(Q1)実施責任についての実施要領の規定は、生活保護法における「居住地」や「現在地」の解釈に関する標準を示したものと考えてよいのでしょうか?(Q2)生活保護法第19条の規定に基づく実施責任の決定において、「居住地」や「現在地」の取扱いが困難な場合、実施要領ではどのような認定方法が示されていますか?
(A1)生活保護法そのものでは、「居住地」や「現在地」という言葉は使われていますが、その具体的な判断基準までは細かく規定されていません。
そこで、厚生労働省の生活保護手帳別冊問答集や**生活保護法による保護の実施要領(実施要領)**において、
- どこを「居住地」と判断するのか
- どのような場合を「現在地」と扱うのか
- どの福祉事務所が実施責任を負うのか
について具体的な運用基準が示されています。
そのため、
「実施責任に関する実施要領は、生活保護法における『居住地』『現在地』の解釈・運用基準を示した行政上の指針である」
と理解するとよいでしょう。
ただし、実施要領は法律そのものではなく、あくまで厚生労働省が示した行政解釈・運用基準です。そのため最終的には、
- 生活保護法
- 生活保護法施行令
- 裁判例
- 厚生労働省通知
などを踏まえて判断されます。
簡単な例
居住地として扱われる例
神戸市須磨区のアパートに継続的に住んでいる人
→ 須磨区を管轄する福祉事務所が実施責任を負う。
現在地として扱われる例
住居を失い、神戸駅周辺で野宿している人
→ 申請時に現に所在する場所(現在地)を管轄する福祉事務所が実施責任を負う。
つまり、実施要領は、
「どの自治体が保護を担当するかを判断するために、『居住地』『現在地』をどのように解釈するかを示した基準」
という理解で差し支えありません。行政書士として福祉事務所とやり取りする際も、この実施要領の「実施責任」の規定を根拠に主張することがよくあります。
(A2)生活保護法第19条では、原則として
- その人に「居住地」がある場合 → 居住地を管轄する福祉事務所
- 居住地がない、または明らかでない場合 → 「現在地」を管轄する福祉事務所
が保護を実施するとされています。
しかし、実際には
- ネットカフェや車中生活をしている
- 病院に長期入院している
- 施設に入所している
- 住民票と実際の生活場所が異なる
など、「居住地」と「現在地」の判断が難しいケースがあります。
そのため実施要領では、
「その人の生活の本拠(生活の中心)がどこにあるか」を実態に基づいて認定する
という考え方が示されています。
わかりやすく言うと
例① アパートに住んでいるが住民票は別の市
→ 実際に生活しているアパートが居住地
住民票の場所ではなく、普段寝起きして生活している場所が基準になります。
例② ホームレス
→ 居住地なし
現在いる場所(現在地)の福祉事務所が担当します。
例③ 入院中で帰る家がない
→ 原則として病院所在地の福祉事務所が担当
居住地がない入院患者は、病院の所在地を管轄する実施機関が実施責任を負うとされています。
例④ 特養や老健に入所中
→ 入所前の居住地を担当する場合と施設所在地を担当する場合があり、実施要領の特例で判断
施設の種類によって取扱いが異なります。
試験や実務向けの一言でまとめると
「居住地・現在地の認定が困難な場合は、住民票ではなく、要保護者の生活の本拠(生活実態)を調査して認定する。」
これが実施要領の基本的な考え方です。
行政書士業務や生活保護申請同行の実務では、
「住民票主義ではなく生活実態主義」
と覚えておくと分かりやすいでしょう。
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