(Q1)葬祭を行う扶養義務者がいないために葬祭扶助が行われた場合、死者名義の郵便貯金通帳があるときは、どのように処分すればよいですか?(Q2)郵便貯金通帳は、法第76条第1項にいう死者の遺留物品と解すべきでしょうか?

(A1)はい。この質問は、身寄りがなく、葬祭を行う扶養義務者もいないため生活保護の葬祭扶助で葬祭を行ったところ、亡くなった本人名義の郵便貯金が見つかった場合、その預金を葬祭費に充てることができるのか、という質問です。

簡単に言い換えると、

「生活保護から葬祭費を出した後で、亡くなった人の郵便貯金が見つかった場合、そのお金はどうするのでしょうか? 葬祭費として回収できるのでしょうか?」

という意味です。

基本的な考え方

この場合に重要なのが、**生活保護法第76条(遺留金品の処分)**です。

葬祭を行う扶養義務者がなく、生活保護法第18条第2項により葬祭扶助を行った場合、死亡者に残された金銭や有価証券などがあれば、一定の要件のもとで葬祭扶助に要した費用に充てることができます。

したがって、死亡者名義の郵便貯金についても、単純に「相続人がいないからそのまま福祉事務所がもらう」ということではなく、遺留金品として法令に従った手続を行うことになります。

郵便貯金通帳そのものを換金できるとは限りません

ここがこの質問の重要なところです。

「郵便貯金通帳が見つかった」からといって、福祉事務所が通常の預金者と同じように窓口へ行き、自由に預金を引き出せるわけではありません。

死亡者名義の預貯金については、金融機関側の死亡時の払戻手続や相続関係との調整も必要になります。

そのため、通帳の名義・残高・相続人等の状況を確認し、必要な手続を経たうえで、法第76条による遺留金品の処分として葬祭費への充当を検討することになります。

例えば

Aさんが死亡し、葬祭を行う扶養義務者がいなかったため、福祉事務所が葬祭扶助として20万円を支給したとします。

その後、Aさん名義の郵便貯金が10万円あることが判明した場合、

「10万円が見つかったから誰かに渡す」

と直ちに処理するのではなく、その預金が法第76条の対象となる遺留金品として処分できるかを確認し、処分できる場合には、葬祭扶助に要した費用への充当を行うことになります。

なお、遺留金品が葬祭費を上回る場合の残余財産については、法第76条だけで自由に処分できるわけではなく、相続・相続財産清算等の民法上の手続との関係を確認する必要があります。

したがって、一言でまとめると、**「葬祭を行う扶養義務者がなく葬祭扶助を行った場合に、死者名義の郵便貯金が見つかったときは、その預金を遺留金品として確認し、生活保護法第76条等に基づく適正な手続を経て、葬祭扶助に要した費用への充当を検討する。通帳があるからといって、福祉事務所が直ちに自由に引き出して処分できるわけではない」**と理解すると分かりやすいです。

(A2)はい。郵便貯金通帳は、生活保護法第76条第1項にいう「死者の遺留物品」と解することが、厚生労働省の実施要領の取扱いで明確に示されています。

この質問を簡単に言い換えると、

「身寄りのない生活保護受給者が亡くなり、郵便貯金の通帳が残されていた場合、その通帳は生活保護法上の『遺留物品』として福祉事務所が取り扱えるのでしょうか?」

という質問です。

結論は「遺留物品として扱います」

厚生労働省の課長通知「生活保護法による保護の実施要領の取扱いについて」第13・問2では、まさにこのケースが示されています。

そこでは、郵便貯金通帳は法第76条第1項の「死者の遺留物品」と解すべきとされています。ただし、通帳は単なる物品ではなく、預貯金債権が存在することを示す証拠物件でもあります。

そのため、通帳そのものを売却して葬祭費に充てるわけではありません。

郵便局の貯金窓口またはゆうちょ銀行の店舗に、具体的な払戻方法を確認したうえで、預金の払戻しを受けるという取扱いになります。

第76条との関係

生活保護法第76条第1項では、第18条第2項によって葬祭扶助を行う場合、実施機関は、死亡者が残した金銭・有価証券を保護費に充て、それでも不足するときは遺留物品を売却して、その代金を保護費に充てることができると規定しています。

例えば、

葬祭扶助に要した額 20万円
死亡者の郵便貯金残高 8万円

だったとします。

この場合、所定の手続によって8万円の払戻しを受けることができれば、その8万円を葬祭扶助に要した保護費に充当するという考え方になります。

なお、現在の厚生労働省の取扱いでは、死者の預貯金債権そのものについても、第76条第1項の適用上は「金銭」と同様に扱うことができるとの整理が示されています。

したがって、この質問への答えを一言でまとめると、**「はい。郵便貯金通帳は法第76条第1項の『死者の遺留物品』と解する。ただし、通帳は預貯金債権の証拠物件でもあるため、単に物品として処分するのではなく、郵便局またはゆうちょ銀行に払戻方法を確認し、預金の払戻しを受けて葬祭扶助費に充当する」**となります。

厚生労働省「生活保護法による保護の実施要領の取扱いについて」

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