(Q1)Aさんが生活保護の申請をした場合、福祉事務所はAさんの兄であるBさんに連絡をするのでしょうか。(Q2)生活保護申請書には親兄弟その他の親族について氏名・住所・援助の見込みを記載する欄がありますが、Aさんは兄Bさんに経済的余裕がないため、連絡がいくことを心配しています。この場合、福祉事務所は実際にBさんへ連絡を取るのでしょうか。

(A1)Aさんが生活保護を申請した場合、兄であるBさんに必ず福祉事務所から連絡が行くわけではありません。

兄弟姉妹は民法上の扶養義務者に当たるため、福祉事務所はAさんから家族・親族関係を聞き取り、Bさんについても扶養の可能性を確認することがあります。生活保護の実施要領でも、兄弟姉妹は扶養関係の調査対象になり得ます。

ただし現在の取扱いでは、「扶養義務の履行が期待できない」と判断される親族には、原則として直接の扶養照会を行わないことになっています。厚生労働省は、2021年3月からこの考え方を明確化しています。

例えば、Bさんについて、長年まったく交流がない、著しく関係が悪い、過去に虐待・暴力等があった、Bさん自身が高齢・病気・生活困窮などで援助できない、といった事情があれば、福祉事務所が**「扶養を期待できない」と判断して、Bさんへの直接連絡をしない場合があります。**

逆に、AさんとBさんが普段から頻繁に連絡を取り合っていて、Bさんに十分な収入・資産があり、実際に援助できる可能性が高いと判断されれば、福祉事務所からBさんに「援助できますか」と扶養照会が行われる可能性があります。厚労省は、交際状況、扶養手当・税扶養の状況、収入・資産などを総合的に考慮するとしています。

そして非常に重要なのは、Bさんが「援助できません」と回答したからといって、Aさんが生活保護を受けられなくなるわけではないという点です。扶養義務者による扶養は生活保護に「優先」しますが、扶養を受けられること自体が生活保護開始の要件ではありません。 実際にBさんから援助があれば、その援助額を収入として考慮する、というのが基本です。

例えばAさんが、

「兄とは10年以上連絡を取っていない。今後も連絡してほしくない」

という事情があるのであれば、申請時にその理由まで具体的にケースワーカーへ伝えることが重要です。福祉事務所は、その事情を踏まえてBさんへの扶養照会が適切かを判断します。

要するに、「兄だから必ず連絡される」のではなく、AさんとBさんの関係、Bさんの扶養能力、援助を期待できる状況かどうかを確認したうえで、必要な場合に扶養照会が行われると考えると分かりやすいです。

(A2)この場合、兄Bさんに必ず連絡がいくわけではありません。 生活保護申請書に兄弟姉妹の氏名や住所を書く欄があっても、それだけで自動的に扶養照会が行われる仕組みではありません。

兄弟姉妹は民法上の扶養義務者なので、福祉事務所はまずAさんから、Bさんとの関係、交流状況、職業・収入、援助の可能性などを聴き取ります。そのうえで「Bさんから扶養を期待できるか」を判断します。厚生労働省の実施要領でも、兄弟姉妹は扶養義務者に含まれますが、扶養の可能性は個別に調査するとされています。

そして、Bさんに経済的余裕がなく、扶養能力がないと判断できるのであれば、直接の扶養照会をしない取扱いになる場合があります。 特に給与所得者については、所得税が課されない程度の収入で、特に大きな資産などもない場合には、原則として「扶養能力がないものとして扱って差し支えない」と厚労省の問答で示されています。

たとえばAさんが申請時に、

「兄Bはいますが、兄自身も収入が少なく、家族の生活で精一杯です。これまで経済的援助も受けておらず、今後も援助は難しいと思います」

と説明した場合、福祉事務所はその事情を踏まえて、Bさんへの照会が必要か判断します。

逆に、Bさんが高収入で資産もあり、Aさんと定期的に交流があり、実際に援助できる可能性が高いと判断された場合には、福祉事務所からBさんへ書面や電話で扶養照会が行われる可能性があります。厚労省は「明らかに扶養義務を履行できる者」の判断について、交際状況、扶養手当・税扶養の有無、高額な収入・資産などを総合して判断するとしています。

なお、Aさんが「兄に迷惑をかけたくない」という理由だけでは、必ず照会を止められるとは限りません。一方で、長期間音信不通、著しい関係不良、虐待・DV等の事情があり、扶養を期待できない、または連絡することが本人の自立を妨げると判断される場合には、原則として直接照会を行わない取扱いがあります。

また重要なのは、Bさんが援助できないからといって、Aさんが生活保護を受けられなくなるわけではないことです。扶養照会は生活保護申請の前提条件ではなく、親族から実際に援助が得られた場合に、その援助額を収入として考慮するのが基本です。

要するに、「申請書に兄Bさんを書いた=必ずBさんに連絡される」ではありません。Bさんに経済的余裕がないことをAさんが申請時に具体的に説明し、福祉事務所が扶養を期待できないと判断すれば、Bさんへの直接照会を行わないこともあります。

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