(Q1)社会福祉施設や無料低額宿泊所から転居する場合、移送費の支給は認められますか?(Q2)移送費の支給が認められる具体的なケースにはどのようなものがありますか?
(A1)結論
はい、認められる場合があります。
被保護者が社会福祉施設、無料低額宿泊所、日常生活支援住居施設などからアパート等へ転居する場合も、真にやむを得ない転居であり、福祉事務所が事前に必要性を認めたときは、移送費として荷造費・運搬費を支給できます。
施設や無料低額宿泊所が一般の賃貸住宅ではなくても、そこから居宅へ生活の本拠を移すことは、生活保護上の「転居」に含まれます。生活保護実施要領では、被保護者が転居する場合で真にやむを得ないとき、事前に承認した必要最小限度の荷造費・運搬費を認定できるとされています。
どのような場合に認められますか?
例えば、次のような場合です。
- 無料低額宿泊所での一時的な生活を終え、アパートで自立生活を始める
- 救護施設などを退所し、地域の居宅へ移る
- 日常生活支援住居施設での支援を経て、単身生活が可能になった
- 施設生活を継続する必要がなくなり、福祉事務所の支援・承認を受けて転居する
- 現在の施設では本人の生活上の課題を解決できず、適切な居住先へ移る必要がある
無料低額宿泊所は、直ちに単身生活が難しい人に一時的な居住場所を提供し、その後の居宅生活への移行を支援する役割を持っています。したがって、居宅への移行に必要な転居費用は、条件を満たせば支給対象となり得ます。
支給される費用
移送費として対象になり得るのは、主に次の費用です。
- 引越業者による家財の運搬費
- 必要な荷造し費用
- 本人が新しい住居へ移動するための交通費
- 保有が認められたエアコンの取り外し・再設置費用
- やむを得ず保管していた家財を新居へ運ぶ費用
ただし、支給されるのは、経済的かつ合理的な方法による必要最小限度の実費です。
自動的に支給されるわけではありません
「無料低額宿泊所から出たい」という希望だけで、必ず支給されるわけではありません。
福祉事務所は、次の点を確認します。
- 居宅生活が可能な状態か
- 転居する必要性があるか
- 転居先の家賃が住宅扶助基準内か
- 転居先で安定した生活を続けられるか
- 施設や他制度から引越費用が出ないか
- 引越費用が必要最小限か
本人の希望も重要ですが、生活状況や支援体制を含めて個別に判断されます。
手続き
原則として、引越しの契約や業者への依頼をする前に、ケースワーカーへ相談する必要があります。
一般的な流れは次のとおりです。
- 施設から居宅へ移りたいことを相談する
- 福祉事務所が居宅生活の可否と転居の必要性を確認する
- 転居先の家賃・契約条件を確認する
- 引越業者の見積書を提出する
- 福祉事務所が必要最小限の費用を事前承認する
- 承認後に契約・引越しを行う
先に自分で引越業者を決めたり支払ったりすると、費用が認められないことがあります。
具体例
無料低額宿泊所に入居しているAさんについて、福祉事務所が「単身で居宅生活を送れる」と判断し、住宅扶助基準内のアパートへの転居を認めたとします。
引越しに必要な家財運搬費が3万円で、ほかに無料で運搬してもらえる手段がない場合、
福祉事務所が事前に承認した必要最小限の3万円
を、移送費の荷造費・運搬費として認定できる可能性があります。
まとめ
社会福祉施設や無料低額宿泊所からの転居についても、
- 居宅への移行が必要かつ適切である
- 福祉事務所が転居を認めている
- 費用を事前に承認している
- 必要最小限度の金額である
という条件を満たせば、移送費として本人の交通費や家財の荷造費・運搬費を支給できます。
つまり、「施設からの転居だから対象外」ではなく、通常の転居と同様に、必要性を個別に判断して支給するという取扱いです。
(A2)結論
生活保護の移送費は、最低限度の生活を維持したり、自立した生活を送るために必要な移動であり、福祉事務所が必要と認めた場合に支給されます。
単なる私的な外出や旅行の交通費は対象になりません。
移送費が認められる主なケース
① 医療機関への通院・転院
病気やけがの治療のために必要な交通費です。
例
- 自宅から病院へ通院する。
- 専門病院へ転院する。
- 身体状況によりタクシーを利用する必要がある。
② 転居するとき
生活保護上、転居が必要と認められた場合です。
例
- 家賃が住宅扶助基準を超えるため転居する。
- 立ち退きにより転居する。
- DV被害から避難するため転居する。
- 無料低額宿泊所や社会福祉施設からアパートへ転居する。
支給対象には、
- 引越業者の運搬費
- 荷造費
- 保有が認められたエアコンの取り外し・設置費
なども含まれます。
③ 施設への入所・退所
福祉事務所が必要と認めた施設への移動です。
例
- 救護施設へ入所する。
- 更生施設を退所して自宅へ戻る。
- 障害者支援施設へ入退所する。
- 無料低額宿泊所へ入所する。
④ 施設見学・体験入所
正式な入所手続の一環として行う場合です。
例
- グループホームの体験入所
- 障害者支援施設の見学
- 入所前の体験利用
⑤ 就職活動
就職するために必要な交通費です。
例
- ハローワークへ行く。
- 採用面接を受ける。
- 就職先との面接や説明会へ行く。
⑥ 公共職業能力開発施設等への入所・退所
職業訓練施設へ入所・退所する際の交通費です。
※毎日の通所交通費は**移送費ではなく「技能修得費」**として扱われます。
⑦ 学習支援事業への参加
自治体や、国・自治体の補助を受けた団体が実施する学習支援事業に参加する場合です。
例
- 市が実施する無料学習教室
- 自治体委託の進学支援教室
- 公的補助を受けた学習支援事業
必要性が認められれば、交通費を移送費として支給できる場合があります。
⑧ その他、福祉事務所が必要と認める場合
制度上の目的に沿い、自立や生活維持のために必要な移動です。
例
- 家財を保管場所から新居へ運ぶ。
- 災害により避難・移転する。
- その他、特別な事情がある場合。
認められない例
次のような交通費は、通常は移送費の対象になりません。
- 観光や旅行
- 買い物
- 趣味や娯楽
- 一般の塾や習い事への通学
- 親族・友人宅への訪問
- 就労と関係のない私的な外出
支給を受けるためのポイント
移送費の支給には、一般的に次の条件があります。
- 福祉事務所が必要性を認めていること
- 事前に相談・申請していること
- 最も経済的で合理的な交通手段を利用すること
- 必要最小限度の費用であること
まとめ
移送費が認められる代表的なケースは、
- 医療機関への通院・転院
- 生活保護上必要な転居
- 社会福祉施設等への入所・退所
- 施設見学・体験入所
- 就職活動
- 公共職業能力開発施設等への入所・退所
- 自治体等が実施する学習支援事業への参加
- その他、福祉事務所が必要と認める移動
です。
共通する考え方は、「最低限度の生活を維持し、自立を支援するために必要な移動であること」と「福祉事務所が必要性を認めること」です。
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