(Q1)不登校の状態にある障害児に対して発達支援を行う際、どのような要件が求められていますか?(Q2)事業所が不登校の状態にあると考えた障害児について支援を進める場合、どのような手順が必要ですか?
(A1)結論
不登校の状態にある障害児に対して、放課後等デイサービスが通常の発達支援に加えて、学校・家族と緊密に連携しながら計画的な支援を行った場合には、要件を満たせば**「個別サポート加算(Ⅲ)」70単位/日**を算定できます。
まず「不登校の状態にある障害児」に該当すること
対象となるのは、心理的・情緒的・身体的・社会的な要因や背景によって、
登校しない、または登校したくてもできない状態にあり、長期間、継続的または断続的に学校を欠席している児童
です。
ただし、病気や経済的理由による欠席は除かれます。
さらに、学校と情報共有したうえで、事業所と学校が緊密に連携して支援する必要があると判断された児童であることが必要です。
算定するための主な要件
分かりやすく整理すると、次の対応が必要です。
- 保護者の同意を得る
あらかじめ保護者の同意を得たうえで支援します。 - 個別支援計画に位置付ける
不登校の状態やその背景を把握・分析し、必要な支援を個別支援計画に具体的に位置付けます。しかも、この個別支援計画は学校と連携して作成する必要があります。 - 学校と月1回以上、情報共有する
学校との情報共有を対面またはオンラインで月1回以上行います。話し合った内容の要点を記録し、学校にも共有する必要があります。 - 家族への相談援助を月1回以上行う
家族に対しても、月1回以上相談援助を行います。方法は居宅訪問のほか、対面・オンラインでも可能です。児童・家族の意向や状況を把握し、事業所での支援状況などを共有して、その要点を記録します。 - 支援を継続する必要があるか学校と確認する
学校との情報共有の際には、児童の不登校の状態や登校状況等を確認し、個別サポート加算(Ⅲ)による支援を引き続き行う必要があるかを学校と事業所で検討します。 - 市町村から確認を求められたら説明できるようにする
市町村から、家庭・学校との連携状況や児童への支援内容について確認された場合には、事業所はその状況を回答する必要があります。
どのような発達支援を行うのか
単に「学校へ行けていないので、放課後等デイサービスで預かる」というだけでは十分ではありません。
まず本人の気持ちに寄り添い、学校・家庭からの情報も踏まえて、
「なぜ登校できない状態になっているのか」
という要因・背景をアセスメントします。
そのうえで、例えば、不安の軽減、自己肯定感を高める支援、他者とのコミュニケーション、生活リズム、社会参加など、その児童に必要な支援を個別支援計画に位置付け、計画的に実施することが重要です。
他の加算との重複にも注意
個別サポート加算(Ⅲ)の要件として行った学校との情報共有については、同じ行為について関係機関連携加算(Ⅰ)・(Ⅱ)を重ねて算定することはできません。
同様に、この加算の要件として実施した家族への相談援助について、同じ支援行為を家族支援加算として重ねて算定することもできません。
具体例
例えば、不登校が続いている中学生Aさんが放課後等デイサービスを利用している場合、
学校と月1回以上情報共有 → 家族とも月1回以上面談 → 不登校の背景や本人の希望を把握 → 個別支援計画に「不安の軽減」「生活リズム」「他者との交流」等を位置付ける → 計画に基づいて支援 → 学校と支援状況・本人の変化を共有
という流れで支援します。
これらの要件を満たしたうえで支援を行った日について、個別サポート加算(Ⅲ)70単位/日を算定する、という仕組みです。
要するに、「不登校児を放課後等デイサービスで受け入れた」だけでは算定できず、「本人への計画的な発達支援+学校との月1回以上の連携+家族への月1回以上の相談援助」を一体的に行うことがポイントです。
(A2)結論
事業所が「この児童は不登校の状態にあるのではないか」と考えただけで、すぐに**個別サポート加算(Ⅲ)**を算定できるわけではありません。
重要なのは、
事業所だけで不登校と判断せず、保護者の同意を得て学校と情報共有し、学校と事業所が連携して支援する必要性を確認したうえで、個別支援計画に位置付けて支援を開始する
という流れです。
手順を簡単に整理すると
① まず児童・家族の状況を確認する
事業所で、欠席状況だけでなく、
- いつ頃から登校できていないのか
- 継続的・断続的にどの程度欠席しているのか
- 本人が学校についてどう感じているのか
- 不登校になった背景・要因
- 家庭での生活状況
などを確認します。
単に「学校を休んだ日がある」というだけで対象になるわけではありません。
② 保護者から同意を得る
次に、学校と児童の情報を共有して連携支援を行うことについて、あらかじめ保護者の同意を得ます。
児童本人の意向にも十分配慮することが重要です。
③ 学校と情報共有する
ここが特に重要です。
事業所から学校へ連絡し、
「事業所では不登校の状態にあると考えています。学校での登校状況や児童の様子について情報共有させてください」
という形で連携します。
学校から、
- 出席・欠席の状況
- 学校での児童の様子
- 登校できなくなった背景
- 学校が現在行っている支援
- 本人・家族との関係
などの情報を得ます。
事業所の判断だけで「不登校児」と決定するのではなく、学校との情報共有が必要ということです。
④ 学校と「緊密な連携による支援が必要」と判断する
学校との情報共有を踏まえ、
放課後等デイサービスと学校が緊密に連携して支援を行う必要がある児童か
を確認します。
個別サポート加算(Ⅲ)は、単に不登校という状態だけで算定する加算ではなく、学校と事業所が連携して支援する必要性がある児童を対象としています。
⑤ 個別支援計画を作成・見直す
対象になると判断したら、不登校の状態や背景を踏まえて支援内容を検討し、学校と連携して個別支援計画を作成・見直します。
例えば、
「生活リズムを整える」
「安心して他者と交流できるようにする」
「本人が自分の気持ちを表現できるようにする」
など、その児童に必要な目標・支援内容を設定します。
⑥ 計画に基づいて発達支援を実施する
その後、個別支援計画に基づいて児童への発達支援を行います。
単なる「日中の預かり」ではなく、不登校の背景や本人のニーズを踏まえた発達支援を行うことが重要です。
支援開始後も連携が必要
一度対象と判断すれば、その後ずっと自動的に加算できるわけではありません。
支援開始後は、
学校との情報共有 → 月1回以上
家族への相談援助 → 月1回以上
を継続します。
学校との情報共有では、現在の登校状況や児童の変化を確認し、
「引き続き個別サポート加算(Ⅲ)による支援が必要か」
についても確認していきます。
同じ情報共有・相談援助について、関係機関連携加算や家族支援加算と重複して評価することはできない点にも注意が必要です。
流れを一言で整理すると
事業所が不登校の可能性を把握
↓
保護者の同意を得る
↓
学校と情報共有
↓
学校と連携した支援の必要性を確認
↓
学校と連携して個別支援計画を作成・見直し
↓
計画に基づく発達支援を実施
↓
学校と月1回以上情報共有+家族へ月1回以上相談援助
↓
継続して支援が必要か定期的に確認
という流れです。
したがって、最も大切なのは、
事業所だけで「不登校だから加算対象」と判断するのではなく、保護者の同意を得て学校と情報共有し、学校と事業所が連携して支援する必要性を確認してから計画的な支援を開始すること
と覚えておくと分かりやすいです。
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