(Q1)月額賃金改定において、基本給等以外の手当や賃金の一部を減額し、その分を基本給等に付け替えることで、本要件を満たすこととして差し支えないとされていますが、この場合、一部の職員の収入が減額されるような付け替えは可能でしょうか?(Q2)事業所全体の賃金水準や、個別の各職員の賃金額について、労働組合との労働協約や就業規則に基づきどのように取り扱うべきでしょうか?
(A1)はい。この質問は、処遇改善加算の**「月額賃金改善要件」**を満たすために、賞与や各種手当などを減らして、その分を基本給や毎月支払われる手当に移す場合、結果として一部の職員の年収・賃金総額が下がってもよいのかという問題です。
結論としては、単なる賃金項目の付け替えによって、一部の職員の賃金水準を引き下げるような取扱いは適切ではありません。
例えば、これまで、
基本給20万円+その他手当3万円=23万円
だった職員について、手当3万円をなくして、
基本給23万円+手当0円=23万円
とするのであれば、賃金総額を維持したまま基本給へ付け替えているため、考え方としては可能です。
しかし、
基本給20万円+手当3万円=23万円
↓
基本給22万円+手当0円=22万円
として、「基本給は2万円上がったので月額賃金改善要件を満たした」とするのは問題があります。職員本人から見れば、実際には月1万円の減収になっているからです。
特に処遇改善制度は、職員の処遇を改善するための制度です。そのため、要件を形式的に満たす目的で他の賃金を減額し、結果として職員の賃金水準を低下させることは、制度趣旨と整合しません。
また、処遇改善制度とは別に、既存の手当・給与を減額する場合には、労働契約法上の不利益変更など労働関係法令の問題にも注意が必要です。事業所が一方的に自由に給与を引き下げられるという意味ではありません。
したがって、考え方を整理すると、
「手当 → 基本給への付け替え」自体は可能
→ ただし、単なる名称変更だけで新たな賃金改善になるわけではない
→ 付け替えによって一部の職員の賃金水準を低下させるような運用は避ける
→ 処遇改善加算による必要な賃金改善を別途確保する
ということです。
要するに、**「基本給を増やすために他の手当を減らすことは一定の場合に可能だが、その結果、一部の職員を減収させて月額賃金改善要件を形式的に満たすような方法は適切ではない」**と理解すると分かりやすいです。
(A2)はい。この質問は、処遇改善加算のために賃金体系を変更するとき、事業所全体の賃金水準だけでなく、一人ひとりの職員の給与についても、労働協約や就業規則との関係をどう考えるのかという質問です。
結論としては、処遇改善加算の要件を満たせば、事業者が自由に職員の給与を変更してよいということではありません。 賃金の変更は、労働組合との労働協約、就業規則、賃金規程、個々の労働契約などに従って適切に行う必要があります。
例えば、処遇改善のために「これまでの手当の一部を基本給へ組み替える」という方法を採る場合でも、就業規則や賃金規程で手当の支給条件が決められているのであれば、必要な規程変更などを行います。
特に重要なのが、一部の職員の賃金が下がる場合です。
事業所全体では、
「全職員の賃金総額は増えている」
としても、ある職員だけ、
変更前:月25万円
→ 変更後:月23万円
となるのであれば、その職員にとっては不利益な変更になります。
このような場合、「処遇改善加算のためだから認められる」ということにはなりません。 労働協約や就業規則、労働契約法などに基づいて、その変更が適法・適切なものかを別途判断する必要があります。
逆に、
基本給20万円+毎月の手当3万円
→ 基本給23万円+手当0円
→ 合計23万円を維持
というような賃金体系の組替えについても、処遇改善制度上の要件だけではなく、既存の労働協約・就業規則・賃金規程との整合性を確認して実施します。
したがって、考え方としては、
処遇改善加算の要件を確認
→ 労働協約・就業規則・賃金規程を確認
→ 必要に応じて規程を改定
→ 職員への説明・周知
→ 個々の職員に不利益変更が生じないか確認
→ 適切に賃金改善を実施
という流れになります。
要するに、「事業所全体として処遇改善加算の賃金改善要件を満たすこと」と「個々の職員の賃金変更が労働法上適切であること」は別々に確認する必要があるということです。
特に、一部の職員の給与を下げて別の職員に多く配分するようなケースでは、処遇改善加算上の配分の柔軟性だけで判断せず、労働協約・就業規則・個別の労働契約等に照らして、不利益変更の問題がないかを確認することが重要です。
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