(Q1)要保護世帯向け不動産担保型生活資金の利用が可能な場合、どのような対応が求められていますか?(Q2)不動産担保型生活資金の活用後、世帯の不動産保有はどのように認められますか?

(A1)はい。要保護世帯向け不動産担保型生活資金を利用できる場合は、原則として生活保護より先に、この貸付制度を利用して自宅不動産を活用することが求められます。 これは生活保護法4条の「資産の活用」の考え方によるものです。厚生労働省の実施要領でも、利用可能な場合は「当該貸付資金の利用によってこれを活用させる」とされています。

分かりやすくいうと、自宅を所有していても一定の場合はすぐ売却させるのではなく、その自宅を担保に生活費を借り、その家に住み続けながら生活を維持する方法をまず利用するという制度です。

特に重要なのは、福祉事務所が「この世帯は制度を利用できそうだ」と判断しただけで直ちに生活保護を打ち切るのではなく、実際の利用可否は社会福祉協議会の審査によって決まるという点です。その審査結果を踏まえて、福祉事務所が不動産の資産活用について判断します。

一方、制度を利用できるにもかかわらず本人が利用を拒否した場合には、福祉事務所はまず、資産の活用が生活保護の受給要件であることを説明し、制度の利用を勧めなければなりません。 その際には、貸付期間中も相談に応じることや、貸付を使い終えた後に再び生活に困窮し、他の生活保護の要件を満たせば生活保護を利用できることも説明することとされています。

それでも、正当な理由なく貸付制度の利用を拒否する場合には、厚生労働省の取扱いでは、資産活用を意図的に避けているため生活保護法4条の要件を満たさないものとして取り扱われます。その場合、すでに生活保護を受給している人は所定の手続きを経て保護廃止、新規申請者については保護申請の却下となることがあります。

また、貸付制度を実際に利用した場合、貸付契約が成立した時点で、その居住用不動産が具体的に活用可能な資産になったと判断されます。そして初回の貸付を受けられる月の初日が「資力発生日」とされます。貸付契約成立前にすでに支給されていた生活保護費については、原則として生活保護法63条による返還を求めない取扱いです。

つまり、流れを簡単にすると、

自宅不動産を保有している
→ この貸付制度を利用できるか確認
→ 社会福祉協議会が審査
→ 利用可能なら原則として貸付を優先
→ 貸付期間中はその資金で生活
→ 貸付終了後、なお困窮して生活保護の要件を満たせば生活保護を利用できる

という仕組みです。

したがって、「自宅を持っているから生活保護は絶対に受けられない」という制度ではありません。自宅を売却せずに生活資金として活用できる制度がある場合には、まずその制度を利用し、それでも最低生活を維持できなくなった場合に生活保護につなげるという考え方になります。

なお、実務上は「利用可能な場合」の具体的な要件、たとえば年齢・土地建物の評価額・抵当権の有無・推定相続人の同意なども重要です。必要であれば次に、要保護世帯向け不動産担保型生活資金の利用条件を、対象者・不動産要件・貸付額・生活保護との関係まで表にして説明できます。

(A2)はい。要保護世帯向け不動産担保型生活資金を実際に活用した後は、その居住用不動産について、原則として売却を求めず、保有を認める取扱いになります。

厚生労働省の生活保護実施要領では、居住用の土地・家屋について、一定の場合は保有を認めつつ、要保護世帯向け不動産担保型生活資金を利用できる不動産については、まずその貸付制度によって資産活用させることとされています。つまり、「家を売って生活費にする」のではなく、自宅を担保に生活資金を借りることで資産活用したうえで、その家に住み続けることを認める仕組みです。

たとえば、高齢者世帯が自宅を所有していて、その不動産が不動産担保型生活資金の対象になる場合は、次のような流れになります。

自宅を所有している
→ 不動産担保型生活資金を利用する
→ 自宅を担保として生活費の貸付を受ける
→ 不動産を資産として活用したことになる
→ 自宅そのものは保有したまま住み続ける

という考え方です。

ここが重要ですが、「貸付制度を利用した=家を福祉事務所に取られる」ということではありません。 所有権は基本的に本人に残ったままで、担保として抵当権等が設定され、その不動産を基礎として生活資金の貸付を受けます。

また、生活保護受給中の方がこの制度を利用した場合、必ず生活保護を「廃止」しなければならないわけでもありません。厚生労働省は、この制度の利用者については、貸付終了後に再び生活保護が必要になる可能性が高いことから、保護を廃止せず「停止」として扱うことも可能としています。

たとえば、

「80歳の単身者が自宅を所有している。しかし年金だけでは最低生活費に足りない」

というケースで、この制度を利用できれば、

生活保護を停止
→ 自宅を担保に生活資金の貸付を受ける
→ 自宅に住み続ける
→ 貸付可能額を使い切る
→ それでも最低生活を維持できなければ、改めて生活保護の適用を検討

という流れが考えられます。

なお、貸付制度を利用する際の不動産鑑定費用や抵当権設定登記費用など、必要となる費用については、一定の場合に生活保護の特別基準として認定できる取扱いも設けられています。

一方で、注意すべき点もあります。不動産なら何でも無条件に保有できるわけではありません。生活保護の基本的な考え方として、居住用家屋であっても、処分価値が利用価値に比べて著しく大きい場合などには、保有が認められず売却等を求められることがあります。

したがって、分かりやすく一言でまとめると、

「不動産担保型生活資金を利用できる自宅については、すぐに売却させるのではなく、自宅を担保に生活資金を借りることで資産活用し、その活用後は原則として自宅の保有を認め、住み続けられるようにする制度」

と理解するとよいです。

さらに重要なのは、**「貸付終了後、その家を売却しなければ生活保護を再開できないのか」**という点です。ここは実務上かなり重要なので、必要であれば次に「貸付終了後の生活保護再開と不動産保有の関係」を具体例付きで整理できます。

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