(Q)入院前の居住地が消滅した場合、入院患者や介護老人保健施設入所者の保護の実施責任はどのように判断されますか?
(A)入院前の住居が解約・退去などで消滅した場合でも、直ちに病院や介護老人保健施設の所在地の福祉事務所へ実施責任が移るとは限りません。
基本的な考え方
生活保護は原則として、
- 居住地がある人:その居住地を管轄する福祉事務所
- 居住地がない人:現在いる場所を管轄する福祉事務所
が実施します。入院患者や介護老人保健施設の入所者で、すでに居住地がない場合は、原則として、病院または老健の所在地を管轄する福祉事務所が担当します。
ただし、入院前の住居がなくなった時期や退院後の予定によって、次のように判断されます。
① 退院後に元の地域へ戻ることが確実な場合
入院前の住居に家財が保管されている、または同じ地域に確実な引受先があり、退院後に必ずその地域で生活する予定がある場合は、入院前の居住地を管轄する福祉事務所が引き続き担当します。
例えば、住民票上の部屋は解約したものの、退院後は同じ市内の家族宅へ戻ることが確実な場合などです。
② 入院・入所が原因で、3か月以内に住居を失った場合
次の場合も、原則として入院・入所前の居住地を管轄する福祉事務所が担当します。
- 入院・入所と同時に住居を失った
- 入院・入所後3か月以内に、入院・入所が原因で住居を失った
- 入院中に住宅扶助が支給されていた場合は、住宅扶助が認定されなくなってから3か月以内に住居を失った
この場合は、住居がなくなっていても、入院前の自治体に一定期間、実施責任を残す取扱いです。
例
神戸市で一人暮らしをしていた人が明石市の病院に入院し、入院後1か月で賃貸住宅を解約した場合、原則として、入院前の神戸市の福祉事務所が保護を担当します。
③ 入院後3か月を超えてから申請し、申請時に住居がない場合
入院後3か月を超えてから初めて生活保護を申請し、その時点で住居がない場合は、原則に戻り、病院または介護老人保健施設の所在地を管轄する福祉事務所が担当します。
例
神戸市の住居を退去してから長期間経過し、明石市の病院に入院中、住居がない状態で初めて生活保護を申請した場合は、明石市側が担当となる可能性が高くなります。
④ すでに生活保護を受けていて、他の地域の病院・老健へ移った場合
すでに生活保護を受けている人が、治療や介護の必要から担当福祉事務所の区域外の病院・老健へ転院・転所した場合は、通常、従前の福祉事務所が引き続き担当します。
老健や介護医療院の入所者が、介護扶助を受けながら区域外の指定介護機関へ転所した場合も、介護扶助が続く間は、従前の福祉事務所が担当します。
まとめ
| 状況 | 原則として担当する福祉事務所 |
|---|---|
| 退院後、元の地域へ戻ることが確実 | 入院前の居住地の福祉事務所 |
| 入院・入所が原因で3か月以内に住居を失った | 入院前の居住地の福祉事務所 |
| 入院後3か月超で初めて申請し、申請時に住居なし | 病院・老健所在地の福祉事務所 |
| 生活保護受給中に区域外へ転院・転所 | 原則、従前の福祉事務所 |
したがって、判断のポイントは、住民票の所在地だけではなく、住居を失った時期、入院との因果関係、生活保護の申請時期、退院後の帰来先、すでに保護を受けていたかという点です。自治体同士で担当を争っている場合でも、それを理由に本人の申請を受け付けないことは適切ではなく、まず現在地または関係する福祉事務所で申請を受理したうえで、実施機関間で調整すべき問題です。
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