(Q)単身者が入院した場合、入院後6か月以内に退院できる見込みがあるときは住宅費を認定してよいとされていますが、複数の世帯員がいる場合で全員が入院したときは、住宅費の取り扱いはどのようにすればよいのでしょうか?
(A)複数世帯の場合は、「全員が入院した=直ちに住宅費を打ち切る」ではありません。 ただし、単身者について定められている「6か月以内に退院できる見込みがあれば住宅費を認定できる」という規定を、そのまま自動的に全員入院世帯へ当てはめるのではなく、世帯全体としてその住宅を維持する必要があるかを確認して判断することになります。
現行の生活保護実施要領では、単身者について、入院・入所中も従来どおり住宅費を支払う必要があり、6か月以内に退院・退所できる見込みがある場合には、6か月を限度に住宅費を認定できるとされています。さらに病状変化等により6か月を超えることになった場合でも、その時点から3か月以内に確実に退院・退所できる見込みがあれば、さらに3か月の認定が可能です。
一方、複数人世帯では、まず世帯員の一部だけが入院しているのか、全員が入院して住宅が完全に空いているのかを区別して考えます。家族の誰かが引き続きその家で生活していれば、当然その世帯の住居として住宅費の認定を続けることになります。
問題になるのは、例えば夫婦2人世帯で夫婦とも入院し、アパートが無人になったケースです。この場合でも、全員が比較的短期間で退院し、退院後にそのアパートへ戻って共同生活を再開する具体的な予定があり、契約維持のため家賃を払い続ける必要があるのであれば、住宅費を認定する余地があります。
実務上は、少なくとも次の点を確認することが重要です。
- 各世帯員の入院期間・退院見込み
- 誰が最も早く退院する予定なのか
- 退院後、本当に従前の住宅へ戻る予定なのか
- 住宅の賃貸借契約を継続しておく必要があるのか
- 家賃を支払わなければ住宅を失う状況なのか
- 長期入院になる世帯員について世帯分離を行う必要がないか
例えば、夫婦2人とも同時に入院したものの、夫は2か月後、妻は4か月後に退院予定で、退院後は従前のアパートへ戻ることが確実であれば、住宅を維持する合理的な必要性は高いと考えられます。
反対に、夫婦とも「退院時期未定」「1年以上の長期入院が見込まれる」など、近い時期に誰も住宅へ戻る見込みがなく、住宅を維持する実質的必要性もない場合には、住宅費を長期間認定し続けることは難しくなります。
なお、住宅扶助の世帯人員別限度額については別のルールがあります。現行の問答では、世帯員が入院または介護老人保健施設へ入所した場合でも、1年以内に退院が見込まれるときは、1年間に限って、その入院者も含めた世帯人員で住宅扶助限度額を適用してよいとされています。
つまり、ここは次の2つを分けると分かりやすいです。
① 空家になった住宅の家賃そのものを引き続き認定できるか
→ 退院見込みや、退院後そこへ戻る予定、住宅維持の必要性を個別に判断します。
② 住宅扶助の「何人世帯の限度額」を使うか
→ 入院者が1年以内に退院見込みなら、その人を含めた世帯人員の限度額を1年間適用できる取扱いがあります。
したがって、質問への答えを一言でまとめると、複数世帯員が全員入院した場合でも住宅費が当然に消滅するわけではなく、「誰がいつ退院し、その住宅に戻るのか」「その間住宅を維持する必要があるのか」を世帯全体について確認して認定する、という考え方になります。
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