(Q1)生活保護の資産要件について、どのような基準が設けられていますか?(Q2)自動車を保有したまま生活保護を利用することは可能ですか?

(A1)生活保護の「資産要件」は、簡単にいうと、生活に使える資産がある場合は、まずその資産を最低生活の維持に活用することが原則という考え方です。生活保護法4条1項では、「利用し得る資産、能力その他あらゆるもの」を最低限度の生活の維持のために活用することを要件としています。

ただし、資産を持っている=生活保護を受けられない、という意味ではありません。 資産の種類や金額、実際に処分できるか、生活上必要かによって、保有が認められるものもあります。主な取扱いは次のとおりです。

  • 現金・預貯金
    原則として生活費に活用します。ただし、保護開始時の手持金については、家計上の繰越金程度として、原則最低生活費(医療扶助・介護扶助を除く)の5割までを収入認定しない取扱いがあります。
  • 土地・建物
    生活に利用していない土地・家屋は原則として売却等による活用を求められます。一方、本人が現在住んでいる持ち家については、処分価値が著しく大きい場合などを除き、保有が認められることがあります。
  • 自動車
    原則として処分対象ですが、障害がある人の通院・通所、公共交通機関が著しく不便な地域での通勤など、一定の条件を満たせば保有を認められる場合があります。求職中でも、一定の場合には通勤用自動車を一時的に保有できることがあります。
  • 仕事に必要な資産
    自営業に必要な店舗、機械、工具などは、それを使って収入を得る方が自立につながる場合には、処分せず保有を認められることがあります。
  • 生命保険、有価証券など
    解約返戻金や換金価値があるものは、原則として活用を検討します。ただし、処分価値が少額であるなど、実施要領上の保有容認要件に当たる場合には例外があります。資産については、種類・程度・内訳を申告し、資料があれば提出する取扱いです。

つまり、資産要件は**「○万円以上の資産があれば一律に生活保護不可」という単純な基準ではありません。** 福祉事務所は、①その資産を実際に換金・活用できるか、②最低生活に必要なものか、③処分価値はいくらか、④処分した場合にかえって自立を妨げないか、などを個別に判断します。実施要領でも、原則は売却ですが、売却が難しい場合には貸与して収益を得るなど別の活用方法も検討するとされています。

たとえば、預金が数百万円ある人なら、通常はまずその預金を生活費に充てることになります。一方、処分価値がそれほど高くない自宅に高齢者が長年住んでいるようなケースでは、自宅を持ったまま生活保護を受けられる可能性があります。

要するに、生活保護の資産要件は、**「生活に使える資産は原則として活用する。ただし、住居・自動車・仕事道具など、最低生活や自立のために必要な資産は一定の条件で保有を認める」**という仕組みです。したがって、「預金がある」「持ち家がある」「車がある」という理由だけで、申請そのものを諦める必要はありません。

(A2)はい、一定の条件を満たせば、自動車を保有したまま生活保護を利用することは可能です。

生活保護では、資産は原則として生活のために活用する必要があるため、自動車は原則として処分対象です。ただし、厚生労働省の実施要領では、生活や就労に不可欠で、他の手段では代替しにくい場合などに、例外的に保有を認める取扱いがあります。

代表的なのは、通勤に自動車が必要な場合です。公共交通機関が著しく不便で、車がなければ仕事を続けることが難しい場合などは、通勤用自動車の保有が認められることがあります。(mhlw.go.jp)

また、障害者・障害児の通院、通所、通学などに自動車が必要な場合も対象になり得ます。たとえば、公共交通機関では通院が著しく困難で、本人や同一世帯員が送迎する必要がある場合です。(mhlw.go.jp)

さらに、仕事を失った直後で現在は無職でも、近いうちに就職する見込みがあり、再就職後の通勤にその自動車が必要になる場合には、一定期間、処分を保留して保有を認められる場合があります。

保有を認めるかどうかでは、主に、車の処分価値が高くないか、排気量や車種が必要以上に高級ではないか、税金・保険・車検・ガソリン代などの維持費を生活保護費以外から無理なく負担できるか、公共交通機関など代替手段がないかなどを確認します。

たとえば、地方で働いているAさんが、勤務先まで公共交通機関では通勤できず、10年ほど使用している低価格の軽自動車で通勤している場合には、車を処分すると仕事そのものを失う可能性があるため、保有を認める方向で検討される可能性があります。

一方、特に使用目的がなく、高額で換金価値の高い車を所有している場合や、公共交通機関で十分代替できる場合は、原則として売却・処分を求められる可能性が高くなります。

なお、重要なのは、「車を持っているから生活保護の申請自体ができない」ということではありません。 まず申請を受け付けたうえで、その自動車について保有を認めるか、処分を求めるかを個別に判断します。厚生労働省も、生活保護申請時に自動車を保有していることだけで申請できないわけではないと案内しています。(mhlw.go.jp)

要するに、**「自動車は原則処分。ただし、通勤・通院・障害者の移動などに不可欠で、車の価値や維持費も妥当なら、保有したまま生活保護を受けられる場合がある」**と理解すると分かりやすいです。

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