(Q1)夫が入院し、妻がその付添看護のため病室に宿泊している場合、妻の居住地は病院内に移転したと考えてよいのでしょうか?(Q2)妻がこれまで居住していた借間を引き払い、病院内で日常の起居を行っている場合でも、妻の居住地は病院内とみなされますか?
(A1)通常は妻の居住地が病院に移転したとは考えません。
わかりやすく言うと、
病院で寝泊まりしていても、それが「夫の看病のための一時的な滞在」であれば、妻の居住地はこれまで住んでいた自宅のままです。
なぜですか?
「居住地」とは、**生活の本拠(生活の中心となる場所)**をいいます。
妻が病院に泊まっている理由は、夫の付添看護をするためであり、
- 自宅を引き払っていない
- 看病が終われば自宅に戻る予定
- 病院は治療や付添のための一時的な滞在場所
であれば、生活の本拠は依然として自宅にあります。
具体例
例えば、
- 夫が3か月入院し、妻が毎日病室で寝泊まりしている。
- 自宅には家具や荷物があり、退院後は夫婦で自宅に戻る予定。
この場合でも、妻の居住地は自宅であり、病院が居住地になるわけではありません。
一方で、
- 自宅を処分・退去した
- 今後も病院や施設を生活の拠点とする特別な事情がある
など、生活の本拠そのものが変わったといえる事情があれば、別の判断となる可能性があります。
行政書士試験・実務でのポイント
付添看護のために病院に宿泊していても、それは一時的な滞在にすぎず、通常は居住地が病院内へ移転したとは考えません。居住地は生活の本拠である自宅にあると判断されます。
この考え方は、生活保護の実務における居住地認定や、民法上の「住所(生活の本拠)」の考え方とも整合しています。
(A2)原則として、その場合は病院が妻の居住地とみなされます。
わかりやすく説明すると、
- 妻がこれまで住んでいた借家やアパートを**すでに退去(引き払い)**している。
- 入院中の病院で食事や睡眠など、日常生活を送っている。
- 退院後に戻る住居がない。
このような場合は、生活の本拠(生活の中心)が病院になっているため、居住地は病院所在地と判断されます。
具体例
例えば、
- 神戸市のアパートを退去
- 明石市の病院に長期入院
- 退院後に戻る家がない
この場合は、明石市の病院が居住地として扱われるのが原則です。
一方で、病院が居住地とみなされない場合
次のようなケースでは、病院ではなく元の住所が居住地と判断されることがあります。
- 入院は一時的である。
- 借家を退去していない。
- 退院後に戻る住居が決まっている。
つまり、「生活の本拠」がどこにあるかで判断されます。
生活保護での考え方
生活保護では、居住地の判断は実際に日常生活を営んでいる場所を基準とします。そのため、住居を引き払って病院だけで生活している場合は、通常、病院所在地を管轄する福祉事務所が担当することになります。
行政書士として相談を受けた際には、
- 借家を退去した日
- 入院期間
- 退院予定
- 退院後の住居の有無
を確認すると、どの福祉事務所が実施責任を負うかを判断しやすくなります。
⇓