
適正な仕送りが行われている場合に世帯分離が適切となるのは、同居していても実質的に家計が別であり、それぞれが独立して生活していると認められる場合です。
生活保護実務では、
- 同居しているか
- 家計が一緒か
- 仕送りの金額
- 扶養能力の有無
- 入院・施設入所の状況
などを総合的に見て、福祉事務所が世帯分離の可否を判断します。特に高齢者世帯、障害者世帯、施設入所者世帯では世帯分離が認められるケースが比較的多くあります。
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