(Q)兄が亡くなり、負債が多かったため相続人全員が相続放棄をした結果、兄には相続人がいない状態です。
その後、兄より先に亡くなっていた母の遺産について遺産分割をする必要が出てきました。
この場合、母の相続人である兄が、相続人のいないまま相続することになりますが、兄が受け取るはずの母の遺産分はどのような扱いになるのでしょうか?
また、その部分についてどのような手続きをすればよいでしょうか?
(A)■ご質問の状況整理
- 兄が死亡
- 負債が多かったため、相続人全員が 兄の相続を放棄
➡ 兄には相続人がいない状態(相続放棄は兄の相続についてのみ) - 兄より先に死亡していた「母」の遺産について遺産分割が必要
➡ 母の相続人の1人が兄(しかし兄は既に死亡)
■結論:兄の相続分は「兄の相続財産」として扱われる
兄は母より後に死亡していますので、兄は一度 母の相続人として相続権が発生しています。
ただし兄は既に死亡しているため、
兄が受け取るはずだった母の遺産分は
兄の相続財産として扱われ、兄の相続手続きに組み入れられます。
■では兄には相続人がいない → その財産は?
兄には相続人が存在しないため、
兄の遺産(=母の遺産分)は
▼次の流れで処理されます
1️⃣ 相続財産管理人の選任(家庭裁判所)
※相続人なき遺産を管理・整理する人を選任
2️⃣ 相続財産管理人が債権者などに公告
3️⃣ 債務弁済後、残余財産があれば
4️⃣ 国庫に帰属(国のものになる)
■手続きの流れ(実務)
母の遺産分割協議を進めるために、
兄の相続財産を管理する人が必要になるため
「相続財産管理人選任申立て」を
兄の最後の住所地の家庭裁判所へ行います。
▼必要書類の例
- 申立書
- 兄の除籍謄本
- 母の戸籍関係書類
- 相続関係説明図
- 財産資料など
▼費用
- 予納金:約20〜50万円が多い(財産状況により変動)
※予納金は公告費・管理人への報酬等に使用され、余った場合は返金されることがあります。
■ポイント
- 兄の相続放棄は母の相続放棄ではありません
➡母の遺産については、放棄の手続きが別に必要 - 裁判所手続き(相続財産管理人)を経ないと遺産分割は進められません
- 負債額により、早期に破産手続きに移行することもあり
■まとめ(短く)
債務弁済後に余れば国庫に帰属
兄が母の遺産分を受け取っていたとみなし、それは兄の遺産となる
兄には相続人がいないため「相続財産管理人」を選任し、手続きを進める