(Q)甲のように居住地が明確でない場合でも、子がA市に居住し、甲も定期的にA市の姉宅を訪れている場合、A市を居住地とみなして保護責任を定めることは適当でしょうか?
(A)子がA市に住んでいることや、甲が定期的にA市の姉宅を訪れているという事情だけで、直ちにA市を甲の居住地と認定するのは適当ではありません。
生活保護上の「居住地」とは、住民票の所在地や親族の住所ではなく、本人が実際に生活の本拠として暮らしている場所をいいます。厚生労働省の実施要領でも、「居住事実がある場所」が居住地とされています。
したがって、次のように判断します。
- 甲が姉宅で継続的に寝泊まりし、衣類や生活用品を置き、郵便物を受け取るなど、A市を実際の生活拠点としている
→ A市を居住地と認定できる可能性があります。 - 甲が姉宅を時々訪問するだけで、寝泊まりや日常生活の中心は別の場所にある
→ A市を居住地と認定するのは困難です。
また、甲とA市の子が、離れていても生活費を一体的に管理するなど、生活保護上の「同一世帯」と認定される場合には、出身世帯の居住地との関係も考慮されます。ただし、単に親子であるというだけで同一世帯になるわけではありません。出身世帯が分散している場合は、「生活の本拠として最も安定性のある場所」を居住地として判断します。
結論
本件では、子がA市に住んでいることと、甲が姉宅を定期的に訪問していることだけでは不十分です。甲がA市で実際にどの程度生活しているかを調査したうえで判断する必要があります。
甲に安定した生活の本拠がどこにもない場合は、甲を「居住地のない者」として扱い、生活保護を申請した時点で甲が実際にいる場所(現在地)を所管する福祉事務所が保護の実施責任を負うのが原則です。生活保護法第19条も、居住地がない、または明らかでない要保護者について、現在地の実施機関が保護を行う仕組みを定めています。
つまり、分かりやすく言えば、「家族がA市にいるからA市」ではなく、「甲本人が実際にどこを生活の中心としているか」で決めるということです。
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