(Q1)最低生活費の認定はどのような基準や手続きによって行われますか?(Q2)住宅維持費について、一般基準額によることが難しい場合に適用される特別基準額(局第7の4の(2)のイ「年額」)の承認方法について説明してください。
(A1)最低生活費の認定は、簡単にいうと、「その世帯が健康で文化的な最低限度の生活を送るために、実際にどれだけの費用が必要か」を、国の基準と世帯の具体的な事情に基づいて福祉事務所が決める手続きです。
生活保護法8条では、保護は厚生労働大臣が定める基準によって要保護者の需要を測定し、収入等で満たせない不足分を補うこととされています。また、年齢、世帯構成、地域、健康状態などの違いを考慮することが求められています。
具体的には、まず世帯をどう認定するかを決めます。同居して生計を一にしている人は原則として同一世帯とし、その世帯全体について最低生活費を計算します。例外的に世帯分離が認められる場合もあります。
そのうえで、主に次のような費用を必要に応じて積み上げます。
- 生活扶助:食費、被服費、光熱水費などの日常生活費
- 住宅扶助:家賃・間代など
- 教育扶助:義務教育に必要な学用品等
- 医療扶助:必要な医療費
- 介護扶助:介護サービス費
- このほか、状況に応じて出産扶助、生業扶助、葬祭扶助や各種加算・一時扶助など
保護開始時の要否判定では、生活扶助、教育扶助、住宅扶助、医療扶助、介護扶助など、通知で定められた費目を「最低生活費」として計上します。
また、金額は全国一律ではありません。年齢、世帯人数、居住地域の級地、障害や疾病の有無、妊産婦かどうか、住宅費はいくらかなどによって変わります。実施要領は、一般的な需要だけでなく、健康状態等による特別な需要や、その需要が継続的か一時的かも考慮して認定するよう定めています。
特に重要なのは、最低生活費を机上の計算だけで決めてはいけないことです。局長通知第7では、**「当該世帯が最低限度の生活を維持するために必要な需要を基とした費用を、必ず実地につき調査し、正確に認定する」**ことが求められています。つまり、家庭訪問や聞き取り、家賃契約書、病状、世帯状況などを確認して判断します。
そして最終的には、
最低生活費 − 認定収入 = 保護費
という考え方になります。
例えば、その世帯について最低生活費が月15万円と認定され、給与や年金などの認定収入が月6万円なら、原則として不足する9万円分が保護費となります。厚生労働省も、最低生活費と世帯収入を比較し、不足分を保護費として支給する仕組みと説明しています。
したがって、まとめると、最低生活費は、①世帯を認定し、②年齢・人数・地域等に応じた生活扶助等の基準額を計算し、③家賃・医療・介護・障害等の個別事情を実地に確認して必要な費用を加え、④その合計額と収入を比較する、という手順で認定されます。
なお、生活保護では「全国一律○万円が最低生活費」という金額があるわけではなく、世帯ごとに最低生活費が異なるという点が一番重要です。
(A2)住宅維持費について、通常の一般基準額では必要な補修費等を賄うことが難しい場合には、一定の条件のもとで特別基準額を認定できます。
現行の局長通知第7の4の(2)のイでは、家屋の修理・補修その他維持に要する費用が、保護の基準別表第3の1の一般基準額では対応しにくく、かつやむを得ない事情がある場合には、一般基準額の1.5倍までを上限として、特別基準が設定されたものとして必要額を認定して差し支えないとされています。
現在の住宅維持費の一般基準額は、保護の基準別表第3で年額136,000円以内とされています。したがって、特別基準の上限は、単純計算では136,000円×1.5=204,000円となります。もっとも、204,000円を自動的に支給するのではなく、実際に必要な補修費について、その範囲内で認定する仕組みです。
承認・認定にあたっては、単に「修理代が高い」というだけでは足りません。実施機関は、なぜ一般基準額では対応できないのか、修理が最低生活の維持に本当に必要なのか、工事内容や金額が妥当かを具体的に確認します。
そのための資料として、厚生労働省の「特別基準が設定されたものとして取り扱う費用の認定にかかる承認の手続」では、住宅維持費について、主に保護台帳、直近の保護決定調書、実施機関の意見、補修計画書、図面、写真、経費見積書などを審査することとされています。
特に実施機関の意見では、現在の生活状況、今後の自立更生・援助方針、特別基準を設定する必要性、補修計画と費用の妥当性、他法他施策を利用できないか、扶養義務者など他から援助を受けられないかといった点を確認します。
例えば、台風で屋根が大きく破損し、雨漏りによってそのままでは生活できず、最低限の修理に18万円必要だとします。一般基準額136,000円では不足しますが、修理の必要性が高く、見積額も妥当で、他制度からの援助も利用できない場合には、特別基準の上限204,000円以内なので、必要額18万円を住宅維持費として認定できる可能性があります。
一方、必要な工事が30万円だったとしても、局第7の4の(2)のイだけで30万円全額を認定できるわけではありません。この規定による上限は一般基準額の1.5倍だからです。
要するに、**「一般基準額ではどうしても必要な最低限の修理ができない場合に、やむを得ない事情を確認し、補修計画・写真・見積書などを審査したうえで、一般基準額の1.5倍まで特別基準として必要額を認定する」**という仕組みです。
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