(Q1)進学先の選択について、被保護者本人の自由意志が尊重されるべきでしょうか?それとも実施機関による指導の対象とすべきでしょうか?(Q2)被保護者が公立高校または私立高校を選択する際、その選択は誰の意志が優先されるべきですか?
(A1)進学先の選択については、基本的には被保護者本人の希望や適性を尊重して決めるべきです。実施機関が一方的に「この学校に行きなさい」「私立はだめ」「近い学校にしなさい」と決める性質のものではありません。
生活保護の実施要領では、高等学校等への就学について、就学し卒業することが世帯の自立助長に効果的と認められる場合には、就学しながら保護を受けることができるとされています。つまり、実施機関が見るべきなのは「どの学校を選んだか」そのものより、本人の意欲・能力・健康状態・卒業見込み・将来の就労や自立につながるかといった点です。
たとえば、Aさんが「将来は介護福祉関係の仕事に就きたいので、この高校の福祉科へ進学したい」と希望しており、本人の成績や通学可能性などから見ても現実的であれば、本人の進路希望を基本に考えるのが適切です。
一方で、実施機関がまったく何も言えないわけではありません。生活保護費から支給される就学費には基準があるため、たとえば非常に高額な学費が必要な学校を選択した場合には、生活保護でどこまで支給できるか、自己負担部分をどのように確保するか、奨学金や授業料減免制度を利用できないかといった助言・支援を行うことはあります。
また、専修学校・各種学校については、本人の意欲・能力・健康状態などから判断して、その就学が世帯の自立助長に高校等と同程度の効果をもたらすかを確認することとされています。
現在、厚生労働省も生活保護世帯の子どもの**「進路選択支援」**を制度として位置付け、本人が進路を選択するための情報提供や支援を進めています。これは「行政が進学先を決める」というより、本人が適切に選択できるよう支えるという考え方です。
したがって、要するに、
進学先そのもの → 原則として本人の希望・自由意思を尊重
実施機関の役割 → 本人の意欲・能力・将来の自立可能性を確認し、費用や奨学金、通学方法などについて助言・支援する
という整理になります。
つまり、「保護を受けているから進学先を福祉事務所が決める」のではなく、本人の進路選択を尊重しながら、生活保護制度で支給できる範囲や自立につながる進路かを実施機関が一緒に検討する、というのが基本的な考え方です。
(A2)原則として、公立高校に進むか私立高校に進むかは、被保護者本人や保護者の希望・意思が尊重されるべきです。生活保護を受けているからといって、福祉事務所が一方的に「公立高校にしなさい」と進学先を決めるものではありません。
ただし、生活保護から支給される高等学校等就学費には支給基準や上限があります。そのため、私立高校を選んだ場合に授業料や入学料が生活保護の基準額を超えると、超過分については就学支援金、授業料減免、奨学金、本人のアルバイト収入の収入認定除外など、別の方法で賄えるかを検討することになります。
つまり、福祉事務所の役割は、進学先を強制的に決めることではなく、本人の進学希望を尊重したうえで、その学校への就学が現実的に継続できるか、卒業や将来の自立につながるか、必要な費用をどう確保するかを助言・支援することです。
たとえば、Aさんが私立高校への進学を強く希望しており、就学支援金や学校独自の減免制度を利用すれば自己負担がほとんど生じないのであれば、単に「私立だから公立に変更しなさい」と指導するのは適切ではありません。
一方で、私立高校を選ぶことで毎月かなりの自己負担が発生し、その費用を継続的に確保する見込みがない場合には、福祉事務所が本人・保護者と話し合い、費用面を含めて進路を再検討するよう助言することはあり得ます。
要するに、**「公立か私立かを決めるのは基本的に本人・保護者。福祉事務所はその選択を尊重しつつ、生活保護で支給できる範囲や就学継続の可能性について助言する」**と考えると分かりやすいです。
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