(Q) 甲はA市で農業に従事していますが、冬期はB市に出稼ぎに行くのが常です。ある年、甲はB市の病院に入院し、妻もB市で就労しながら甲の世話をしています。農業は親戚が面倒を見ており、甲は退院後A市に帰る予定で家もそのままにしてあります(現在は誰も住んでいません)。しかし、住民登録はB市で行っています。甲は医療費を支払うことができないため、A市に援助を求めてきました。甲のように、実際の居住地と住民登録地が異なる場合、医療費の支払いに関する行政責任はどちらの市にあるのでしょうか?

(A)このケースでは、原則としてB市が生活保護(医療扶助を含む)の実施責任を負う可能性が高いと考えられます。

わかりやすく説明すると

生活保護の実施責任を決める際は、単に住民票がどこにあるかだけではなく、

  • 現在どこで生活しているか
  • 生活の本拠(生活の中心)がどこにあるか
  • 世帯がどこで暮らしているか

といった実態を総合的に判断します。

本件では、

✅ 甲はB市の病院に入院中
✅ 妻もB市で働きながら介護している
✅ 住民登録もB市に移している

という事情があります。

一方で、

✅ A市には自宅が残っている
✅ 農業も継続している
✅ 退院後はA市へ戻る予定

という事情もあります。

しかし、現在の生活実態を見ると、夫婦ともにB市に生活の拠点を置いている状態と考えられるため、保護の実施責任はB市にあると判断される可能性が高いです。

ポイント

「出稼ぎだから必ず元の住所地(A市)が担当する」というわけではありません。

出稼ぎ先であっても、

  • 長期間滞在している
  • 家族も一緒に生活している
  • 住民票も移している

場合には、生活の本拠がB市に移ったと判断されることがあります。

結論

この事例では、

住民票がB市にあり、夫婦ともB市で生活している実態があるため、医療扶助を含む生活保護の実施責任はB市にあると考えられます。

したがって、甲が医療費の援助を求める場合は、原則としてB市の福祉事務所へ相談・申請することになります。

なお、これは生活保護法上の「居住地認定」の問題であり、最終的には福祉事務所が個別事情を調査して判断します。行政書士試験やケースワーカー研修で出てくる典型事例では、住民登録地ではなく「現に生活の本拠がある場所」が重視されます。

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