(Q)実施責任の明確化が困難な場合、どのような基準や判断材料を用いて責任の所在を決定すればよいですか?

(A)生活保護の実施責任を負う福祉事務所が明確でない場合は、住民票だけで判断せず、本人の実際の生活状況を総合的に確認して決めます。

基本的な判断順序

まず、本人に生活の本拠となる**「居住地」**があるかを確認します。居住地とは、単に住民票がある場所ではなく、実際に住み、継続して生活している場所です。居住地が明確であれば、その地域を担当する福祉事務所が原則として実施責任を負います。

居住地がない、または居住地を特定できない場合は、本人が現にいる**「現在地」**を所管する福祉事務所が担当します。例えば、路上生活、ネットカフェ生活、知人宅を転々としている場合などです。

判断材料となるもの

次の事情を総合的に確認します。

  • 実際に寝泊まりしている場所
  • その場所で生活している期間
  • 家財道具や衣類が置かれている場所
  • 家賃・光熱費を負担しているか
  • 郵便物の受取先
  • 家族との生活関係や生計関係
  • 本人が今後もそこに住む意思があるか
  • 入院・施設入所前に生活していた場所
  • 施設への入所が一時的か、長期的か
  • 以前の福祉事務所が施設や病院への入所を決定・委託したか

入院・施設入所の場合

病院や施設が別の市町村にあっても、直ちに施設所在地の福祉事務所へ責任が移るわけではありません。

例えば、従前の福祉事務所が区域外の病院や施設への入院・入所を決定した場合には、入院・入所中も、原則として従前の福祉事務所が引き続き実施責任を負うことがあります。また、入院・入所に伴って住居を失った場合も、一定の条件では入院・入所前の居住地を担当する福祉事務所が責任を負います。

福祉事務所同士で意見が分かれた場合

福祉事務所間で「こちらの担当ではない」と判断が分かれても、それを理由に本人の申請を受け付けないことは適切ではありません。

本人が現在いる福祉事務所は、まず申請を受け付け、必要な保護を行ったうえで、関係する福祉事務所間で次の資料を確認し、実施責任を調整する必要があります。

  • 住居の賃貸借契約書
  • 施設入所契約書
  • 入院記録
  • 住民票
  • 公共料金の領収書
  • 郵便物
  • ケース記録
  • 本人や家族、施設職員からの聞き取り

わかりやすくまとめると

実施責任は、原則として次の順番で判断します。

実際の居住地がある
→ その居住地の福祉事務所

居住地がない・不明である
→ 現在本人がいる場所の福祉事務所

他地域の病院や施設に入院・入所している
→ 入院・入所前の居住地、入所経緯、従前の福祉事務所の関与などを確認

つまり、住民票の所在地だけではなく、生活の実態、入院・入所の経緯、従前の福祉事務所との関係を総合的に判断して責任の所在を決めることになります。

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