(Q1)甲の就労形態について 甲は中学校卒業後、しばらく両親のもとで農業に従事した後、各地の飯場を転々としながら労働者として生活し、年に数回程度帰省して収入の一部を両親に渡していました。このような場合、甲の就労は「出稼ぎ」と認められるのでしょうか?(Q2)保護責任の所在について 甲が土木工事中に負傷し、保護を要する状態となった場合、甲に対する保護の実施責任は誰にあるのでしょうか?また、甲が退院後に両親のもとへ帰りたいと希望しているものの、両親は医療費を負担できない場合、どのような対応が求められるのでしょうか?
(A1)わかりやすく言うと、出稼ぎとは「本来の生活の本拠地(家族のいる家など)を残したまま、仕事のために他の地域へ行って働くこと」です。
ご質問のケースでは、
- 中学校卒業後、実家で農業に従事していた
- その後、各地の飯場(建設現場などの宿舎)を転々としながら働いていた
- 年に数回は実家に帰省していた
- 収入の一部を両親に渡していた
という事情があります。
そのため、甲が各地で働いていても、生活の本拠が両親のいる実家にあり、家族とのつながりを維持しながら働いていたと認められる場合には、「出稼ぎ労働者」と判断されることが多いです。
一方で、
- 実家との関係がほとんどなくなっていた
- 長期間帰省していなかった
- 働いていた地域に生活の本拠を移していた
などの事情があれば、単なる移動労働者や日雇労働者と判断されることもあります。
結論
甲は各地の飯場を転々としていたものの、定期的に帰省し、収入の一部を両親に渡していたことから、実家を生活の本拠としていたと考えられ、「出稼ぎ」と認められる可能性が高いと考えられます。ただし、最終的には帰省状況や生活実態などを総合的に判断して決められます。
(A2)① 甲が土木工事中に負傷し、入院して保護が必要になった場合
生活保護の実施責任は、原則として甲が現在いる場所を管轄する福祉事務所にあります。
例えば、
- 神戸市在住の甲が大阪市内の工事現場で事故に遭った
- 大阪市内の病院に入院した
という場合は、まずは入院先病院所在地を管轄する福祉事務所が生活保護の相談・申請を受け付けることになります。
本人が負傷して動けない場合でも、病院職員や親族などを通じて申請することができます。
② 退院後に両親のもとへ帰りたい場合
甲が
「退院したら両親の家で生活したい」
と希望している場合は、退院後の居住地が両親宅の所在地になります。
そのため、退院後は
両親宅所在地を管轄する福祉事務所
が生活保護の実施責任を負うことになります。
③ 両親が医療費を負担できない場合
生活保護では、
- 両親に扶養照会が行われることはありますが
- 両親に支払能力がなければ、無理に負担を求められることはありません
両親が
「収入が少なく医療費を負担できない」
と回答した場合は、その内容を踏まえて福祉事務所が判断します。
甲自身に資産や収入がなく、両親も援助できないのであれば、
- 医療扶助(医療費)
- 生活扶助(生活費)
- 住宅扶助(必要な場合)
などの生活保護が検討されます。
まとめ
- 入院中は、原則として入院先所在地の福祉事務所が保護の実施責任を負う。
- 退院して両親宅へ帰る場合は、両親宅所在地の福祉事務所が担当する。
- 両親に扶養能力がなければ、医療費等の負担を強制されることはない。
- 甲に収入や資産がなく、親族の援助も受けられない場合は生活保護の対象となり得る。
行政実務では、退院後の居住先が決まっている場合、入院先の福祉事務所と転入先の福祉事務所が連携して保護開始や移管の手続きを行うことが一般的です。
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