(Q)資産の新たな形成を目的とした貸付金の利用には、どのような制限や注意点がありますか?
(A)生活保護では、新たな資産を作ることを目的とした貸付金の利用は、原則として認められません。
その理由は、生活保護制度は最低限度の生活を保障する制度であり、保護費や公的な貸付制度を利用して財産を増やすことを目的としている制度ではないからです。生活保護法では、利用できる資産は生活維持のために活用することが原則とされています。(laws.e-gov.go.jp)
なぜ制限されるのか
貸付金で新たな資産を取得すると、
- 土地や建物を購入する
- 高額な機械や設備を増やす
- 高級車を購入する
- 将来の資産形成を目的に設備を買いそろえる
など、資産を増やすことにつながる場合があります。
しかし、生活保護は税金を財源としているため、保護を受けながら資産形成を進めることは、制度の趣旨に合わないと考えられています。
例外的に認められる場合
一方で、貸付金の利用が資産形成ではなく、自立のために必要である場合には、利用が認められることがあります。
例えば、
- 仕事を続けるために必要な工具の購入
- 営業用の最低限の機械設備の購入
- 就職や事業再開に必要な設備の整備
などです。
この場合も、
- 本当に必要な設備か
- 収入増加や生活保護からの自立が見込めるか
- 規模が適正か
などを福祉事務所や貸付機関が審査します。
注意すべき点
1.生活保護費で返済することは想定されていない
貸付金を利用する場合でも、返済によって生活費が不足するようでは、本来の制度の趣旨に反します。
そのため、返済計画や収入見込みについても確認されます。
2.購入前に福祉事務所へ相談する
生活保護受給中に高額な設備や機械を購入すると、
- 保有が認められるか
- 貸付金の利用が適切か
- 収入認定などに影響しないか
を確認する必要があります。
事前に相談せずに購入すると、後から問題になることもあります。
3.「必要最小限」が原則
自立に必要であっても、
- 必要以上に高性能な機械
- 高級仕様の設備
- 事業規模に見合わない大型設備
などは認められにくく、必要最小限のものが求められます。
具体例
認められる可能性がある例
- 電気工事業を再開するために必要な工具を購入する。
- 美容師が営業再開のために必要最低限の器具を購入する。
- 農業を再開するために必要な小型農機具を購入する。
認められにくい例
- 将来の資産形成を目的に土地を購入する。
- 高級な営業車に買い替える。
- 必要以上に大型の機械設備を導入する。
- 投資目的で設備を購入する。
まとめ
生活保護では、貸付金を利用して新たな資産を形成することは原則として認められません。
ただし、就労や事業継続に必要で、生活保護からの自立につながる場合には、生活福祉資金貸付制度などの活用が認められることがあります。
行政書士として相談を受けた場合は、購入前に福祉事務所や社会福祉協議会へ相談し、
- 本当に必要な設備か
- 自立につながるか
- 貸付制度の利用条件を満たすか
を確認したうえで手続きを進めることが重要です。
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