(Q3)代理人が遺体や遺骨の引取りを行った場合、移送費はどのように認められますか?(Q4)代理人の範囲や手続きについて、具体的な条件や必要な書類はありますか?
(A3)結論
本人が病気や障害などの理由で遺体・遺骨を引き取りに行けず、代理人が引取りを行うことが適当と認められた場合は、代理人に必要な移送費を認めることができます。
ただし、代理人であれば誰でも認められるわけではなく、必要性がある場合に限り、必要最小限度の費用が支給されます。
どのような場合に認められるの?
次のような事情がある場合です。
- 本人が入院中で移動できない。
- 重い障害や病気で遠方へ行けない。
- 高齢などで一人での移動が困難である。
- その他、やむを得ない事情がある。
このような場合に、福祉事務所が代理人による引取りが適当と判断すれば、移送費を認めることができます。
移送費の対象となる費用
認められるのは、代理人が引取りのために実際に必要とする最小限の費用です。
例えば、
- 交通費
- やむを得ない宿泊費
- その他、引取りに必要な最小限の費用
が対象となります。
なお、最も経済的で合理的な交通手段を利用することが原則です。
支給対象となる人数
支給されるのは、必要最少限度の人数です。
通常は、
- 代理人1人分
が対象となります。
特別な事情がない限り、複数人分の移送費は認められません。
具体例
例1:本人が入院中
生活保護を受けている人が入院しており、亡くなった親の遺骨を引き取りに行けません。
そのため、兄が代理人として引き取りに行きます。
→ 福祉事務所が必要と認めれば、兄1人分の交通費を移送費として認定できる場合があります。
例2:本人に重い障害がある
本人は重度の障害があり長距離移動ができないため、娘が代理で遺体を引き取ります。
→ 代理人による引取りが適当と認められれば、娘の必要最小限の交通費が支給対象となる場合があります。
認められにくい例
次のような場合は、通常は認められにくくなります。
- 本人が十分に行けるのに代理人が行く。
- 引取りとは関係のない人が同行する。
- 必要以上の人数で行く。
- 観光や私用を兼ねた移動である。
まとめ
代理人が遺体や遺骨の引取りを行う場合は、
- 本人が行けないやむを得ない事情があること
- 代理人が引取りを行うことが適当であること
- 福祉事務所が必要と認めること
- 必要最小限度の費用・人数であること
を満たせば、代理人に必要な交通費などを移送費として認めることができます。
(A4)結論
代理人については、全国一律に「この続柄の人だけ」「この書類が必須」と細かく定めた基準があるわけではありません。
福祉事務所が、
- 本人が引取りに行けない事情
- 代理人が本人に代わって行く必要性
- 代理人として適当な関係にあるか
- 費用が必要最小限か
を確認し、個別に判断します。
代理人として考えられる人
一般的には、次のような人が候補になります。
- 配偶者
- 子、父母
- 兄弟姉妹
- その他の親族
- 同居人や事実上の家族
- 本人から正式に依頼された信頼できる人
ただし、単なる知人や、引取りと直接関係のない人は、代理人として認められにくくなります。
重要なのは続柄だけではなく、本人から依頼を受けており、病院・警察・火葬場などが実際にその人への引渡しを認めるかです。
代理人が認められる主な条件
1.本人が行けない事情がある
例えば、
- 入院している
- 病気や障害で長距離移動ができない
- 高齢で移動が著しく困難
- 医師から外出・移動を止められている
- その他、本人が行けないやむを得ない事情がある
といった場合です。
本人が自分で行けるにもかかわらず、単に都合が悪いというだけでは、代理人分の移送費は認められにくいでしょう。
2.代理人が行く必要がある
病院や警察などから、
- 遺体・遺骨の引取りを求められている
- 引取人としての手続きが必要
- 本人に代わる人が来なければ引渡しができない
という状況が必要です。
3.代理人が適当な人である
本人との関係、本人の意思、遺体・遺骨を適切に扱えるかなどを確認します。
通常は、親族や本人と密接な関係にある人が優先されます。
4.人数が必要最少限度である
原則として、代理人1人分です。
複数人で行く場合は、それぞれ同行しなければならない特別な理由が必要です。
一般的に確認される書類
自治体によって名称や様式は異なりますが、次のような資料が考えられます。
① 移送費の申請書
福祉事務所所定の、
- 保護変更申請書
- 一時扶助・移送費支給申請書
などです。
生活保護の決定に必要な資料は速やかに提出することとされていますが、書面提出が困難な場合には、口頭申請を記録する取扱いも示されています。
② 本人が代理人に依頼したことを示す書類
例えば、
- 委任状
- 代理人指定書
- 本人の申立書
などです。
委任状には、一般的に、
- 本人と代理人の氏名・住所
- 本人との関係
- 遺体または遺骨の引取りを委任する旨
- 作成日
- 本人の署名
を記載します。
本人が署名できない場合は、福祉事務所、病院、施設などが本人の意思を確認した記録で代えられるか、事前に確認する必要があります。
③ 本人が行けないことを示す資料
事情に応じて、
- 診断書
- 医師の意見書
- 入院証明書
- 障害者手帳
- 施設職員やケースワーカーの確認記録
などが求められることがあります。
必ず診断書が必要とは限らず、本人の状態が福祉事務所ですでに確認できている場合は、別の資料で判断されることもあります。
④ 引取りが必要であることを示す資料
例えば、
- 病院、警察、葬祭業者などからの引取り依頼書
- 死亡診断書または死体検案書の写し
- 火葬許可証
- 遺骨引渡しに関する案内
- 担当者名、連絡先、引渡し日時が分かる書類
などです。
⑤ 本人と死亡者・代理人との関係を示す資料
必要に応じて、
- 戸籍謄本・戸籍抄本
- 住民票
- 本人および代理人の本人確認書類
- 事実上の家族関係を説明する申立書
などが求められます。
⑥ 交通費を確認できる資料
例えば、
- 利用経路と運賃が分かる資料
- 切符や乗車券
- 領収書
- 宿泊費の見積書・領収書
- タクシーを利用する場合の必要性と領収書
などです。
公的な移送費の手続きでも、領収書や費用の内訳、本人確認資料などを求め、必要性を確認する運用がされています。
原則として事前相談が必要
代理人が出発する前に、担当ケースワーカーへ、
本人は○○の理由で行けないため、○○さんを代理人として遺骨の引取りに行かせたい
と相談し、次の内容を伝えます。
- 誰が亡くなったか
- どこへ引き取りに行くか
- 本人が行けない理由
- 代理人の氏名と本人との関係
- 移動日、経路、交通費
- 宿泊の有無
事前の承認を受けずに移動すると、後から必要性を確認できず、支給されない可能性があります。
緊急で事前相談ができなかった場合は、病院や警察から連絡を受けた日時、担当者名、緊急に出発した理由などを記録し、速やかに福祉事務所へ報告します。
「代理人の交通費」と「遺体の搬送費」は別です
ここは注意が必要です。
- 代理人が現地へ行くための交通費
→ 生活扶助の移送費として検討 - 遺体そのものを病院から火葬場などへ運ぶ費用
→ 葬祭扶助の「死体の運搬」として検討
生活保護法第18条では、葬祭扶助の対象として、検案、死体の運搬、火葬・埋葬、納骨その他必要な葬祭を定めています。
したがって、代理人の電車代と霊柩車などの遺体搬送費は、同じ「移送」という言葉でも区別して処理します。
まとめ
代理人による遺体・遺骨の引取りでは、主に、
本人が行けない事情
+代理人に任せる必要性
+代理人としての適格性
+病院等が引渡しを認めること
+必要最小限の人数・費用
を確認します。
書類としては、一般に、
- 移送費申請書
- 委任状・本人の申立書
- 本人が行けないことの証明
- 引取り依頼を確認できる書類
- 親族関係等を確認できる資料
- 経路・運賃・領収書
などが考えられます。
ただし、必要書類は福祉事務所や引渡しを行う病院・警察・火葬場によって異なるため、出発前に双方へ確認することが重要です。
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