(Q1)入浴設備の敷設が認められる場合について、どのような条件が必要ですか?(Q2)「他に適当な入浴の方法がない」とは、どのように判断すべきですか?
(A1)はい。入浴設備の敷設費用は、一定の場合に住宅維持費として認定して差し支えないとされています。現行の厚生労働省「生活保護法による保護の実施要領の取扱いについて」問40に明示されています。
認められるのは、大きく分けて次の2つの場合です。
- 重度の心身障害者、歩行困難な高齢者等で、自宅で入浴することが真に必要と認められる場合
- それ以外の人でも、他に適当な入浴方法がないと認められる場合
たとえば、重い障害や歩行困難があり、公衆浴場まで行くこと自体が難しい人、あるいは身体の状態から公衆浴場を安全に利用できない人などは、自宅に入浴設備を設ける必要性が高いと判断され得ます。
また、障害や高齢でなくても、近隣に利用可能な公衆浴場がなく、家族による送迎や他の入浴サービスなども現実的に利用できない場合には、**「他に適当な入浴の方法がない」**として認められる可能性があります。
重要なのは、単に「自宅にお風呂が欲しい」という希望だけでは足りず、入浴設備を設置しなければ日常生活上必要な入浴を確保できないかという必要性を見ることです。
したがって福祉事務所では、本人の身体・精神状態、歩行能力、公衆浴場までの距離や利用可能性、介助の必要性、他の入浴サービスの有無などを確認し、個別に判断することになります。
なお、既存の風呂桶が壊れた場合についても、通知では近隣に公衆浴場がない場合には、補修費の範囲内で修理を認めて差し支えないとされています。
要するに、「自宅での入浴が真に必要な障害者・歩行困難な高齢者等」または「他に適当な入浴手段がない人」であれば、必要性を個別に確認したうえで、入浴設備の敷設費を住宅維持費として認定できるということです。
(A2)「他に適当な入浴の方法がない」とは、単に自宅に風呂がないというだけではなく、公衆浴場など別の方法を利用することが、その世帯の具体的な事情からみて現実的に困難であるかを総合的に判断するという意味です。
厚生労働省の生活保護問答集では、具体的な判断要素として、①最寄りの公衆浴場までの距離、②そこまでの所要時間、③世帯員の年齢、④健康状態、⑤その地域の生活実態などを総合的に考慮することとされています。
例えば、自宅に浴室がなくても、徒歩数分の場所に公衆浴場があり、本人も健康で問題なく通えるのであれば、通常は「他に適当な入浴方法がある」と判断されやすいでしょう。
一方で、公衆浴場がかなり遠い、公共交通機関も乏しい、高齢で長距離を歩くことが難しい、病気や身体状況から外出そのものが負担になる、といった事情が重なっていれば、形式上は公衆浴場が存在していても、実質的には利用困難であり「他に適当な入浴の方法がない」と判断される可能性があります。
また、この判断は「○km以上なら認める」「徒歩○分以上なら認める」という全国一律の距離基準で決めるものではありません。例えば同じ2kmでも、健康な若年者と歩行が不安定な高齢者では負担が全く違います。そのため、距離だけでなく、その人が実際に継続して公衆浴場を利用できるかという生活実態を見ることが重要です。
さらに、課長通知第7の14では、重度の心身障害者や歩行困難な高齢者などについて、自宅で入浴することが真に必要と認められる場合、またそれ以外の人でも「他に適当な入浴の方法がない」と認められる場合には、入浴設備の設置費用を住宅維持費として認定して差し支えないとされています。
したがって、分かりやすくまとめると、「近くに銭湯があるか」だけで判断するのではなく、銭湯までの距離・時間、本人の年齢や健康状態、交通手段、地域の一般的な入浴事情などを総合的に見て、現実に他の方法で入浴を継続できるかどうかで判断する、ということになります。
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