(Q1)実施責任がA市とB市に分かれる場合、どのようなケースが考えられますか?(Q2)例えば、実施責任がA市及びB市の両方に分かれる場合、どのような事例が想定されますか?

(A1)生活保護における「実施責任」とは、どの福祉事務所(市区町村)が生活保護を担当するかということです。

A市とB市に実施責任が分かれるケースとしては、主に次のような場合があります。

① 入院している場合

  • もともとA市に住んでいた人が、B市の病院に長期入院した場合
  • 実施責任は原則として入院前の居住地であるA市にあります。

  • 神戸市在住の方が姫路市の病院に入院
  • 保護を担当するのは神戸市

② 介護施設や障害者施設に入所した場合

  • A市に住んでいた人がB市の施設へ入所した場合
  • 原則として入所前の居住地であるA市が担当します。

  • 明石市在住の方が加古川市の特別養護老人ホームへ入所
  • 保護の実施責任は明石市

③ 無料低額宿泊所等へ移送された場合

  • A市で生活保護申請後、B市の施設へ入所した場合
  • 元々の居住地であるA市が担当することがあります。

④ 居住地がなく現在地保護となった場合

  • ホームレス状態でB市で保護申請を行った場合
  • まずB市が保護を開始
  • 後にA市に居住地があったことが判明すると、実施責任の調整が行われることがあります。

⑤ 転居した場合

  • A市で生活保護を受給中にB市へ引っ越した場合
  • 転居後は原則としてB市へ実施責任が移ります。

  • 神戸市から明石市へ転居
  • 保護は神戸市から明石市へ引継ぎ

簡単にまとめると

状況実施責任
他市の病院に入院元の居住地(A市)
他市の施設に入所元の居住地(A市)
他市へ転居転居先(B市)
ホームレスで申請申請した市(B市)
無料低額宿泊所等へ移送元の居住地(A市)が担当する場合あり

つまり、「住民票がどこにあるか」ではなく、「実際にどこで生活していたか」や「なぜその市にいるのか」によって実施責任が決まることがあります。 特に入院や施設入所では、現在いる場所ではなく「入院・入所前の居住地」が担当するケースが多いです。

(A2)生活保護において、A市とB市の両方に実施責任が分かれるケースは原則としてありません。 生活保護の実施責任は、通常は**1つの福祉事務所(1つの自治体)**が負います。

ただし、次のような場合に「どちらが実施責任を負うのか」が問題になることがあります。

例1 転居中の場合

A市で生活保護を受給している人がB市へ引っ越した場合

  • 転居前はA市が実施責任を持つ
  • B市に居住の実態が移った後はB市が実施責任を持つ

このため、引っ越しの前後で責任の引継ぎが行われます。

例2 病院や施設に入所した場合

A市で生活保護を受給していた人がB市にある病院や介護施設へ入院・入所した場合

  • 単なる入院・入所であれば、引き続きA市が実施責任を負うことが多い
  • 長期間の施設入所等で住所認定が変わる場合はB市へ移ることもある

例3 居住地が不明確な場合

例えば、

  • A市に住民票がある
  • 実際はB市で生活している

というケースでは、どちらが実施責任を負うか調査が必要になります。

例4 ホームレス等の場合

居住地がなく、

  • A市で保護申請した
  • 以前はB市に住んでいた

といったケースでは、現在地や保護開始時の状況を基に実施責任を判断します。

わかりやすく言うと

「A市とB市が半分ずつ生活保護費を出す」ということはありません。

実際には、

「最終的にA市かB市のどちらか一方が実施責任を負う」

ことになります。

そのため、「A市とB市の両方に実施責任が分かれる事例」とは、正確には

どちらが実施責任を負うか判断が必要な事例

を指すことが多いです。生活保護法上は、最終的に一つの福祉事務所が実施責任を持つのが原則です。

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