(Q)居住用不動産の購入が直接の原因で生活困窮に陥った場合、どのような措置を講じるべきですか?例:当該不動産を売却するよう指導する必要があるのはどのような場合ですか?

(A)居住用不動産の購入が原因で生活困窮した場合

通常、本人が実際に住んでいる土地・建物は、生活維持のために利用されているため、持ち家だからという理由だけで直ちに売却を求められるわけではありません

しかし、生活を維持できなくなることが予想できたにもかかわらず、手持ちのお金を使って住宅を購入し、その購入が直接の原因となって生活困窮に陥った場合は、原則として、その不動産を売却して生活費に充てるよう指導することになります。

生活保護は、利用できる資産を最低限度の生活維持のために活用することを要件としているためです。

売却指導が必要となる典型例

例えば、次のような場合です。

生活費として残しておくべき預貯金をほとんど使って住宅を購入し、その直後から食費や光熱費などを支払えなくなった場合

このような場合は、住宅購入をしなければ当面の生活を維持できたと考えられるため、住宅の購入と生活困窮との間に直接的な関係があります。

そのため、福祉事務所は、購入した不動産を売却し、その代金を生活費として活用するよう指導することになります。

具体例

預貯金が1,000万円ある人が、そのうち950万円を使って住宅を購入し、残金が50万円になったため、間もなく生活費が不足して生活保護を申請したケースです。

購入前の段階で、

  • 住宅を購入すると生活費がほとんど残らない
  • 今後、収入が増える見込みもない
  • 税金、修繕費などの住宅維持費も負担できない

ことが分かっていたのであれば、住宅購入が生活困窮の直接的な原因と判断される可能性が高くなります。

すべての場合に機械的に売却させるわけではありません

売却指導を行うかどうかは、購入したという事実だけでなく、次の事情を総合的に確認して判断します。

  • 購入時の預貯金と購入代金
  • 購入後に残った生活資金
  • 当時の収入や今後の収入見込み
  • 購入から生活保護申請までの期間
  • 病気、失業、事故など、購入後に発生した事情
  • 不動産の売却可能性と売却価格
  • 世帯員の年齢、障害、通院、就学など
  • 転居した場合の生活への影響

不動産の資産価値が低く、売却が難しい場合や、売却代金よりも売却費用の方が高い場合などは、売却が現実的でないこともあります。厚生労働省の実施要領でも、処分が困難な資産や、売却代金より処分経費が高い資産については、例外的な取扱いが示されています。

購入後に予想外の事情が生じた場合

住宅を購入した時点では十分な収入や預貯金があり、その後に予想できなかった失業、病気、事故、会社の倒産などによって生活困窮に陥った場合は、住宅購入が直接の原因とは限りません。

この場合は、通常の居住用不動産として、

  • 現在も本人や家族が住んでいるか
  • 住宅を保有する方が生活維持や自立に役立つか
  • 処分価値が利用価値に比べて著しく大きくないか
  • 売却して賃貸住宅へ移る方が適切か

などを個別に判断します。

居住用不動産は、処分価値が利用価値に比べて著しく大きい場合を除き、保有が認められることがあります。

住宅ローンが残っている場合

住宅ローンを生活保護費から返済することは、原則として認められません。生活保護費によって個人の資産形成を行う結果になるためです。

したがって、多額の住宅ローンが残り、今後も返済を継続できない場合には、売却、任意売却、債務整理などを検討する必要性が高くなります。

ただし、ローン残高がごく少額である、短期間に返済が終わるなど、例外的な事情があれば、福祉事務所が個別に判断します。

まとめ

居住用不動産であっても、次のような場合には売却指導の対象になります。

住宅を購入すれば生活費が不足することを予測できたにもかかわらず、生活資金を使って購入し、その購入が直接の原因となって生活困窮に陥った場合です。

一方、購入後に突然の病気や失業など、予想できなかった事情で困窮した場合は、住宅購入が直接の原因とは限りません。その場合は、不動産の価値、売却可能性、世帯の事情、今後の生活への影響などを踏まえ、保有を認めるか売却を求めるかが個別に判断されます。

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