(Q1)甲とその子乙の2人世帯で、甲がA市で生活保護を受けていました。乙が中学校卒業後に就職し、世帯分離を行いました。その後、乙はB市の会社に就職し、A市のアパートを引き払い、B市の会社の寄宿舎に入居しました。この場合、甲の生活保護の実施責任はA市からB市に移るのでしょうか?(Q2)乙が既にA市から転居し、B市で独身寮に居住している場合、乙に将来甲を引き取る意思があるなど、出身世帯として認定すべき場合を除き、甲は単身者とみなされます。この場合、甲の生活保護の実施責任はどの自治体が負うことになりますか?
(A1)甲の生活保護の実施責任は、A市のままです。B市には移りません。
理由は、乙が世帯分離されたうえで、A市の住居を離れ、B市の会社の寄宿舎で独立して生活するようになったからです。甲と乙は、生活保護上も実際の生活上も別世帯となります。
生活保護の実施責任は、原則として、保護を必要とする本人の居住地を管轄する福祉事務所が負います。甲は引き続きA市に住んでいるため、甲についてはA市が実施責任を負います。
それぞれの取扱い
| 人物 | 居住・生活状況 | 実施責任 |
|---|---|---|
| 甲 | 引き続きA市に居住し、生活保護を受給 | A市 |
| 乙 | 世帯分離後、B市の会社の寄宿舎に入居 | 原則として甲とは別扱い |
乙は就職して自分の収入で生活できているのであれば、通常は生活保護の対象外になります。仮に乙がB市で生活に困窮し、新たに生活保護が必要になった場合には、原則として乙の居住地であるB市に申請し、B市が実施責任を負うことになります。生活保護法上、居住地がある要保護者については、その居住地の実施機関が保護を実施するのが原則です。
つまり、乙がB市へ転居しても、甲まで一緒に転居したことにはならないため、甲の担当福祉事務所がB市へ変わることはありません。
(A2)甲の生活保護の実施責任は、原則としてA市が負います。
乙はすでにA市を離れ、B市の独身寮で独立して生活しており、甲を将来引き取る具体的な予定もないため、甲と乙を同一世帯として扱いません。したがって、乙の現在の居住地であるB市に、甲の実施責任が移ることはありません。
甲は単身者として扱われ、甲が施設等に入る前にA市に居住していた、またはA市が従来から甲の保護を実施していたのであれば、引き続きA市の福祉事務所が甲の生活保護を担当することになります。
分かりやすく整理すると
- 乙:B市の独身寮で独立して生活している
- 甲:乙とは別世帯の単身者として認定される
- B市:乙が住んでいるだけなので、甲の保護責任は負わない
- A市:甲の入所前の居住地・従来の実施機関として責任を負う
つまり、「家族がB市へ移ったから、甲の生活保護もB市へ移る」という取扱いにはならないということです。
厚生労働省の実施要領でも、出身世帯と同一世帯として認定される場合には出身世帯の移転先を居住地としますが、別世帯となる場合にはその取扱いは適用されません。また、単身の施設入所者については、入所前の居住地や従来の保護実施機関を基準に実施責任を判断します。
回答文例
乙はB市の独身寮で独立して生活しており、甲を引き取る具体的な意思や予定がないため、甲と乙は別世帯として認定されます。したがって、乙の転居先であるB市に甲の保護の実施責任は移らず、甲の入所前の居住地または従来の保護実施機関であるA市が、引き続き甲の生活保護の実施責任を負います。
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