(Q1)保護を受けていなかった単身者で居住地のない者が入院した場合、医療扶助や入院に伴う生活扶助の適用はどのように決まりますか?(Q2)発病地の実施機関に申請や連絡ができない事情がある場合、保護責任はどのように判断されますか?
(A1)① まず生活保護の実施責任者はどこになるのか
居住地がない人の場合は、原則として
- 入院した病院の所在地
- または保護開始時にその人がいた場所
を管轄する福祉事務所が生活保護を担当します。
② 医療扶助はどうなるのか
その人に資産や収入がなく、生活保護の要件を満たす場合は、
- 入院治療に必要な費用
- 診察費
- 検査費
- 薬代
などについて医療扶助が適用されます。
つまり、生活保護が開始されれば、医療費は原則として自己負担なく受けられます。
③ 入院中の生活扶助はどうなるのか
入院すると通常の生活費は不要になるため、
- 食費
- 光熱費
- 日常生活費
などを含む通常の生活扶助は支給されません。
ただし、
- 日用品購入費
- 通信費
- 理美容費
- その他の個人的な支出
として、**入院患者日用品費(入院患者加算相当額)**が支給されます。
④ 退院後の住まいがない場合
退院後も住居がない場合には、
- 無料低額宿泊所
- 救護施設
- アパート等への転居
を検討しながら保護が継続されます。
住居が確保されれば、その時点から通常の生活扶助や住宅扶助が支給されることになります。
実務上のまとめ
居住地のない単身者が入院した場合は、
- 病院所在地等を管轄する福祉事務所が保護を担当
- 生活保護の要件を満たせば医療扶助が適用
- 入院中は通常の生活扶助ではなく入院患者向けの基準額が支給
- 退院後に住居を確保すれば住宅扶助・生活扶助へ移行
という流れになります。
根拠としては、生活保護法第19条(実施責任)、生活保護法第15条(医療扶助)、および厚生労働省の生活保護手帳別冊問答集・実施要領に基づく運用です。
(A2)結論からいうと、発病地(病気になった場所)の福祉事務所に連絡や申請をすることが事実上困難な事情がある場合は、現在いる場所の実施機関(福祉事務所)が保護責任を負うことがあります。
わかりやすい例
例① 入院中で動けない
神戸市に住民票がある人が東京で倒れて入院した場合
通常は東京の発病地の福祉事務所が対応を検討します。
しかし、
- 意識障害がある
- 重病で手続きができない
- 親族もいない
- 発病地の福祉事務所との連絡が困難
といった事情がある場合は、
現在入院している病院所在地の福祉事務所が保護開始の対応を行うことがあります。
例② DVや虐待から避難している
元の居住地に連絡すると危険がある場合
- DV被害
- ストーカー被害
- 虐待からの避難
などの事情があれば、
元の実施機関への連絡が困難と判断され、
避難先の福祉事務所が保護責任を負うことがあります。
判断基準
福祉事務所は次のような事情を総合的に見ます。
- 本人が申請できる状態か
- 発病地の実施機関に連絡できるか
- 緊急保護の必要性があるか
- 移送が可能か
- 本人の安全確保が必要か
その結果、
「発病地の実施機関への連絡や移管を待っていては保護が受けられない」場合には、現在地の実施機関が保護を行うことになります。
実務上のポイント
行政書士として相談を受けた場合は、
「発病地の実施機関への申請・連絡が困難であるため、現在地の福祉事務所において保護申請を受理し、保護責任を負うべきである」
という形で説明することが多いです。
特に、
- 入院中
- 高齢者
- 認知症
- DV避難
- ホームレス状態
- 精神疾患で移動困難
といったケースでは、この考え方が重要になります。
なお、この取扱いの根拠となる生活保護法上の「保護の実施責任」や厚生労働省通知についても必要であれば、条文・通知名まで含めて詳しく解説できます。
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