(Q)施設入所者と出身世帯との間に生計同一関係がない場合、どのような認定がされますか?例:生計同一関係がない場合、出身世帯の移転時に別世帯と認定されることが多いのはなぜですか?

(A)施設入所者と出身世帯との間に、生活費の援助や家計の一体性などの生計同一関係がなく、今後も一緒に生活する見込みが乏しい場合は、生活保護上も、施設入所者を出身世帯とは別の世帯として認定することがあります。

ただし、生計同一関係がないだけで自動的に別世帯になるわけではありません。 入所期間、家族関係、援助の実態、退所後に戻る予定があるかなどを総合的に判断します。

なぜ出身世帯の移転時に別世帯と認定されやすいのか

生活保護上の世帯は、住民票だけではなく、主に次の実態によって判断されます。

  • 生活費を一緒に管理しているか
  • 家族から継続的な仕送りや援助があるか
  • 退所後に出身世帯へ戻る予定があるか
  • 家族として生活を支え合う関係が続いているか
  • 入所が一時的なものか、長期化しているか

生活保護の実施要領では、原則として「同じ住居に住み、生計を一にしている者」を同一世帯として認定します。別々に住んでいても、家計や生活関係が一体であれば同一世帯になることがあります。逆に、居住も家計も完全に分かれ、今後も一緒に暮らす見込みがなければ、同一世帯として扱う実態が弱くなります。

出身世帯が別の住居へ移転した場合、施設入所者については、

「新しい住居に本人が住んだことがない」
「本人の部屋が用意されていない」
「退所後にそこへ戻る予定がない」
「家族から生活費の援助を受けていない」

などの事情が明確になりやすくなります。

そのため、出身世帯の移転が、施設入所者と出身世帯との生活上のつながりが実質的に切れているかを見直すきっかけとなり、別世帯として認定されることがあるのです。

長期入所の場合の具体的な判断基準

厚生労働省の取扱通知では、世帯分離されている施設入所者について、次のすべてに該当し、社会通念上、同一世帯とすることが適当でない場合は、出身世帯とは別世帯とみなしてよいとされています。

  1. 入院・入所期間がおおむね5年以上で、今後も長期間続くこと
  2. 出身世帯員の誰とも「生活保持義務関係」がないこと
  3. 世帯分離後、出身世帯の生計中心者が代替わりしていること

例えば、親が施設に長期間入所した後、出身世帯では子どもが世帯主となって独立した家計を営み、親に対する継続的な生活費の援助もなく、親がその家に戻る予定もない場合などです。

具体例

父親が施設へ長期入所し、母親と子どもが出身世帯で生活していたとします。

その後、

  • 母親が死亡した
  • 子どもが結婚して別の住宅へ移った
  • 新しい住宅に父親が戻る予定はない
  • 子どもと父親の家計は完全に別である
  • 子どもから父親への定期的な生活費の援助もない
  • 父親の施設入所が今後も続く

という場合には、父親を子どもの新しい世帯の一員とする実態がありません。

この場合、父親は、形式上は親族であっても、生活保護上は出身世帯から独立した別世帯として認定される可能性が高くなります。

注意点

出身世帯が引っ越しただけでは、直ちに別世帯にはなりません。

例えば、施設入所者が退所後に新居へ戻る予定であり、家族が生活費を負担している場合や、新居に本人の生活場所が確保されている場合は、引き続き同一世帯または世帯分離中の世帯員として扱われることがあります。

なお、長期入所者を正式に別世帯と認定した場合でも、通知上は、原則としてそれまで保護を担当していた福祉事務所が引き続き実施責任を負うとされています。別世帯になったからといって、施設所在地の福祉事務所へ当然に担当が変わるわけではありません。

要するに、出身世帯の移転時に別世帯と認定されやすいのは、引っ越しそのものが理由ではなく、移転によって「今後も同じ家族世帯として共同生活する実態がないこと」が明確になるためです。

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