(Q1)肢体不自由児通所医療の受給者証に記載される内容に、どのような変更がありますか?(Q2)障害児通所給付費に係る通所給付決定業務等について、具体的にどのような変更点がありますか?
(A1)結論
令和6年度(2024年度)の制度改正で、医療型児童発達支援が「児童発達支援」に一元化されました。
これに伴い、肢体不自由児通所医療受給者証についても、従来の「医療型児童発達支援」という表現ではなく、現在は、
「児童発達支援(児童発達支援センターにおいて併せて治療を行う場合)」
という形で整理されています。現行(令和8年3月版)の事務処理要領でも、この表現が使われています。
何が変わったのか
以前は、障害児通所支援のサービス類型として、
「医療型児童発達支援」
が独立して存在していました。
しかし令和6年4月から、福祉型と医療型の児童発達支援センターが一元化されたため、障害児通所支援としての名称は基本的に**「児童発達支援」**になりました。
ただし、肢体不自由児について児童発達支援センターで発達支援と併せて治療を行う仕組み自体がなくなったわけではありません。
治療を行う場合には、通常の「通所受給者証」に加えて、現在も**「肢体不自由児通所医療受給者証」**が交付されます。
現在の受給者証には何が記載される?
現行の肢体不自由児通所医療受給者証には、主に、
- 公費負担者番号
- 公費受給者番号
- 通所給付決定保護者の住所・氏名・生年月日
- 肢体不自由児通所医療の負担上限月額
- 負担上限月額の適用期間
- 交付年月日
- 支給市町村名・連絡先等
が記載されます。
特に重要なのが、保護者欄について現行通知では、
児童発達支援(児童発達支援センターにおいて併せて治療を行う場合)の支給決定を受けた児童
について記載するものと整理されている点です。
通所受給者証の方も変わっています
通常の「通所受給者証」のサービス種類についても、現在は、
- 児童発達支援
- 放課後等デイサービス
- 居宅訪問型児童発達支援
- 保育所等訪問支援
という区分になっており、「医療型児童発達支援」という独立したサービス種類は記載されなくなっています。
具体例
以前であれば、
「医療型児童発達支援」+肢体不自由児通所医療
という整理でした。
現在は、
「児童発達支援」+児童発達支援センターで行われる治療(肢体不自由児通所医療)
という整理になった、と考えると分かりやすいです。
まとめ
一番重要なのは、
令和6年4月から「医療型児童発達支援」という独立したサービス類型が児童発達支援に一元化されたため、受給者証上も「児童発達支援」として整理されるようになった。ただし、児童発達支援センターで治療を併せて受ける肢体不自由児については、現在も別途「肢体不自由児通所医療受給者証」が交付される。
という点です。
なお、受給者証の具体的なレイアウトは市町村が一定の範囲で工夫できるため、自治体によって表示方法に多少違いがあります。
(A2)結論
障害児通所給付費の通所給付決定業務は、近年、「保護者の希望する利用日数をそのまま認める」のではなく、こども本人と家族の状況を丁寧に把握し、必要な支援量を個別に判断する方向に見直されています。
特に現在の事務処理要領では、主に次の点が重要です。こども家庭庁は現行の令和8年3月版の事務処理要領を公表しています。
- 調査項目が「5領域11項目」から5領域20項目へ見直された
- 本人だけでなく、家庭・保護者の状況も丁寧に把握する
- 健診結果、在籍園・学校での状況なども情報収集する
- 支給量を全員一律に決めず、児童・家族ごとに必要日数を決める
- 必要に応じて会議体で協議して給付決定することが望ましい
- 保育所等の一般施策との併用・インクルージョンも考慮する
という変更・明確化が行われています。
1.「5領域11項目」から「5領域20項目」へ変更
大きな変更の一つです。
令和6年4月以降の新規の支給申請では、障害児の状態を把握するため、
5領域20項目の調査
を行います。以前の5領域11項目よりも、こどもの発達状況や支援ニーズを幅広く把握する仕組みになりました。
また、この20項目は児童発達支援・放課後等デイサービスの支援で使われる「5領域」と結び付けられているため、市町村は調査結果を保護者に渡し、利用する事業所にも共有してもらうことが望ましいとされています。
2.手帳や診断名だけで判断しない
障害児通所支援を利用するために、
障害者手帳や確定した医学的診断名が必ず必要というわけではありません。
市町村は、
- 身体障害者手帳・療育手帳・精神障害者保健福祉手帳
- 特別児童扶養手当等の資料
- 保健センターや児童相談所等の意見
- その他、支援の必要性が分かる情報
などにより確認します。
診断名がなくても、障害が想定され、療育・発達支援の必要性が認められれば給付対象となり得ます。
3.家庭や保護者の状況も重視する
給付決定では、こどもの障害の状態だけを見るのではありません。
例えば、
- 保護者の心身の状態
- 保護者の就労状況
- 子育てによる精神的負担
- 家族から支援を受けられるか
- 地域とのつながり
- 利用できる社会資源
なども丁寧に把握することが求められています。
つまり、
「障害がどの程度か」だけでなく、「家庭全体としてどのくらい支援が必要なのか」
まで確認して給付決定する考え方です。
4.健診・保育所・学校等からの情報収集を重視
現在の事務処理要領では、必要な支援量を判断するため、
- 乳幼児健診での発達状況
- 子育て支援の利用状況
- 保育所・幼稚園・認定こども園での対応状況
- 学校での対応状況
などについても、必要な情報を集めることが望ましいと明記されています。
例えば、保護者から「週5日利用したい」と申請があった場合でも、市町村は家庭だけでなく、保育所や学校でどのように生活できているかなどを踏まえて必要日数を判断します。
5.支給量は「一律○日」ではなく個別に決定
ここも非常に重要です。
国は、
すべての障害児について一律の利用日数を定めるのではなく、児童本人と家族の支援ニーズに応じて個別に必要日数を定める
という考え方を示しています。
例えば、
- A児:週1~2日程度の専門的療育が必要
- B児:家庭負担も大きく週4日程度必要
- C児:医療的ケア等があり週5日程度必要
というように、同じ診断名でも必要な支給量が違うことがあります。
したがって、自治体が機械的に「児発は月10日まで」「放デイは月15日まで」と全員一律に決めることを国が求めているわけではありません。
6.会議体での協議を踏まえた決定が推奨
現在の事務処理要領では、支給の要否や必要量を適切に判断するため、一定の事項について、
会議体を設置し、その協議を踏まえて給付決定を行うことが望ましい
とされています。
会議体としては、
- 市町村審査会を活用する
- 障害者総合支援法上の協議会の構成員等を活用する
- 必要なメンバーで別途会議体を設ける
などが想定されています。
ただし、これは支給量について全国一律の基準を作るという意味ではありません。 国が目指しているのは「支給量の標準化」ではなく、給付決定の手続・判断プロセスの標準化です。
7.一般の子育て施策との関係も考慮
障害児通所支援だけでこどもの生活を組み立てるのではなく、
- 保育所
- 幼稚園
- 認定こども園
- 放課後児童クラブ
- 学校
- その他の地域の子育て支援
などを利用する機会も確保することが重視されています。
市町村は、本人・保護者の希望を踏まえながら、必要に応じて子育て支援担当部署と連携し、一般施策の情報を提供したり、保育所等訪問支援を活用したりすることが求められています。
これは、
「障害があるから障害福祉サービスだけを利用する」のではなく、地域の中で他のこどもと一緒に生活する機会も大切にする
というインクルージョンの考え方です。
8.医療的ケア児についても判断方法を明確化
乳幼児期、特に0~2歳程度の医療的ケア児は、5領域20項目だけでは支援の必要性を十分に評価できない場合があります。
そこで、必要に応じて、
医療的ケアの判定スコア
も使用し、医師の判断を踏まえて支給の要否・支給量を決定します。
なお、この判定スコアの調査は、保護者が望まない場合には省略できる取扱いです。
まとめ
現在の通所給付決定業務を一言でいうと、
「障害の程度や保護者の希望だけで決めるのではなく、こどもの発達、家庭状況、園・学校での生活、地域資源などを総合的に把握して、必要なサービスと利用日数を個別に決める仕組みへ整理された」
ということです。
特に実務上重要なのは、①5領域20項目による調査、②家庭・園・学校等からの情報収集、③一律ではない個別の支給量決定、④必要に応じた会議体での検討、⑤一般施策との併用・インクルージョンの考慮の5点です。
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