(Q1)障害者(または障害児)が通院、通所、通学(以下「通院等」という)のために自動車を必要とする場合、自動車の保有は認められますか?(Q2)公共交通機関の利用が著しく困難な地域に居住している者が、通院等のために自動車を必要とする場合、自動車の保有は認められますか?

(A1)はい。一定の要件をすべて満たす場合には、障害者または障害児が通院・通所・通学のために必要とする自動車の保有は認められます。

生活保護では自動車は原則として活用すべき資産ですが、厚生労働省の「生活保護法による保護の実施要領の取扱いについて」第3・問12では、障害者(児)が通院等のために自動車を必要とする場合について、例外的に保有を認める基準を定めています。

具体的には、主に次の5つの条件を満たす必要があります。

  1. 通院・通所・通学のために定期的に自動車を使うことが明らかであること
    たまに使う程度ではなく、病院への定期通院、障害福祉施設への通所、学校への通学などに継続的に必要であることが求められます。
  2. 自動車以外の方法では通院等が非常に難しいこと
    障害の状態から利用できる公共交通機関が全くない、または利用が著しく困難であり、さらに送迎サービス、扶養義務者による送迎、病院・施設の送迎なども利用することが難しいことが必要です。タクシーを利用する場合と比べても、自動車による移動が地域の実情から妥当で、自動車でなければならないことが真にやむを得ないと認められる必要があります。
  3. 高価すぎる自動車ではないこと
    自動車の処分価値が小さいか、身体障害者用に改造された車であり、通院等に必要な最小限度のものとされます。目安として、排気量がおおむね2,000cc以下とされています。
  4. 維持費を確実に負担できること
    ガソリン代を除く、自動車税、車検、保険料、修理費などの維持費について、他からの援助や他制度の活用などによって、確実に賄える見込みがあることが必要です。
  5. 運転する人が限定されていること
    障害者本人が運転する場合、または、専ら障害者・障害児の通院等のために、生計を同じくする者や常時介護している人が運転する場合であることが求められます。

例えば、車いすを利用している障害児が週5日特別支援学校へ通学しており、自宅付近に利用可能な公共交通機関がなく、学校の送迎サービスも利用できない場合に、保護者がその子の送迎のために低価格の自動車を使用している、というケースです。このような場合には、その他の要件も満たせば、生活保護を受給しているからという理由だけで自動車を処分させるのではなく、保有を認めることができます。

なお、厚生労働省のケースワーカー向け実務資料でも、「自動車の保有は一律に認められない」という説明は適切ではないと明記されており、障害者等が通院・通所・通学のため定期的に必要とし、利用できる公共交通機関等がない場合などには、例外的に保有が認められることが整理されています。

また、上記の要件のどれかを満たさない場合でも、自動車の保有を認めることが真に必要といえる特段の事情がある場合には、その保有容認について厚生労働大臣に情報提供する取扱いも定められています。

したがって、簡単にまとめると、**「障害者・障害児が通院・通所・通学のため定期的に車を必要とし、公共交通機関や送迎サービスでは代替できず、車も必要最小限で、維持費の見通しなどの条件を満たす場合には、生活保護受給中でも自動車の保有を認めることができる」**ということです。

(A2)はい。一定の要件を満たせば、生活保護を受給していても自動車の保有は認められます。

厚生労働省の「生活保護法による保護の実施要領の取扱いについて」第3・問12では、公共交通機関の利用が著しく困難な地域に住んでいる人が、通院・通所・通学のために自動車を必要とする場合について、例外的に保有を認めて差し支えないとされています。

具体的には、主に次の条件を満たす必要があります。

  • 通院・通所・通学のため、定期的に自動車を利用することが明らかであること
  • 送迎サービスなど他の方法を利用することが困難であること
    例えば、自治体等の送迎サービス、扶養義務者による送迎、病院・施設の送迎などが利用できない場合です。
  • タクシー利用と比較しても、自家用車を利用することが地域の実情からみて合理的であること
  • 自動車を利用しなければ通院等が困難であり、真にやむを得ない事情があること
  • 自動車の処分価値が小さく、通院等に必要最小限の車であること
    排気量は、おおむね2,000cc以下が目安とされています。
  • 自動車税、車検、保険料、修理費などの維持費を確実に賄える見込みがあること
    通知上、ガソリン代を除く維持費について、他からの援助や他制度の活用等によって確実に賄えることが求められています。

例えば、山間部に住んでおり、自宅から病院まで20kmあるものの、路線バスが1日に1~2本しかなく、診察時間にも合わないとします。さらに病院の送迎サービスや家族による送迎も利用できず、毎週または毎月定期的に通院しなければならない場合です。

このようなケースでは、**「公共交通機関の利用が著しく困難で、自動車による通院が真にやむを得ない」**と認められれば、その他の要件も満たすことを前提に、自動車の保有が認められる可能性があります。

重要なのは、前のご質問にあった**「障害者・障害児だから例外的に認められる場合」だけではない**という点です。

今回の規定は、

① 障害者・障害児が通院等に自動車を必要とする場合

とは別に、

② 障害の有無にかかわらず、公共交通機関の利用が著しく困難な地域に居住し、通院等に自動車を必要とする場合

を独立した保有容認事由として定めています。

したがって、簡単にまとめると、「はい。公共交通機関が極めて不便な地域に住んでおり、通院・通所・通学に定期的に車が必要で、送迎サービスやタクシー等でも代替することが難しく、車も必要最小限で維持費の見通しがある場合には、生活保護受給中でも自動車の保有を認めることができます。」

なお、厚生労働省の最新のケースワーカー向け教材でも、「自動車の保有は一律に認められない」という説明はNGとされ、公共交通機関の利用が著しく困難な地域に居住する人について、一定の要件を満たせば通院等のための自動車保有が認められることが改めて示されています。

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