(Q1)生活介護サービス費の基本報酬を算定する際、送迎に要する時間が往復3時間以上となる場合、「1時間を生活介護計画に位置付ける標準的な時間として加えることができる」という配慮規定がありますが、この規定の具体的な内容はどのようなものですか?(Q2)一度に複数人を同乗させる送迎ルートを設定し、送迎に要する時間が往復3時間以上となる場合、この配慮規定は適用されますか?
(A1)結論
この配慮規定は、長時間の送迎が必要な利用者について、事業所内で実際にサービスを受けた時間に一律1時間を加え、生活介護の基本報酬の時間区分を判定できる仕組みです。
ただし、送迎にかかった実時間すべてを加える制度ではありません。
往路と復路の送迎時間の合計が3時間以上の場合に、加えられるのは一律1時間
です。
1.対象となる場合
主に、次の条件を満たす場合に適用できます。
① 長時間送迎が必要な事情がある
例えば、
- 利用者が必要とする支援を提供できる事業所が居住地域にない
- 遠方の生活介護事業所を利用せざるを得ない
- 地域の事情により、長距離の送迎ルートとなる
などの事情がある場合です。
単に事業所側の都合で、非効率な送迎ルートを設定した場合まで当然に認める趣旨ではありません。
② 往路と復路の送迎時間の合計が3時間以上である
ここでいう「片道」は、一般的な「利用者宅から事業所までの時間」とは少し異なります。
厚生労働省は、
送迎車両が事業所を出発してから、事業所へ戻るまでの時間
を「片道」としています。
したがって、「往復3時間以上」とは、
- 朝の迎えの送迎ルート
- 夕方の送りの送迎ルート
に要した時間の合計が3時間以上であることを意味します。
2.加えられる時間は1時間だけ
送迎に往復3時間かかっても、標準的なサービス提供時間に3時間を加えるわけではありません。
加えられる時間は、
一律1時間
です。
具体例
事業所内での標準的なサービス提供時間が5時間の場合、
事業所内でのサービス提供時間 5時間
+送迎に係る配慮 1時間
=合計の標準的な時間 6時間
となります。
この場合、基本報酬は原則として、「6時間以上7時間未満」の時間区分で判定することになります。
3.複数の利用者を同じ車で送迎する場合
複数人が同乗する送迎ルートであっても、その送迎ルートの往路・復路の合計が3時間以上であれば、
同乗している利用者全員について、それぞれ1時間を加えることができます。
例えば、Aさん・Bさん・Cさんの3人を同じ送迎車で送迎し、その送迎ルートが往復3時間以上である場合は、3人全員の生活介護計画に「送迎に係る配慮1時間」を位置付けることができます。
これは、最初に乗った利用者だけが3時間以上車に乗っているかどうかで判断するものではなく、送迎ルート全体に要する時間で判断する取扱いです。
4.生活介護計画への記載が必要
この配慮規定を適用するためには、生活介護計画に、通常のサービス提供時間と配慮時間の内訳を明確に記載する必要があります。
記載例
標準的なサービス提供時間
・事業所内でのサービス提供時間 5時間
・送迎に係る配慮 1時間
─────────────────
・合計のサービス提供時間 6時間
ほかの配慮事項もある場合は、それぞれ分けて記載します。
厚生労働省Q&Aでは、次のような記載例が示されています。
・サービス提供時間 4時間
・送迎に係る配慮 1時間
・障害特性に係る配慮 30分
・送迎時の移乗等 30分
合計のサービス提供時間 6時間
このように、合計時間だけでなく、何の配慮で何時間を加えたのかが分かるようにすることが必要です。
5.送迎時間そのものをサービス提供時間にする規定ではない
この規定は、送迎中の3時間を生活介護サービスの提供時間として扱うものではありません。
あくまで、
長時間送迎によって事業所内の利用時間が短くなることへの報酬上の配慮
として、計画上の標準的な時間に1時間を加えるものです。
そのため、送迎に2時間50分かかった場合には、原則としてこの規定は使えません。また、往復4時間かかった場合でも、加えることができるのは1時間です。
6.送迎加算とは別の制度
この配慮規定と「送迎加算」は別のものです。
| 制度 | 評価する内容 |
|---|---|
| 送迎加算 | 事業所が利用者の送迎を実施したこと |
| 送迎に係る配慮規定 | 長時間送迎によって事業所内の利用時間が短くなることへの配慮 |
条件を満たしていれば、送迎加算を算定しながら、基本報酬の標準的な時間に1時間を加える取扱いも考えられます。
ただし、それぞれについて算定要件を満たし、必要な記録を残す必要があります。
具体例
例1:配慮規定を適用できる場合
- 朝の送迎ルート:1時間40分
- 夕方の送迎ルート:1時間35分
- 合計:3時間15分
- 事業所内の標準的なサービス提供時間:5時間
この場合、
5時間+送迎配慮1時間=6時間
として生活介護計画に位置付けることができます。
例2:適用できない場合
- 朝の送迎ルート:1時間20分
- 夕方の送迎ルート:1時間30分
- 合計:2時間50分
往復3時間未満なので、送迎に係る1時間を加えることはできません。
例3:複数人を送迎する場合
Aさん、Bさん、Cさんが同じ車に同乗し、
- 朝の送迎ルート:1時間45分
- 夕方の送迎ルート:1時間30分
- 合計:3時間15分
であれば、Aさん、Bさん、Cさんの全員について、それぞれ送迎配慮1時間を計画に位置付けることができます。
まとめ
この配慮規定のポイントは、次のとおりです。
- 利用者が必要な事業所を地域内で利用できない場合など、長時間送迎が必要なケースを想定している
- 朝の迎えと夕方の送りの送迎ルートの合計が3時間以上であること
- 標準的なサービス提供時間に加えられるのは一律1時間
- 複数人が同乗する場合も、同乗者全員にそれぞれ1時間を加えられる
- 生活介護計画に、通常の提供時間と送迎配慮1時間の内訳を明記する
- 送迎にかかった実時間そのものをサービス提供時間に含める制度ではない
簡単にいうと、
遠方から通うために長時間送迎を余儀なくされる利用者が、短い時間区分の報酬になりすぎないよう、計画上1時間を加えることができる配慮制度
です。
(A2)結論
適用されます。
一度に複数人を同乗させる送迎ルートであっても、その送迎ルートに要する時間が往復3時間以上であれば、同乗している利用者全員について、
それぞれ1時間を、生活介護計画に位置付ける標準的な時間に加えることができます。
厚生労働省の令和6年度報酬改定Q&Aでも、この取扱いが明確に示されています。
判断する時間の考え方
この場合の「片道」は、個々の利用者が車に乗っていた時間ではありません。
送迎車両が事業所を出発し、利用者を送迎して事業所へ戻るまでの時間
を片道として扱います。
そして、
- 朝の迎えの送迎ルート
- 夕方の送りの送迎ルート
の時間を合計して、往復3時間以上かどうかを判断します。
具体例
例えば、Aさん、Bさん、Cさんを同じ送迎車で送迎する場合に、
- 朝の迎えの送迎ルート:1時間40分
- 夕方の送りの送迎ルート:1時間35分
- 合計:3時間15分
であれば、往復3時間以上となります。
この場合は、Aさん、Bさん、Cさんの全員について、それぞれ、
通常の標準的なサービス提供時間+送迎配慮1時間
として生活介護計画に位置付けることができます。
仮に通常の標準的なサービス提供時間が5時間であれば、
5時間+送迎配慮1時間=6時間
として、基本報酬の時間区分を判断します。
注意点
利用者本人の乗車時間が3時間未満でもよい
例えば、送迎ルートの途中で最後に乗車した利用者は、実際の乗車時間が短い場合があります。
それでも、送迎ルート全体の往復時間が3時間以上であれば、その利用者も含めて、同乗者全員に1時間を加えることができます。
個々の利用者が実際に3時間以上乗車している必要はありません。
加えられるのは一律1時間
送迎時間が3時間30分や4時間であっても、加えることができるのは、
利用者1人につき1時間
です。
送迎にかかった時間をそのまま全時間加えることはできません。
生活介護計画への記載が必要
この配慮規定を使う場合は、利用者ごとの生活介護計画に、内訳が分かるよう記載します。
記載例
標準的なサービス提供時間
・事業所内でのサービス提供時間:5時間
・長時間送迎に係る配慮:1時間
・合計:6時間
また、送迎ルートや所要時間を確認できる運行記録なども残しておくことが適切です。
まとめ
複数人を同じ車に乗せて送迎する場合でも、
- 朝と夕方の送迎ルートの合計が往復3時間以上である
- 利用者ごとの生活介護計画に配慮時間を位置付ける
- 送迎時間を確認できる記録を残す
という取扱いを行えば、同乗している利用者全員について、それぞれ1時間を標準的な時間に加えることができます。
簡単にいうと、
個々の乗車時間ではなく、送迎車両のルート全体が往復3時間以上かどうかで判断する
ということです。
⇓