(Q1)生命保険に加入している場合、生命保険を解約しないと生活保護を利用できないのでしょうか?(Q2)生命保険の解約が生活保護の申請にどのような影響を与えますか?

(A1)いいえ。生命保険に加入しているからといって、必ず解約しなければ生活保護を利用できないわけではありません。 生命保険を保有したまま生活保護を受けることが認められる場合があります。

生活保護では、利用できる資産は原則として最低生活の維持のために活用することになっています。そのため、生命保険についても、特に**解約した場合に受け取れる「解約返戻金」**が資産として問題になります。

ただし、厚生労働省の取扱いでは、保険を解約するよりも継続することが世帯の自立の助長に効果的であるなど、一定の条件を満たす場合には、解約させずに保護を適用できる取扱いがあります。厚生労働省「生活保護法による保護の実施要領の取扱いについて」

特に重要なのは、①解約返戻金がどのくらいあるか、②毎月の保険料がどのくらいか、③どのような保障内容なのか、④保険を継続することがその世帯にとって合理的かという点です。

例えば、長年生命保険に加入しているものの、現在の解約返戻金が比較的少額で、毎月の保険料も低額であるケースでは、直ちに「解約しなければ生活保護を開始しない」となるとは限りません。

反対に、解約返戻金がかなり高額で、それを解約すれば当面の生活費を十分に賄える場合には、まず解約返戻金を生活のために活用するよう求められる可能性が高くなります。

また、生活保護を申請するときには生命保険の存在を福祉事務所へ申告する必要があります。福祉事務所は保険会社への照会などによって、契約内容、保険料、解約返戻金などを確認したうえで、保有を認めるか判断します。

したがって、この質問を一言でまとめると、

「生命保険に入っている=生活保護を受けられない、ではありません。解約返戻金や保険料、保障内容などを調べ、保有を認めることが適当かを個別に判断します。」

ということです。

なお、学資保険や養老保険のように貯蓄性が高い保険は、掛け捨て型の生命保険とは資産性が異なるため、解約返戻金の額が特に重要になります。

(A2)生命保険を解約した場合に生活保護で最も重要になるのは、**解約によって受け取る「解約返戻金」**です。

生活保護は、利用できる資産をまず最低生活の維持のために活用することを原則としています。そのため、生命保険を解約して返戻金を受け取った場合、そのお金を無視して生活保護費が支給されるわけではありません。

わかりやすく言い換えると、

「生命保険を解約してお金が戻ってきたら、そのお金がある状態でもすぐ生活保護を受けられるのか?」

という質問です。

例えば、申請時に生命保険を解約して30万円の解約返戻金を受け取った場合、その30万円は原則として活用できる資産として扱われます。そのため、世帯の最低生活費などとの関係から、まずそのお金を生活費等に充てることを求められ、保護開始時期や保護費の計算に影響する可能性があります。

一方、解約返戻金が少額で、世帯の最低生活を維持するために十分な金額ではない場合には、「生命保険を解約したから生活保護を受けられない」ということにはなりません。 資産状況や収入、最低生活費などを総合的に判断して保護の要否が決定されます。

さらに重要なのは、そもそも生命保険を解約する必要がない場合もあることです。厚生労働省の取扱いでは、解約返戻金や保険料などが一定の範囲にあり、保険を継続することが世帯の自立の助長に効果的と認められる場合などには、保険を保有したまま保護を適用できる場合があります。厚生労働省「生活保護法による保護の実施要領の取扱いについて」

したがって、生活保護を申請するために、福祉事務所の判断を確認せず先に生命保険を解約してしまう必要はありません。 まず保険証券や解約返戻金証明書などを提出し、保有が認められる保険なのかを確認してもらうのが適切です。

要するに、**「生命保険を解約すると、返戻金は生活保護上の資産として扱われ、保護費や保護開始時期に影響する可能性がある。ただし、生命保険は必ず解約しなければならないわけではないので、先に契約内容・解約返戻金を福祉事務所に確認してもらう」**と理解すると分かりやすいです。

記事のお問い合わせ先 生活保護専門 神戸市の義足行政書士